2018年11月28日水曜日

東方鍼灸院 東京

当院所属の鍼灸師・大森亜希が東京・渋谷区に常駐しました。一般の方々への出張施術や学生、鍼灸師、医療関係者の皆様へ「陰陽太極鍼」の出張講習会を承っております。詳しくはメールtoho1189@toho-shinkyu.comでお問い合わせください。

2018年11月8日木曜日

VOICE114/理学療法士(北海道・男性)

 2年前に北海道で開催された鍼灸師の学会で吉川院長が披露した「陰陽太極鍼」という実技を見てからぜひ学んでみたい!と思い、今回申し入れをしました。

 自分が陰陽太極鍼を学びたいと思ったのは、刺さない鍼という事で理学療法士の自分でも応用が可能ではないかと考えた事と、何より吉川院長の人柄に惹かれたからです。

 実際に鍼灸院に実習に行きたいという希望を快く受け入れてくれた院長の懐の深さは施術だけではなく実習指導においてもそうで、理学療法士である自分でも理解出来るように分かりやすく教えていただけました。

◎症例1
・症状:長時間座っていると生じる左臀部痛

・アプローチ内容:背部兪穴を確認したところ、右の胃兪に痛みの訴えが強かった。今回の臨床実習で教えて頂いた「臀部の痛みは胃兪を確認すること」という言葉通りの反応が出ていたため、右胃兪の痛みが改善する場所として左側を触診しながら確認し、その部位に「王不留行」を張ると右胃兪の痛みが改善し、左臀部痛にも改善がみられました。

◎症例2
・症状:左腕を腰にまわした際の左上腕外側痛

・アプローチ内容:痛みを訴えている部位が、経絡でいう大腸経であった。今回の臨床実習で学んだ「子午流注」から右の腎経に何か問題があるのではないか?と考え、右の腎経を触診すると「湧泉」というツボに補の反応がみられた。そのため、湧泉に「王不留行」を張り、左腕を腰に回してみてもらうと先ほどまであった左上腕外側痛に改善がみられ、動かせる範囲も拡大しました。

 教えていただいた事を早速臨床で実践していますが、今まで難渋していた患者様が改善されるようになり、あらためて陰陽太極鍼の可能性を実感しております。このように一穴一穴の効果が明確にわかる陰陽太極鍼の理論の確かさを目の当たりにして大変驚き、この治療法をもっと勉強してみたいと思っております。(2018年)

2018年10月1日月曜日

VOICE113/鍼灸師(東京・女性)

 約7年前、鍼の響きが苦手で敏感な私は鍼灸学校時代、目白鍼灸院の柳本先生の鍼灸治療を受け、鍼を刺さなくても効果が出る、刺さない鍼治療、吉川先生の陰陽太極鍼を知りました。資格取得後は元々働いていた治療院が手技メインの為、あまり鍼灸治療をする機会がなく、最近私は独立した為、改めて陰陽太極鍼を学びたいと思い研修に参加させて頂きました。

 吉川先生による患者さんの治療を見学させて頂き、患者さん全員に効果が確実にあり、是非とも習得したいと思いました。また吉川先生と患者さんのコミュニケーションの取り方も含め、とても勉強になりました。基本となる経絡の流れをきちんと把握しなければと思いました。改めて東洋医学をしっかり学び、技術と知識を向上させたく思います。(2018年)

2018年9月11日火曜日

VOICE112/鍼灸師(北海道・男性)

 国内トップクラスの鍼灸師である吉川院長の技術を見学出来る機会という事で伺う前から楽しみにしていました。診療時間前には、緊張している私の心を解すようにお話しをして頂きありがとうございました。吉川院長、スタッフの皆様の暖かさが嬉しかったです。治療を見学させて頂き、驚きの連続でした。
 
 患者様の身体のツボを一つ一つ丁寧に切経をしていき、王不留行又は皮内鍼を貼る、陰陽太極鍼をする。するとバランスが整い患者様の辛い症状が消えて行く。膝の痛みがあり、サークル歩行器を使わないと歩けない患者様に治療をすると自身の身体のみで歩けるようになった症例を聞かせて頂き、その患者様が来院なさった時「確かにスタスタと歩いている!」と技術力と即効性の高さに驚きました。
 
 時には、確実に結果を出す為に数時間をかけて治療をする事も知り、治療家としての責任感の大きさに感服しました。吉川院長は何度も「鍼灸は素晴らしい。凄い。面白い」と嬉しそうに楽しく話していて、鍼灸治療を愛していて信じている事がとても印象に残っています。だからこそ、素晴らしい治療結果を出し続けている事も納得します。
 
 お忙しい時間の合間に丁寧な実技指導もして頂き、本当に感謝しております。自身の未熟な技術と知識を実感し「基本の部分となる所を学び直さないといけない」と意識を締め直す事が出来ました。(2018年)

VOICE 111/鍼灸師(北海道・女性)

 今回で2回目の研修となりましたが、鍼灸の 更なる可能性を目の当たりにしました。吉川先生の治療は患者さんと確認しながら反応を探り、全身の気血の流れを整えていく。患者さん自身その過程で何か体 が楽になってきていると感じ、治療後はそれをより実感している姿がありました。施術者と患者さんが互いにここがツボだと認識し、わかり合えることが陰陽太 極療法の良さなのだと思います。
 
 また、足裏のツボにも驚きました。吉川先生との実技練習をさせて頂いた時、足裏の指の付け根に反応があったので吉川先生に治療して頂いたらその一穴で体の気が流れるのを感じました。治療の流れも丁寧に教えて頂いたので、臨床で活かせるよう練習していきたいと思います。
 
 治療院では刺さずに皮膚に鍼先をあてる治療も行いますが、まだベースにはなっていません。鍼を刺さずに最大の効果を発揮し、リスクも少なくここまで安全な治療法は他にはないと思うのでとても勉強になりました。(2018年)

VOICE 110/鍼灸師(北海道・女性)

 今回の研修で、特に印象に残ったことが2つあります。1つ目は、「理屈や理論じゃないのよ。効けば、いいのよ。」これまで、沢山の知識を得て、出てきた症状や「ツボ」の意味や体の状態を説明でき、そして多くの経験を積んでこられて吉川先生だからこその言葉だと感じました。
 
 考えてみると、理論や理屈で症状が改善されるわけではなく、目の前にいる人の今の状態をありのまま受け入れ治療する。理論や理屈に縛られていては、見えるものも見えなくなる、吉川先生の治療を見学させていただき、そう感じました。
 
 2つ目は、「こうしてさするだけで、皮膚は何でも教えてくれるの。毎日が不思議の連続よ!!」と嬉しそうにお話しされる吉川先生のお姿。目の前で は、フェザータッチで皮膚感覚を確認しながら、皮内鍼や王不留行で施術を施したのち、再度確認すると、先ほどまで出ていた症状が改善。不思議の連続が何度 も起こりました。吉川先生自身、治療するほど、より活き活きしているようにも感じました。そして、そんな吉川先生のお姿を見ていると、私自身の施術に対す る意欲も上がってきました。
 
 治療院に戻り、スタッフで試してみました。身体が変わると、お互い嬉しいと感じます。今回の研修で、理論や理屈で治療するものではないにせよ、「フェザータッチ」や「経絡の把握」、「東洋医学的知識」など、基礎的なことではありますが学ぶべきものが明確になりました。そして、実際に施術し経験を積んでいきたいと思います。(2018年)

VOICE 109/学生(東京都・女性)

 直接先生にお目にかかれて、見学させていただき、治療を受け、更に僭越ながら先生に治療という機会までいただき、惜しみなく資料・プリントまで分けて下さり、本当に有り難く、感謝の気持ちで一杯です。
 
 この様に治療に真摯に向き合い、志が高く、日々研究し進化し続けている、明るくオープンマインドで、愛のある開かれた治療院は他に行ったことがありません。
 
 先生の治療を目の当たりにし、丁寧に患者さんの身体の感覚に寄り添い、次々と魔法のように効果を上げていかれる様は、まさしく奇跡のようでした!それを「ね!簡単でしょ?!」「すぐに誰でもできちゃうわよ~!」と優しく言ってしまう先生こそまさしく素晴らしい存在で、鍼灸界で初めて心から尊敬できる方にお逢いできました。
 
