2018年9月11日火曜日

VOICE 63/鍼灸師(東京都・男性)

 研修は3日間という短い期間でしたが、いろいろ学びや発見が多く、遠方まで来て本当に良かったと思いました。今回の研修に参加した動機はいくつかあるのですが、刺激の強い鍼灸の刺激に抵抗がある患者さんに対して、刺さない鍼で効果があるものなのか、ということを実際に自分の目で見たかったという所が1番の動機でした。
 
 勉強会や講習で技術などをみても、それは様々な理由でその先生だから効果があると言えるのではないか。習得に10年もかかる技術ではそれまでに自分の生活が困窮してしまうのではないか。学生さんには効いても病気を持っている患者さんに効果があるのか。など少し業界の事が分かってきて、もともと天邪鬼の部分がある私としては、いくつもの疑問がありました。
 
 しかし治療院で実際に症状を持っている患者さんに施術をしている場面を見れば、そこには事実しかないと思い、今回の研修への参加を決めたのでした。実際の治療場面を見て、多岐に渡る症状をもっている多くの患者さんが満足して帰っているのを目の当たりにしました(肩とか腰だけでなく、重症の方もいらっしゃっていました)。常連の方だけでなく新規の方も何人か見えられていましたが、それらの方々も程度の差はあれ満足して帰られて、次回の予約をさ れていました。
 
 吉川先生の治療を拝見して、ブロックを一段一段積み上げて行き、最後に家が完成するというような、そんな感じのスタイルだな、と思いました。1ヶ所刺激してお腹が変化。次の1ケ所でふくらはぎ、次で首周り、次で背中、次で手足といった感じで、身体の各所で変化を出していく。耳つぼや刺絡なども行う。変化は1回ごとに患者さんに確認してもらう。患者さんは変化をどんどん実感して、最後に起き上がって主訴が軽減・消失しているのを実感す る。それでもまだ訴えがある患者さんには追加で刺激し、そこそこ納得が得られるまで治療する。
 
 それでも、1回1回の刺激(王不留行の貼り付け)・変化が速いので、実際の治療時間はそんなに長くはない(棒灸で温めている時間は除いて)。実際に拝見していて、テンポよくポンポンと行っていく方が受けている側にとっても良さそうな感じがしました(もちろん個人差はあると思いますが)。
 
 そしてセルフケア。実際に治療の際に変化を実感していて、治療と全く同じことを家で行うようにということなので説得力もあるし、何人もの方が道具を購入して自宅でセルフケアを行っているようでした。

 取穴や触り方は練習が必要だと思いましたが、それでも相手に確認しながら行っていけるので、実際にこれであっているのかどうかを確認するのが難しい諸々の鍼技術と比較すると習得しやすそうな印象を受けました。それにしても吉川先生のスピードは速かったです。
 
 そして皮膚刺激への軽い接触での効果。私は筋や軟部組織への刺激を主として行ってきたので、これからは軽い刺激での施術も取り入れてみようと思います。痛み(または痛いというイメージ)なしで効果が出るのならそれに越したことはありません。
 
 臨床の中で、どうすれば効果が出るのか、効果が持続するのか、負担が軽減できるのか、誰にでもできる技術になるのか、などと言ったことを追求していき、いいと思うものは取り入れて行き、現在のスタイルになっているようでした。まだ進化しているようです。私もその姿勢を見習って、良いものはどんどん取り入れていきたいと思います。
 
 多忙の時期でお疲れのようでしたが、治療の場面では患者さんの負のオーラを凌駕する気合が垣間見えました。淡々と動揺することなくどんどん患者さんに向かっていく姿を見ただけでも、こちらに伺った甲斐がありました。治療以外の部分でも、話しの仕方や間の取り方やタイミング、こういう風に言われたときはこういう風に対応する、治療院のスタイルやその他諸々、これから自身が行っていく上でいろいろ参考になりました。(2014年)

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