 治療院の中にある、光の中に咲く色とりどりの鉢植えや、切り花達の生き生きとした美しい様は、やはりきれいな気が流れている証の様で、心地よく感じました。(2018年)

VOICE 108/鍼灸師(福岡県・男性)

 私は、40代で体調を崩し、座禅と鍼灸で救われた経験から気に興味を持つようになり、還暦を前に鍼灸師になりました。以来、まがりなりにも気をうかがう治療を心がけてきました。しかしながら、脈診と手掌感覚に重きをおいた診断と選穴、手技には往々にして迷いが付きまとい、治療効果についても術者の納得と患者の受け取り方が必ずしも一致していないことが気になっていました。そのような中、かつて鍼灸学校の図書館で見た陰陽太極鍼のDVDを思い出し、吉川先生の論文やDVDを見返して、この鍼を習得することができたら前述の悩みの多くが解消するのではと思うに至りました。

 私は、鍼灸とは気の流れを整えることで身体が持っている癒す力、つまり自己治癒力が発揮されて治癒につながる治療法であると考えています。一方、いわゆる特効穴に鍼をして特定の疾患を治すという治療法を否定はしないものの、それらに過度に傾斜する事には抵抗感がありました。
 
 その点、陰陽太極鍼はどんな症状に対しても陰陽のバランスを整えてゆくことで、全身の経絡の疎滞を取り除き、気の流れを整える理想の鍼法でした。 いくつかコツはあるものの、特定の疾患に対してそれ専用の治療を行うわけではありませんから、いわゆる難病と呼ばれる病気に罹患した患者さんにも治療を行うことができます。私の研修期間中にも、実際に難病の患者さんがいらっしゃって驚くべき改善をみられていたのが印象的でした。

 陰陽太極鍼の特徴として、異常のある経絡を見つけ出すのに、問診、舌診、脈診に加え募穴診、首回りの経穴の反応、腓腹筋の反応といった患者自身の不快な感 覚を利用していることが挙げられます。そして、それらの不快感が施術によって次々に消失することで患者自身が変化を認識でき、更に特筆すべきは、それらの反応を消し去る過程で患者が申告していた主訴も次々に消えていくと言うことです。
 
 まさに、陰陽のバランス、気の流れが整って自己治癒力が発動された証左だと思います。しかも、その変化のスピードは瞬時で、鍼灸学校時代に「気は一呼吸する間に6寸進む(一日に全身を50周する)」と聞いて「なんて大袈裟な」 と思っていましたが、まさにそう言ったスピード感でした。

 学生時代から「脈診十年」と言う言葉を繰り返し聞かされ暗澹たる気持ちになっていた私には、患者と共に異常のある経絡を探し出し、更に、その経絡上の異常経穴を同じく患者の実感で特定し、補瀉まで判定してゆける治療法は革命的なものに映りました。
 
 六部定位脈診で正経十二経の状態をぴたりと探り当てる名人芸には憧れるものの、十年かかったら自分は何歳になるのか、ならば要穴を中心に十二経全てを触ることは合理的です。この治療法では、古典に書かれていたり鍼灸学校で学んだりした常識的な選穴を覆すような配穴や補瀉が選択されることも有り、縮こまりがちな治療の幅が広がります。更に、施術法もDVD時代から進歩していて王不留行や皮内鍼を貼り付けると言う侵襲のほとんど無いものが中心で、子供や痛みに敏感な人にも受け入れられるものでした。

 私が今回学ばせて頂いたことは吉川先生が長年の研究と臨床の結果から編み出された鍼法のエッセンス部分で、これからまだまだ臨床経験を積まないと使いこなせないことは他の鍼法と同じです。ただ、何がうまく行って何が行かなかったかを自分で把握できたり、治療結果から治療前の脈診や舌診で判定したことの正否 を自ら点検できたりすることは、初学者には大変ありがたい陰陽太極鍼の特徴だと思いました。これからは、少しでも吉川先生の教えを理解できるよう、先生がヒントを得られた古典や最新の書物にも目を通しながら臨床に活かしていきたいと考えております。(2018年)

VOICE 107/学生(大阪府・男性)

 初めて先生のDVDを見た時、刺さない鍼でここまで変わるのかととても驚きました。過去に研修に来られていた先生からの薦めもあって、どうしても自分の目で見たいと思うようになり、今回研修に行かせていただくことになりました。
 
 「鍼を置く場所は全部患者さんが教えてくれるから」と仰る先生は、患者さんとコミュニケーションを取りながら、次々にツボを見つけ治療されていき ます。患者さんも「あぁ、楽になった」とすぐに実感されていて、刺さなくても変化していく患者さんを目の当りにしました。数人の患者さんを見学させていただきましたが、中でも難病の患者さんの表情が豊かで、はつらつとされていた事が印象に残っています。
 
 見学だと思っていたのですが、「じゃあ治療してもらいましょうか」と思わぬ展開で先生を治療させていいただけることになり、ひとつひとつ丁寧に治 療の流れを教えていただきました。学校の卒業試験や国家試験を控えた中での研修でしたが、思い切って帯広まで来て本当に良かったと思っています。もっと もっと勉強してみたいと思うようになりました。(2017年)

VOICE 106/学生(北海道・女性)

 あっという間の2日間でした。研修中は吉川先生をはじめ、東方鍼灸院の皆さんに大変親切にして頂き、感謝の気持ちでいっぱいです。刺さずに置くだけの鍼を見学体験し、その効果を目の前にして、これまで思っていた鍼灸に対するイメージが一気に変わってしまいました。
 
 脊髄小脳変性症や 網膜色素変性症など、難治性の疾患にも効果を発揮出来る陰陽太極鍼は、多くの可能性を秘めた素晴らしい治療法だと感じました。恐れ多くも、吉川先生のお身 体に治療をさせて頂き、耳の反応点を探すのに苦戦しましたが「良い感じ」と優しい言葉を頂き、とても貴重な経験になりました。アットホームで温かな雰囲気 と皆さんの仲の良さにとても癒やされました。
 
 鍼灸師として右も左も分からない学生ですが、今回学ばせて頂いたことを活かして、一人でも多くの患者さんの元気な笑顔を見られるよう日々精進してゆく所存です。(2017年)

VOICE 105/鍼灸師(愛知県・女性)

 6年前と3年前そして今回、日々の治療で考え悩み行き詰まる事が多くなっていた時、初心に帰ろうと思い三回目の研修をお願いしました。吉川先生の治療は基本同じでも進化し続けていて毎回驚かされます。足のツボでは新しいツボがどんどん増えて、一本の経絡にも反応がある場所複数を補瀉することは考えた事がありませんでした。
 
 名古屋に帰って早速患者さんへ治療をしてみると、お腹や足・首の状態が患者さんもビックリするほどの変化が有りました(今までだと反応がなかなかとれない時はいろんな経絡を探し続けていました)。
 
 また吉川先生から「新月は“補”、満月は“瀉”の反応が多くなる」と伺い、大変興味深かったので満月で試してみた所、普段より“瀉”の反応が多く現れていました。いつも天気や気温などの気候は意識していましたが、月はそこまで意識していなかったので今後意識した治療をしてみたいと思います。
 
 東方鍼灸院では西洋医学では治るのが難しいと言われている症状の患者さんも多く訪れますが、今回だんだんと良くなられている患者さんとそのご家族のお話を聞き笑顔を見ていると、鍼灸は本当に楽しくたくさんの可能性を感じます。私はまだまだ勉強不足ですが、一人でも笑顔になれる方を増やしたいと思います。(2017年)

VOICE 104/鍼灸師・鍼灸学校講師(東京都・男性)

 今回、小脳変性症でドクター(医者)から手の施しようがないと言われ、絶望のなか、東方鍼灸院に辿り着いた患者さんの治療に立ち会えたことが大きな収穫でした。
今回は2日間と短い研修だったので、この患者さんの5回目の治療を1回だけ見学しました。
 
 患者さんは一人で歩くことができなく、奥さんに支えられて何とか通院しています。そんな患者さんが治療後に、なんと3歩ほど自分で歩くこ とができました。本人も奥さんも、吉川先生もスタッフも、皆びっくりしました。拍手さえも起きました。奥さんは涙ぐんでいるようにも見えました。吉川先生も、「ツボの力ってすごいわねー」と言って驚いています。喜んでいます。
 
 「必ず効果があるか、やってみないとわからないところがあるけれど、患者本人と、その家族と、治療者がこころを一つにすると、奇跡が起こるのよ」と吉川先生がおっしゃっています。陰陽太極鍼は、患者のその時に、開いていて反応が生まれるツボ(開穴)を探し、調整してゆきます。鍼は刺すことなく、肌に張り付けるだけ。まったく皮膚に刺すことはしません。慎重に、真剣に探ってゆく治療の作業は、習得するのに数週間で十分だと伺いました。(早い人だともっと短い人もいるらしいです。)
 
 私は3回目の研修だったのですが、吉川先生は、他の治療院のスタッフと何かが違うと感じていました。そして、それは患者が治ると信じる力なのではないか、患者の治癒を喜ぶ心なのではないか?と今回の研修で思いました。
 
 鍼灸学校を出ても治療ができるようにはならない人が多いです。なぜなら、実習の時間があまりにも少ないから。まず核となる治療法を身につける必要があるでしょう。それには吉川先生の陰陽太極鍼はうってつけだと思います。
 
 また、吉川正子先生の基には全国から難病の患者さんが来院します。普通の鍼灸院では、中々会うことのできないような患者さんです。そしてそんな難病の患者さんすら鍼灸治療による変化があることを、目の当たりできる東方鍼灸院での研修はすばらしい機会だと思います。(2017年)

VOICE 103/鍼灸師(東京都・女性)

 研修は、普段の治療の現場を、朝から夕方まで間近で見せていただけて、しかも、時々は患者さんの圧痛が変わる様子を、実際の患者さんに触れさせてもらって、確認することも経験させていただき、その都度質問があれば、答えて下さり、今まで体験した学校や、勉強会での練習とはまったく違う、即臨床現場さながらの様子を肌で感じることができ、それが何より貴重な体験となりました。
 
 実際の治療は置くだけの鍼や、王不留行という漢方の種をはることで、しかも、治療ポイントは、痛む足と反対だったり、首の痛みが足首への置くだけ鍼で、一瞬にしてとれてしまったりするので、患者さんの驚く顔が毎日のように見られ、本当に毎日が奇跡の連続でした。
 
 治療の合間に、先生をモデルに何度か指導してもらいながら、実際に治療もさせていただき、本当に、一瞬で凝りがとれたりしていくので、とても不思 議で、でも、一つ一つの経脈を患者さんに聞きながら、反応点を探して、丁寧に触っていくので、術者にも患者さんにもとてもわかりやすい治療法だなと思いま した。
 
 ベテランの患者さんは、「先生、やっぱり胃経ですかね」「腎経ですかね」とか、専門用語がすらすら出てきて、ちゃんと家でも、ご自分で温灸した り、ローラー鍼を使ったりして、セルフケアをされていて、吉川先生も、繰り返し「このラインをローラー鍼で、おうちでもコロコロしてね」とか「温めるのが いいのよ、ペットボトルにお湯を入れたものでもできるからね」などなど、患者さんに常に仰っていて、セルフケアの重要性と患者さん教育の大切さもヒシヒシ と感じました。
 
 研修の合間に先生が「本当にものすごい奇跡を起こされた患者さんというのは、この治療ももちろんなんだけど、ご家族の方が本当に家族中で熱心にそ のお子さんの事をおもい、遠くから通ってきたり、ときにはホテルに宿泊して治療を受けたり、そして家でも温灸したり、子供だったら、家族がローラー鍼を やってあげたり、お家でできるセルフケアを、それはそれは熱心にされていたのよ。」「そういう家族の力もあり、奇跡は起こるのねー」と話されていたのも、 とても印象に残っています。
 
 最後の最後まで治療の様子を見せて頂いた、小脳変性症という難病の患者さんも、治療の度に、表情が明るくなり、介助なしにはほとんど歩けなかったのが、仙骨のお灸をした日から、ベッドの周りを歩けるようになり、目の焦点も合うようになり、言葉も出やすくなって、奥様の表情も日に日に明るくなるのが、とても印象的でした。
 そして、奥様が、「普通は病院では、この病気は症状が進行するばかりで、よくなることはないと言われていて、うちの主人みたいに、こんなふうに症 状が良くなっていくなんて、そんなことは絶対ないことなんです。だから、本当に良かったと」仰っていたのも、とても心に残っています。
 
 短い期間でしたが、陰陽太極鍼のすごさと、吉川先生やスタッフの皆さんと患者さんとの長年にわたる信頼関係の積み重ねのすごさを目の当たりに見せていただくことができて、いろんな意味でとても勉強になりました。(2017年)

VOICE 102/鍼灸師(東京都・女性)

 すべてが初めて目の当りにする感動の治療に、必死に取り組ませて頂きました。先ずは皮膚感覚に驚き、「刺さない鍼」の「陰陽太極鍼」のすぐに痛みが消える事に衝撃を受け、今もなお感動が続いております。
 
 まだまだ、門を叩いたばかりです。日々の臨床では、患者様の皮膚を感じ、経絡、経穴をしっかり取り、的確な触診、経絡がどうなっているか、どう調整するか。吉川先生の教えをそのままに治療し、私の美容の分野でも臨床に生かして参ります。(2017年)

VOICE 101/鍼灸師(大阪府・女性)

今回の研修で感じた事を送らせて頂きます。
  • 患者様の体表感覚を基に身体の状態を把握し、施術ごとに、共に変化を確認しながら進めることで、的確で効果的な治療が出来ると実感しました。
  • 診察での身体の状態や、施術する経穴の効能を語りながらの治療は、東洋医学の透明性を高めると共に、納得して頂く事で、治療に相乗効果をもたらしているように感じました。
  • 正しく選穴すれば、皮膚表面の触圧覚への刺激のみで、症状が迅速に改善することから、私達の身体には、まだ未知の素晴らしい可能性があると感じました。
  • 陰陽の対極にある経穴で、より高い治療効果が得られる事を確認され、活用されている事は長い臨床の賜物と拝察し、古典の大切さを再認識しました。
  • 治療はシンプルで明確なものですが、各プロセスを丁寧に正確に積み上げる大切さを感じました。
以上、まだ臨床の入り口に立った所ですが、このような素晴らしい治療に早く巡り合う事ができ感謝しています。まだまだ勉強不足の身ですが、まずは自分の身体で効果を確かめられるよう練習していきます。(2017年)

VOICE 100/鍼灸師(北海道・男性)

 本当に多くの事を学ばさせていただき、貴重な1週間でした。2008年4月より毎月行われた札幌の「ちえりあ」での吉川先生のセミナーに参加させていただき、先生の治療をモデル体験し、その瞬時に体が変化する治療効果に興味を持ち、機会があれば東方鍼灸院の研修を受けたいと以前より思いながらも、なかなか行かれずにおりました。
 
 普段の患者さんの施術を見学させていただき、様々な症状の患者さんにも陰陽太極鍼法が対応されている様子に、セミナーだけでは得られない、とても貴重な学びでした。
 
 現場の生の治療風景は私にとって、今回1番体感したく心待ちにしていました。そして、吉川先生が苦労して作られた陰陽太極鍼法が、経絡を縦横無尽に活用なされているのを見せていただき、東洋医学の可能性の高さを再認識しました。特に先生の治療の素晴らしさの一つに、患者さん本人が今の自分自身の身体状態を自覚し、意識出来る共同作業的治療であると感じました。(2016年)

VOICE 99/学生(福岡県・男性)

 自分自身、鍼を刺すのも刺されるのもそんなに好きではなく、むしろ鍼を刺さずに効果があるならそっちのほうがいいなと思っていたところ、東方鍼灸院のことを知りました。実際にお伺いし、治療を目の当たりにすると頭ではわかっていたものの、それでも驚きを隠せませんでした。
 
 鍼や王不留行を貼っただけなのに、ふくらはぎやお腹の圧痛・張りが瞬時にして消失。本当に「すごい!」の一言しか出ませんでした。知識の乏しい学生に研修についていけるのかという不安もありましたが、研修を終えての感想は、学生のうちに来れてよかったと思いました。本当に有意義な時間でした。
 
 吉川先生が患者さん一人一人と向き合って治療をされていらっしゃる姿や、新しいことへ挑戦する姿勢には感服いたします。研修で学んだことが生かせるようよりいっそう励んでいきたいと考えています。(2016年)

VOICE 98/学生(京都府・男性)

 私はこの4月から鍼灸学校の3年になるにあたり、知識的にも技術的にも多くの不安を感じており、今後の道筋を見失いかけている所、吉川先生の刺さない鍼”陰陽太極鍼”をネット上でお見掛けしました。やさしい鍼を目指している自分にとってうってつけの内容だと確信し、吉川先生のDVDを購入し拝見した所、さらに興味をそそられました。まだ学生の身で、前も後ろもわかっていない自分が研修を受けさせて頂くなどおこがましいと思いつつも、直にこの目で見てみたいという欲求にかられて思 い切ってお願いすることに至りました。
 
 終わってみて正直、この時期に研修を受けさせて頂いて大正解であったと心から喜んでおります。私の鍼灸に対する考えを根幹から揺るがし、この道を選んで良かったと心より思っていると同時に、私の理想の鍼灸師像というのが少し見えてきたように思えます。
 
 私は先生の治療を目の当たりにして多くの衝撃を受けたのはもちろんの事、それ以上に先生の長年の経験をもとに生み出されたこの技術を惜しみもなく 披露して下さり、御教授して頂いた事に大変感銘を受けました。一人の先生しか使えないような手技など技術とは呼べず、受け継いでいくことができる手技こそ 真の技術だと改めて思いました。現に、武田先生や加納先生が吉川先生と同じような施術をされているのを見て、また患者さんが同じように満足されているのを 見て、”陰陽太極鍼”の素晴らしさを再認識致しました。
 
 どうしても医療は先生主体で患者さんへの一方通行で、施術者はつい傲慢になりがちですが、先生は患者さんと共に病気に立ち向かっていこうという姿勢で常に患者さん側に立っておられました。本来医療というものはそういうものなのだと思い知らされました。
 
 先生はお人柄も素晴らしく、しばらくするともう長年ここにいたような感じで楽しく過ごすことができあっという間に研修期間を終わってしまったような印象です。その一方、先生の鍼灸治療への飽くなき探求心をまざまざと見せつけられ、生涯勉強だと強く感じました。今の技術に満足することなく、さらなる高みを目指されている姿を見ると次回お会いする時は、またあっと驚くような施術をされているのではとワクワクしています。
 
 今回の研修を終えて、もっと勉強したい、もっと技術を向上させたいという欲求で溢れかえっている自分がいます。この経験を今後の学校生活およびその後の鍼灸師としてのキャリアに活かしていきたいと思っております。(2016年)

VOICE 97/外科医師(北海道・女性)

 怪我や手術のあと、体調不良が残る場合があります。その症状に対して有効な治療がない場合、対応する医師としても辛いものがありました。そんな理由で漢方の勉強をするうちに、鍼灸についても興味をもち見学に参りました。
 
 まず診察の際は、問診舌診脈診などの後に、腹診をします。一定のつぼを押し、反応がある部位に関連する経脈やつぼを治療するようです。患者さんは圧痛の 有無を即座に答えていました。次に腓腹筋を 把握し硬さや圧痛を確認します。体のバランスが整うと痛みがなくなるということでしたが、これも圧痛については患者さんの明確な返答がありました。更に頚部のつぼで圧痛をみます。これも、関連した経脈やつぼを後から治療するための情報収集です。頚部に関しては、圧痛のほかに押すと気持ちが良いという返事がありました。
 
 診察のときに得た情報をもとに、前腕、下腿の経脈をさすり、最も敏感なつぼから治療していきます。王不留行という漢方薬の種か、ハテナ形の小さい針金(平 軸皮内針)をテープで貼って治療します。1か所貼るだけで、全身の反応ががらりと変わるのは驚きでした。平均すると6割~8割くらい圧痛箇所が変化しているような印象です。2か所、3か所…と治療を加え、頚部や腓腹筋などの圧痛点がなくなっていくよう整えていきます。次第に患者さんはリラックスした表情になり、楽になっているのが見てわかりました。その後、背部も腹部同様に、一定のつぼを診察し、関連した部位のつぼを治療していました。
 
 体験治療もありました。問診のあと、患者さん同様に腹診や腓腹筋の診察など順番に受けました。圧痛部位をはっきり答えることができるのか、触られたとき 敏感なつぼが自分でわかるのだろうか、と心配でした。実際は、痛いところはえらく痛く感じ、そうでないところは何ともない、不思議ですがはっきりしていました。くすぐったい部分もはっきりわかり、笑ってしまうくらいでした。が、他の患者さんと同じように診察していて、特別くすぐったい何かをしている訳でもありませんでした。
 
 それまで、つぼって良く分からないと思っていましたが、つぼや経脈は本当にあるんだなと感じました。2か所貼ってもらいましたが、たった1穴貼った時点で全体に痛かった腓腹筋が すっかりほぐれたのには仰天しました。2穴貼って肩こりも少し楽になり、全身ほんわかと軽い感じがしました。それから3日間、いつもより2時間早く、夜 10:30頃に心地よい眠気に襲われ、起きていられなくなって早寝し、朝すっきり目覚めて快調でした。子供のころ から朝に弱かったのですが、単に寝つきがやや悪く体の要求よりも遅寝になっているのかもしれないと思いました。
 
 鍼灸は全くの謎でしたが、理論的に治療し、体に即座に反応がでるので、科学的で奥の深い学問だと思いました。また、病院で治療法の無い患者さんが、鍼灸院で改善する可能性もあると思い心強く感じました。見学させて頂き、有難うございました。(2016年)

VOICE 96/医師(大阪府・男性)

 吉川正子先生の陰陽太極鍼は、鍼灸を治療に取り入れ始めて2年目の頃に「松田博公対談集ー日本鍼灸を求めて」(緑書房)や鍼灸OSAKAなどの雑誌を通じて知りました。ビデオを拝見させていただいても、正直なところピーンと来なかったのは、今思えば、まだまだ鍼灸の知識と経験が乏しかったからで、とても恥ずかしく思います。
 
 あれから数年を経て、再度、吉川先生の陰陽太極鍼を読ませていただいた時に「これだ!」と雷に打たれたような喜びを感じました。ちょうど新医院の開業準備中で長期のお休みが取れましたので、1週間の短期研修をお願いしたところ、快く受け入れて下さいました。
 
 それまで経絡治療からは少し距離を置いていたので、知識のなさが見え見えなのに、吉川先生は一から丁寧に優しく教えて下さるので大変勉強になりました。初日のお昼休みに「これから実技をします。私に鍼をして」とおっしゃられたのには驚きました。「大丈夫、みんな1週間したら陰陽太極鍼ができるから」の嬉しいお言葉に甘えて、吉川先生に切診・置鍼をさせていただいたのが帯広の最高の思い出です。
 
 「そこそこ、上手ですよ」のひと言ひと言が大きな励みと自信になりました。1週間の間に、いろいろな病状の患者さまへの治療を見せていただきましたが、初診再診、病状に関わらず、どの患者さまにも丁寧に切診置鍼されていく姿に吉川先生の素晴らしい人となりを見ると共に、「王道の治療はかくあるべ し」のお手本を示して頂けたように思います。
 
 鍼灸で患者さまにも喜んでいただく機会も増え、数をこなしていく術も覚え始めた頃でしたので、吉川先生の患者さまに向かわれる真摯な姿は、私の鍼灸漢方治療を再び善の道へ向かうようにと軌道修正して下さいました。
 
 新しい年を迎え、新医院で鍼灸漢方治療を再開しました。もちろん陰陽太極鍼を使わせていただいています。他の病院で匙を投げられた難病や不定愁訴の患者さまが来られても、自信を持って「治りますよ」と言ってさしあげられるのは、ひとえに吉川先生のおかげです。
 
 吉川先生に教えていただいた陰陽太極鍼の優しい切診と丁寧な置鍼を施術していくと、どんな病状や愁訴でも着実に軽快していくのが感じ取れます。新医院では、西洋医学のよいところ、東洋医学のよいところ、それぞれをうまく使いこなしながら未病を癒やし、患者さまにどんどん「ごきげんさん」になっていただける医療を創造していきます。その中心に吉川先生の陰陽太極鍼が一際光り輝いて見えています。吉川先生のおかげで、これからたくさんの患者さまに喜んでいただけます。(2016年)

VOICE 95(長期研修)/北海道・鍼灸師(男性)

 研修が始まり半年になります。私は今年鍼灸学校を卒業したばかりですが、在学中に2度短期の研修を受けさせて頂きました。学校で習う鍼は西洋医学による鍼が多く、経絡や経穴の意義を在学中には理解することが出来ませんでした。しかし、東洋医学の英知が数千年もの間続き、今も尚息づいているという事実は、ツボが存在しているという事に他ならないと思い、その存在を確かめる為に東方鍼灸院の長期研修に申し込みをしました。
 
 卒業してすぐの、何も臨床の経験もないままの研修でしたが、1ヶ月間、毎日、吉川先生の傍で治療を拝見させて頂いて、細かくご指導を頂いていると否が応でも記憶の中に治療の大枠が入ってきました。約1ヶ月が経った頃に、そろそろ治療を行ってみてはということで、初めは1日1人~2人ペースで治療を 行いました。学んだままに施術を行うしか出来ない状況でしたが、それでも着実に効果が出ることに驚きました。良くなっていくということが、実感として分かるにつれて、治療効果も上がっていったように思います。
 
 それでも、ツボの位置がわずかにズレていたり、弁証に過不足があると治療効果が出ないことがあり、日々新しい課題を乗り越えていく感じでした。今でも分からないことが多くありますが、着実に治療の効果が出来るようになってきていると思います。東方鍼灸院の患者さんは通常さじを投げてしまうような難治の方がほとんどですが、それでも効果を上げる陰陽太極鍼は本当にすごい治療法で、再現性が非常に高く、誰でも効果を発揮することができる素晴らしい治療だと思います。東洋医学とは、鍼灸とは、生命とは、そして存在とは何であるかを知らず、初地を踏み出したばかりですが、これからも精進していく次第です。(2015年)

VOICE 94(長期研修)/神奈川県・鍼灸師(男性)

 長期研修生として東方鍼灸院で働き始め半年が経ちました。本屋でたまたま見かけた「鍼灸ジャーナル」の眼科特集で吉川先生のことを知りました。興味を持ち、どのような治療をしているのか見てみたいと思いましたが、北海道にあり、すぐには行けないので、東方鍼灸院 で研修されていた柳本先生のところに行きました。

 治療が始まると、手足をなでられ一番過敏に感じた所へ シールでとめないと落ちてしまうほどの鍼治療。感覚としては、ただ置かれただけという感じ。もちろん鍼の痛みは全く無い。それなのに身体があちこち変化 して、治療が終わると身体全身が軽くなりました。それまで痛いところに鍼を刺す局所治療しかしてこなかったので衝撃的でした。
 
 柳本先生に東方鍼灸院に興味があることを伝えると「これから10年間迷いながら治療するよりも、吉川先生のところで臨床、技術、理論をしっかり学ぶ方が将来のためになるから行った方がいいよ!」と助言を頂きました。その頃どんな治療をするのがいいのか迷っていたので、背中を押された気持ちになり研修に行くことを決めました。
 
 東方鍼灸院で3日間見学して、実際に目の前で患者さんがあっという間に良くなっていく姿を見て驚きの連続でした。皮内鍼と漢方の種(王不留行)しか使わないので、 痛みなく安心して受けられ、治療効果もあり、刺さない鍼はとても魅力的でした。神奈川に戻り早速、父に試してみると膝の痛みが良くなりました。吉川先生が おっしゃっていた、この治療はだれでもできるからという言葉通りでした。

 吉川先生のもとでもっと学びたいと思いましたが、長期研修生を希望した時には新し い研修生が入りタイミングを逃してしまいました。残念と思っていた時に、吉川先生からスタッフが退職するので来ませんか?とお誘いのお電話がありました。 これは何かの縁だと思い長期研修生として東方鍼灸院に行くことに決めました。
 
 今まで現代医学的な治療しかしてこなかったので、初めの頃は経穴がわからず募穴を聞かれても、忘れていて不安でいっぱいでした。でも、吉川先生の治療をそばで見て、話しを聞いていると不思議と東洋医学の知識がいつのまにか頭に入っていました。吉川先生の近くにいると日々新しい発見があり、とても勉強になります。
 
 東方鍼灸院には、整骨院に勤めていた頃には出会えないような疾患の方も来ます。以前ならどう治療していいか分かりませんでしたが、陰陽の考えを使い、経絡の流れを良くすれば、どんな疾患でも対応できます。そのためには、五行、流注、経穴などをしっかりと把握していないといけません。ツボの位置が1ミリずれるだけでも効果が全く違います。学校の頃は国家試験のためだけに必死に覚えていましたが、実際に臨床で使うとこんなに大事なことなんだと気付かされました。
 
 東洋医学というと難しいイメージがあり敬遠していましたが、現代医学では体験できない不思議なことばかり起きます。例えば、バネ指の方で陰陽を使い足のツボを一穴刺激しただけでさっきまで動かなかった指が動いたこと。一人では歩けない方に、背部兪穴と耳穴の治療をしただけで帰りにはスラスラと一人で待合室まで歩き、現在は踊りまで出来るまでになったこと。他にも数々の驚きの体験をしました。

 今後も不思議なことがたくさん起こると思っています。吉川先生の進化にはついていけませんが、少しでも近づけるよう日々 勉強、経験を積んでいきたいと思います。初めての一人暮らしが北海道で色々な不安がありましたが、いつも気遣いしてくださる代表、院長、一緒に学び支えてくれたスタッフに感謝の気持ちでいっぱいです。(2015年)

VOICE 93/鍼灸師(北海道・男性)

 四年前に日本東洋医学会のご講演をお聞きし画期的な手法で、今までのような経絡治療の難解さがない方法を示され、大変感動致しました。また札幌でも坪谷先生にもアドバイスを頂きながら見よう見まねで御座いますが、何とか実際の治療で試しておりました。
 
 吉川先生に出会うまでは難解な経絡治療には敬遠気味でしたが、陰陽太極鍼では私にも出来そうな画期的な手法で調整出来る喜びを味わえました。治療にあたらせて頂く患者様が難しい症状で考え込んだり、実際の治療は難しいものですが、これからも技術を磨き、上達出来ますよう精進したいと思います。 (2015年)

VOICE 92/鍼灸師(兵庫県・女性)

 やっぱり陰陽太極鍼はすごいと思いました!目の前で見られたこと、奇跡が起こるその場にいられたことに、本当に感謝しております。次の日早速、膝OAのかたの治療で、陰陽太極鍼にチャレンジしました。王不留行を湧泉に一穴貼っただけで腓腹筋がぐにゃぐにゃになり、募穴の圧痛も消えました!
 
 時間はかかりましたが、患者さんは心地よすぎて、最後の、ものすごく陥下していた脾兪に温灸で爆睡されてしまい、肝心の結果があまり確かめられな かったです(笑)ある一定の動きをされた時にしか痛みが発生しないため(それがどんな動きかわからない)、毎回直後効果はわかりにくいかたなんですが。
 
 ただ、寝ぼけながらも、気持ち良かったー、膝楽になったような気がするーと言って頂けたときは、本当に嬉しかったです。良い治療をさせてもらえたんだな、と実感出来ました。患者様も、施術者側も笑顔になれる治療って、本当に素晴らしいですね!!!もっともっと勉強して臨床経験を増やしていきたいです。(2015年)

VOICE 91/鍼灸師(東京都・女性)

 この春に鍼灸の免許を取得したものの、なかなか臨床に出る機会も得られず、これから先どのようにこの道を進んでいけば良いのかと思い悩んでいた時、 友人から東方鍼灸院の研修制度を教えて貰い、さっそくホームページから吉川先生の論文やコラムや症例報告などを読み、DVDで治療の様子を拝見して大変興味を持ち、その手技を間近で見学したいと思って門を叩きました。
 
 私は先生の、刺さない鍼で患者さんの症状を改善する、素晴らしい治療法を目の前で見て、驚き感動したことは勿論なのですが、 それにも増して、先生の治療者としての人間性や姿勢に触れたことで、これから先、患者さんと向き合っていく自分の心構えのようなものを学ばせて頂いたと感じ、この研修でのとても大きな収穫のように思っています。
 
 先生の、常に患者さんと一緒になって治療を進めていく方法、また治療効果が体感できるまで徹底的に追求する点には非常に驚き、感銘を受けました。ここに治療者としての先生の信念とプライドを感じました。
 
 先生はとても温かく、また気さくなお人柄で、最初のうち緊張していた私はすっかり安心してしまい、その為なにか失礼がなかっただろうかと今頃になって心配している程です。
ここで学んだ治療法で、今の自分がすぐに効果を出すのは難しいと思いますが、初めは少しずつ試しながら練習してみたいと思っています。(2015年)

VOICE 90/鍼灸師・鍼灸学校講師(東京都・男性)

2度目の研修を受けて

  治療後の患者さんが、皆さん自分の体の変化に顔を輝かせるのを見ると、前回にも増して鍼灸で病気が治ることを心から信じられるようになりました。そして鍼灸師というのは素晴らしい職業だと確信しました。

 研修期間中、脳・中枢神経の問題だろうと思いますが、言葉がうまく話せず、手足も思い通りに動かせない重篤な 患者さんが来院されました。さて、吉川先生は どうするのだろう?と、ドキドキしながら治療を見学しました。終わりに近づき、使った穴(ツボ)の最終確認をする段になると、患者さんが自分の手で指し、 また自分の言葉で、「そこじゃない」「そこだ」などと開穴を指摘するではありませんか!ご家族の方もびっくりして、笑顔になりました。
 
 後で、先生のお話の中で「本当に、こんな大変な患者さんがきて、どうなるかしらと思ったけど、良くなるのよ」と仰いました。そして「凄いわね~、穴(ツボ)の力って」、「患者さんの体が全部教えてくれるのよ」と。先生には全てが”新鮮な驚き”なのでしょう。
 
 ご自身の勉強も留まることを知らず、常に新しい発見をして”新鮮な驚き”をされています。難しい本だけでなく、いろいろな学会誌・業界誌の最新号 が届くとすぐ目を通されていて、アップデートされます。私の1年分の勉強を、先生は1週間で終わらせ身につけていらっしゃるように感じます。
 
 初回の研修では「治療家が『偉い人』で全部を決めてゆくのではないのだ」ということを学びました。学校でも、患者主体の医療の在り方を色々な先生から聞かされます。しかし実践されている方は少なく、吉川先生ほどハッキリ実践されている方はいらっしゃいませんでした。「穴(ツボ)の力は凄い」ということも。 ただ一か所だけに、鍼を置くだけで、一瞬で体が明らかに変化するのを、何度も目の当たりにすると信じないわけには行きませんでした。
 
 今回は「患者さんが主体であるとはいえ、治療家は知識を持ち、穴(ツボ)の状態を十分に感じる感覚を身につけること、治療に対して、最後まであきらめず取り組む意志の強さが大切であること。」を学びました。変な喩えかもしれませんが、私の修行している空手などに「夫婦(めおと)手」という言葉があ ります。主となる一方があるものの、両方がなくては成立しません。協調させることがとても難しいのです。
 
 なんだか、陰陽の話に近づいてしまったとハッとします。そうだとすると、陰陽太極鍼というのは、このような関係性のことも指しているのではと想像してしまいます。(先生に問いかけたことはないので、全然違うかもしれません。私の感想なので悪しからず。)2回目の研修を終え、集中して研修するのも大切ですが、可能ならば時間をおいて、研修させていただくのも良いと思いました。(2015年)

VOICE 89/鍼灸師・学生(北海道・女性)

 東方鍼灸院では刺さずに置くだけの“陰陽太極鍼”という治療法を行っている。上の病は下にとり、下の病は上にとるというように陰陽の調整をすれば症状はよくなるという考え方である。手足に三陰三陽計十二経脈があり、それぞれ五臓六腑を通過している。その日のその時の身体の状態で開くツボ(開穴)の最も過敏 な所に鍼または王不留行の種子を置いて治療する。効果もすぐに確認できる治療法である。中国医学の視力回復法を用いて眼科治療にも力を入れている。(東方鍼灸院の手引きより)

① 施術所は明るく、心地よい温度でリラックスできるような感じだった。ベッドが8つあったが、それぞれカーテンで仕切られていて個室のようではあるが、カーテンのため圧迫感はない。それもリラックスできる要素のひとつだと思った。うるさくない程度に音楽も流れていた。

② 体のツボを次々と軽く触って患者さんの思う気持ちのいいところを探して治療していた。実際に患者さんに説明しながら進めてくれるので、受ける方も受けやすかった。患者さんの思う自分の症状に関する不安なことなどに耳を傾け、家でもできる治療法を教えてくれたりするので少しでも改善しようという意欲がわい た。

③ 感想
最初に気持ちのいいと思うツボ「開穴」を探して一番過敏だったところに置いただけで、ふくらはぎがやわらかくなったり、たった一箇所に置いただけなのに効 果がすぐに見えることに体って奥深いと思った。また施術師さんが次々とツボを触って開穴を見つけるけど、自分が気持ちいいと思う所を施術師さんに伝えて治療するから一緒に治療しているような感覚でおもしろかった。

④ 理想の鍼灸師像 患者さんが訴える症状を改善するのはもちろんのこと、患者の心まで癒すことのできる施術師になりたい。 患者さんの症状を改善するためには知識があってこその腕だと思うから勉強に力を入れたい。また人とふれあう仕事だから、コミュニケーションがとても大切になる。患者さんとの会話を楽しみながら適切な処置ができるような施術師を目指したい。

⑤ 鍼といってもほとんど鍼を使わない「刺さない鍼」もあるんだと知った。刺さなくても効果はある。刺さなくても治療できるなら、刺さない方が患者さんの鍼に 対する恐怖心や衛生面でも心配することが減るのではないかと思った。刺す鍼を体験したことはないけれど、こういう方法もあるんだと知った上でこれからの鍼灸の勉強を頑張ろうと思った。(2014年)

VOICE 88/鍼灸師(大阪府・男性)

 吉川先生のセミナ-にはたびたび出席させていただいているのですが、施術所で実際の患者さんの施術をあますところなく見せていただいて大変感謝しています。いままで出席させて頂いたセミナ-で出来るだけ真似るように行ってきたのですが、実際吉川先生がモデルになって頂いて開穴の探し方などを直々に伝授して頂き、このタッチの仕方がちがうなど、患者さんの触診の仕方など丁寧にご指導頂き感謝しています。
 
 また処置を行う際にも改めてツボをさがし的確な部位に処置を行うことなど、いままでのセミナ-だけでは正確に把握できてなかったことに気付かされました。印象に残る患者さんは、脳梗塞の後遺症で2年間右第3指の動きが悪く困っていた患者さんが、遠隔の処置によって見る見る変化していく様子や、ギックリ腰でベッドに上がるのも大変な患者さ んのこの処置によって処置後はかなり歩けるようになって帰っていく様子や、アトピ-の子供の処置など見せていただきました。
 
 今回の研修での実際の患者さんの声もうかがい、改めて陰陽太極鍼のすばらしさを感じました。開穴に処置を行うときも再度ツボの確認を丁寧に行い、 微妙な位置の確認を正確にしていき、またその処置によって変化している状態を確認していき、患者さんだけでなく術者も変化を確かめ、処置が良かったかどうかをしっかり確かめる。この処置をくりかえしてすべての圧痛点や疼痛部位、患者さんの主訴とする症状を次々に消失させていく吉川先生の処置には改めて驚かせられました。(2015年)

VOICE 87/鍼灸師(フランス・女性)

 吉川先生のご指導頂き、1週間の短期研修でしたが、学ぶ事が多く大変勉強になりました。患者さんの痛みがあっと言う間に消えていく施術を目にし、自分でもそれを体験することが出来、フランスから帯広に行った甲斐があったと思います。
 
 臨床経験、知識を惜しまず教えようとしてくださる先生のお人柄、そして患者様が納得するまで治療をする姿勢に感銘を受けました。もうすぐ長い夏休みが終わろうとしています。これから陰陽太極鍼を治療に取り入れていければと思います。どのようにフランスで受け入れられていくか、又、ご報告させて頂きます!今後、フランス人にも理解してもらえる様に、陰陽太極鍼の理論の部分を仏訳しようと思っています。(2015年)

VOICE 86/鍼灸師(愛知県・男性)

 5月の連休明けから研修を始めるにあたり一ケ月の研修は長いかな?と思いつつ始まりました。ところが始まると毎日吸収することが多くて日が経つのが早いこと早いこと、一週間がアッと言う間に過ぎてしまいました。
 
 そして一ケ月を迎えようとしている頃には自分でも何とか自分なりの治療が出来そうな思いがしてきました。一日一日はそれ程変化のある毎日ではなく先生の治療を傍で見せてもらいながら自分なりに理解し、時折先生から「ここはね、こうするといいのよ。」などのアドバイスをいただき、また、こちらの質問にはその都度丁寧に教えていただきました。ですから、一見単純なことの繰り返しのようにも思えるんですが、その内容は濃いものでした。
 
 先生は治療を始める時から徐々に変化する患者さんの反応を確認しつつ治療を進められて「今まで動かなかった腕がここまで動いた!」とか、 「痛かった痛みがほとんどなくなった!」とか、中には「マジックみたい!」という患者さんの反応を見ているのでほんとうに楽しくて仕方ありませんでした。 先生も治療しながら患者さんの変化を楽しんでおられるんじゃないかと思えました。
 
 ある日、食事会の席で先生に「治療の楽しさのおすそ分けをください。」と言ってしまいました。先生は笑っておられましたが、今の治療法が確立されるまでには多くの知識と努力と経験の積み重ねによると思います。それを余すところなく教えていただける環境を提供していただけて本当にありがたいと思います。私もこの治療法を土台に少しでも上に積み上げていけるようにしたいと思います。(2015年)

VOICE 85/鍼灸師(石川県・女性)

 前回は1日だけの研修に伺いましたが、当時の私は学生で、研修というものも初めてでしたので、緊張で吉川先生がどんな治療をなさっているのか、ついていくのがやっとだったような記憶がありました。今回は鍼灸学校を卒業し、国家資格を取得して、少しですが臨床も経験した上での4日間の研修ということで、前回のような緊張はなく、むしろ楽しみにしておりました。
 
 前回の1日研修の後、私は吉川先生が治療に大いに取り入れておられた刺絡に興味をもち、刺絡の講習会に通ったり、富山、大阪で開催された吉川先生の講演会にも足を運んだり、その後の鍼灸学校卒業間近の臨床のテストでも「陰陽太極鍼」を使って治療に挑みました。
 
 そのときの患者さまは乳がんで 乳房摘出、なおかつペースメーカーの女性で、腕の開穴を探そうと触ったところ、敏感な気質で「触られたくない」と言われました。そこで足に触ったところ 「大丈夫」とのことで、足の開穴に鍼を置いてみると、その一穴で全身を触っても平気になり、そのあとの治療もスムーズに行うことができたのです。
 
 それから、王穴。これは本当にスゴイです。学生時代の私でも使うことができました。鍼をツボに置くだけで友達や家族の五十肩がその場で解消され「催眠術か何か?」などと不思議がられ喜ばれました。その様子を周りで見ていた人たちの驚きもすごかったです。
 
 そして、今回の研修。前回は鍼の向きで行っていた補瀉が王不留行と皮内鍼に変わっていて、治療道具はこれに鍼をとめるテープとピンセット。そして耳ツボ用の鍉鍼。「これだけ?」それでも治療の基本は変わっていなくて明確な補瀉、わかりやすく整理された治療方法。その中で「背中の七行線」は私の中では新しく、使う患者さん続出で、これも早速とりいれていこうと今から楽しみです。前回1日だけの研修では見えなかったことが沢山あり、日数を重ねたので変わった症例をたくさん 見学することができました。
 
 吉川先生はキッパリとおっしゃいました。「こちらが決めるんじゃないの。教えてもらうのよ。」開穴を見つけて治療する経穴は治療者が決めるのではなく患者さまに教えてもらうのです。これがまた、子供でもハッキリと指摘してきますし、つじつまが合う。不思議です。(2015年)

VOICE 84/鍼灸師(神奈川県・女性)

 先生の治療理論は雑誌やDVDで拝見しておりましたが、その場に行かないとわからない事が多々ありました。最初の1穴で起こる大きな変化、患者との距離感、会話やアドバイス、吉川先生自身の体調管理方法など、院の日常に触れる事で学びや感ずるのもが沢山ありました。
 
 また吉川先生に実際に施術を行って頂き、治療効果を体感させて頂きました。施術後、すっと無理なく立てる感覚を得ました。施術中も、1穴とる度に 最初に確認した硬結がどうなっているのか確認されるため、硬結が消失しているのはわかっていましたが、立位になった際に身体の変化が改めてわかりました。 骨盤が締まり肚の位置が定まり、身体が軽くなっていました。初めて訪れる場所で、貴重な研修中ということで身体が緊張していましたが、その緊張が解け、胃腸がぐるぐると動き続け、足取りが軽くなっていました。これが経脈の疎通という事なのだろうと身体で感じ得る事ができ、とても貴重な体験でした。
 
 実技指導では取穴の細やかな世界観を教えて頂きました。特に太谿穴の効かせ方をご指導頂き、瞬時にコリが消失した時には、自分でも本当にこんな事が出来るのかと驚きました。見学では内科疾患や難病の方の治療にも出会い、良い経過をたどっている事を目の当たりにする事が出来ました。
 
 私は日常、筋・骨・神経を指標に血行促進、筋力の維持・向上を図るように施術を行っております。しかしマッサージによって血行促進される気持ち良さと、経脈が疎通する気持ち良さは違う、という事が身体で理解出来た事が今回の大きな学びでした。目には見えない経絡、経穴を信じ、病名に惑わされず、新たな視点をもって患者と向き合おうと思いました。

 1週間の研修で多くのものを学ぶ事が出来たのは、吉川先生がオープンな姿勢でいて下さるからだと思います。本当にありがとうございます。私も勉強して、患者さんに学ばせて頂きながら、精進してまいります。(2015年)

VOICE 83/鍼灸師・鍼灸学校講師(東京都・男性)

  研修の感想として、びっくりしたこと、驚いた事などを列挙してみました。

◆「良くなった!」「悪いところがなくなった」と患者さんが心から仰るまで施術し、研修中拝見した全ての患者さんの体を毎回悪い所が改善する状態にまで治療していきます。「あと○回来たら良くなるから」というような治療ではなく、まず初回治療から体が良くなるという結果をだす事が必要だと思いました。その状態だからこそ、継続して治療することにより更に有効になるのだと思います。

◆難病の方が多く東方鍼灸院にいらっしゃっていました。難病の方の治療を拝見できたことは、普段その機会がない私には大変勉強になりました。
 
◆子供の新規の患者さんが「良くなった!」とびっくりした笑顔になる場面に何度か遭遇しました。子供さんの反応は正直だったり、嫌になると違うことを返答したり、難しいなと思っていました。研修中、新規の子供さんが「良くなった!」と本当に笑顔で仰るのを見て、驚きとともに治療効果があることを確 信いたしました。
 
◆患者さん主体であることを徹底されていることにも驚きました。ほとんど全ての鍼灸師の方が「鍼灸師だったら患者さんのことは患者さん以上に分からなければいけない。」と言われます。しかし吉川先生はその点を充分に踏まえた上で治療法は全く逆。固定概念をひっくり返されました。”患者様主体、治るのも治すのも結局は患者さんご自身だ”という事をこれほど実現できる治療は他にないと感じました。
 
◆研修中も四六時中、吉川先生の側にくっついていました。先生にはご迷惑だったと思いますが、治療中は先生の傍から離れませんでした。とても勉強 になりました。患者さんも研修生を温かく受け入れて下さいます。本当にありがたいと思いました。待合室に”研修生を育てること”について張り紙もありました。自分はこの研修で皆様に”育てて頂いている”のだと実感しました。
 
◆治療院にある大量の本やビデオも拝見できました。吉川先生が治療を始めたころの資料を無理やり探し出していただいたりもしました。先生は「それは、あそこに有ったかしら?」とお疲れなのに見つけて下さって、「そうそう、この頃は・・」と貴重なお話を聞かせて下さいました。先生はどんな質問をしても、分かりやすく教えて下さいます。そして蔵書や資料の多彩さ・量の多さ、また先生の解説を聞くにつれものすごく勉強をなさっていることを知りました。そして自分の不甲斐なさを感じました。
 
◆吉川先生が現在も様々な論文や本を読み常に勉強されている姿に刺激を受けました。治療方法も先生は試行錯誤を常に繰り返しているとスタッフの方から伺いました。研修でご一緒になった方は、「半年研修に来ないと、治療のやり方が大きく変わっていてびっくりする」と仰っていました。先生の探究する意欲・試みは10代の若者の様だと思いました。負けられん!と奮い立ちました。
 
◆私は教員養成科に通っていながら経絡・経穴を覚えることの意義が見つからず、覚えるのが嫌でした。実際にこの一年付属施設で患者様を治療していても経絡・経穴の知識が必要だとは思えませんでした。しかし、吉川先生が経絡・経穴に対してアプローチすると瞬時に変化が表れるのを見て、ようやく経絡・経穴の威力を実感できました。次回の研修の時までに勉強してこようと思いました。

(以下、フェイスブックからの転記です。)
 
 一言で言うと、すごい。確実に効果を出している。予約でいっぱいの患者が明らかに変わって帰ってゆく。ほんとにすごい。まず結果ありき。結果を出 しているんだから、もうどうしようもありません。そして結果の出方の力強さが強力でした。僕も一度治療してもらいましたので自分でも実感しました。(効果を出すまで決して妥協しない。揺るぎのない実績に基づく治療があるのです)効果がこんなに顕著にでるとは。正直驚きでした。難病や子供も多くバラエティー に富んだ患者のすべてに対応できていました。本当にすべてに。ビックリです。
 
 僕は経絡経穴というものについて、あまりにもいろいろな説がありすぎて、いろんな先生が、自分が正しいという説を声高におっしゃるのだけれど、それぞれが全然違う。不確かな経絡経穴が治療の基準になりえるのか?疑問でした。やる気がしないことはやらない方針なので(笑)どうにも覚える気になりませんでした。あえて覚えるというだけの行為が嫌でした。
 
 しかし、今回経絡や経穴の 威力を目の当たりにすると、俄然必要性が納得できました。吉川先生は、患者に聞くというスタイルで、気持ち良いところ敏感なところを探ることで穴(ツボ) を特定してゆきます。患者主体なのです。大体の治療家の先生は、自分が穴(ツボ)を探し当てる、患者の体は自分の方がよく知っているというスタンスです。
 
 吉川先生は全く逆。全く逆のスタンスです。患者がどう感じるか、どうしたいかをものすごく優先します。本当に心が落ち着いてすべて受け入れられる 度量がないと難しいと思います。知識はあくまでも患者の反応が出やすいところを探し出す効率を上げるためのもの。うーん面白い。
 
 患者の言うこと、話すことを良く聞いてくれる先生のことを患者は信頼します。とくに西洋医(ドクター)の良い先生にはお話を良く聞いてくれる人が挙げられることが多いです。これは単に話を聞くことだけではなく、患者の反応や感覚の変化を大事にすることとも同じことだと気付かされました。
 
 一例ですが、仰向けから治療が始まるのが基本的な流れなのですが、ある患者が、「今日はうつ伏せからやって」といったらそのまま「そうだね」とうつ伏せから始めたこと。普通だったら間があって考えたりするところをすんなりと「そうだね」と言えることに、患者優先ってこういうことなんだろうと思いました。治療家の皆さん、是非一度吉川先生の治療を体験されると良いと思います。研修もお薦めです。全くすべてオープンに教えて下さいます。多くのことを学べると思います。(2015年)

VOICE 82/鍼灸師(東京都・女性)

 わたしは、2013年1月に東京で開催された講習会「刺さずに置くだけの鍼、陰陽太極鍼の極意」に参加し、吉川先生の施術を目の前で体験しました。鍼は刺さずに置くだけ、王不留行(おうふるぎょう)という漢方の種をはるだけで患者さんの身体が変わる。見ているだけでは何が何だかわからず、治療を受けてみたいと思いました。
 
 そこで東方鍼灸院のホームページを拝見し、研修生を受け入れていることを知りました。そして、今回の6日間の短期研修となりました。
 
 まず、驚いたことは専門用語バリバリで吉川先生が治療をしているということです。
経絡や経穴を言いながらの治療は鍼灸の学生でもついていくのがやっとでした。しかし、慣れた患者さんは今日は湧泉が、京骨が気持ちいい…などと話している。
 
 今までの私は、専門用語を使わずできるだけくだいた表現をするものというのが常識でした。しかし、そのまま伝えることで、より患者さんは興味を示し患者さん参加型の治療になるのだなと思いました。患者さんとともに作られている、すごい、すばらしい治療だなと思いました。
 
 この研修の経験を生かしてどんな患者さんが目の前にきても慌てることなく、患者さんとともに作る治療、患者さんの治癒力を高める治療を心がけていきたいと思います。(2015年)

VOICE 81/学生(北海道・男性)

 先月に続き、3日間の研修をお願いしました。通い慣れた道の先には、相変わらず温かい笑顔の院長とスタッフの出迎えがありました。今回は短期研修の 方が2人先にいて楽しい毎日を過ごさせて頂きましたし、客船で活躍されている研修の大先輩が来られ、勉強になりました。それに加え、スペシャルタイムで代表とお話しできたのは光栄でした。
 
 懐かしい患者さんのお顔、前も来られていましたねと声をかけてくださり、3日間お邪魔したというより戻ってきましたという感覚です。患者さんは、様々な年齢の方がいらっしゃいます。小さなお子様をはじめ、どの患者さんも明るく帰って行かれるのは、院長の会話に引き込まれるものがあるのと、痛みを与えない陰陽太極鍼ならではのものではないかと思います。そんな患者さんの表情は、この鍼法の力が本当に素晴らしいということを物語っていました。(2015年)

VOICE 80/学生(北海道・男性)

 念願の東方鍼灸院訪問にワクワクしながら、厳寒の帯広を訪れました。初めて吉川先生にお会いしたのは、2011年の日本東洋医学会学術総会です。当時は鍼灸専門学校に入学したばかり、失礼ながら先生のことは存じ上げませんでした。何故か先生のセミナー会場だけ人が溢れて入ることができず、こんなに注目される内容が知りたくて体験治療コーナーを覗きましたが、そこも大盛況で入れません。
 
 終了間際に先生の実技披露があったものの後ろにいたため見えず、結局、陰陽太極鍼を知るチャンスだったセミナー・体験・実技公開の全てで、この手法に近づけないまま終わろうとしていました。たまたま隣にいらした東方鍼灸院のスタッフが、「体験すればわかります。研修を受け入れているので、一度来られては」と声をかけてくださいました。その時、「時間がないので、これが最後です。どなたかモデルになりたい方は」と先生の声が聞こえました。
 
 スタッフが、「あっ、すぐ手を挙げて」と背中を押してくださり、幸運にも最後のモデルとして体験させていただくことになりました。先生の施術は痛 みがないので、何をされているのかわかりません。ただ、先程まであった過敏な感覚、痛みが一瞬にして消失しているのはしっかり体感しました。見ていた方々 の感嘆の声、何故なのか理解できなかったのは恐らく自分だけだったでしょう。残念ながらそこで時間切れとなりましたが、鍼灸師を目指していながら刺鍼で痛みを与えることに違和感があった自分が、陰陽太極鍼に大いなる興味を抱くには充分な体験でした。
 
 スタッフから伺った研修の話は、それ以来頭の片隅から離れません。先生に最後のモデルとして体験させていただきましたとメールを送信、ご丁寧に返信をくださったことを覚えています。
 
 その後、先生がご講演される鍼灸学会や学友会に参加し、東方鍼灸院にお邪魔したいという思いが一層募っていきます。この度、急に時間を作ることができて先生にご相談申し上げたところ、快くお引き受けいただきました。こうして、東方鍼灸院訪問は3年半の歳月を経て実現することとなりました。
 
 実際の治療を拝見すると、先生は患者さんに何経の何という経穴かを説明しながら触れていかれ、お子さんまでもが経穴名を覚えてしまっています。患者さん全員が鍼灸師予備軍で自分より位置を正確に知っているのではないか、しっかり勉強しなおさなければと、臨床経験が乏しい新米鍼灸師としては大いに焦りました。
 
また、自宅でこうしたらここにあまり来なくて済むということまで、惜しげもなく披露されているのにも驚きました。常に患者さんと対話され、訴えに 耳を傾け、全身全霊で治療に当たられている先生、そのお人柄に魅かれて来院される患者さんも多いのではないかと思います。お疲れも見せず精力的に動かれる先生には感服しました。
 
 初日終了後、先生に体験治療をしていただきました。緊張とほとんど立ったままの状態で、いつもの自分なら疲れ切っているはずです。それに加え、この冬一番という寒さの帯広でしたが、帰り道は身も心も温かく、飛び跳ねたくなるほど体が軽くなっていました。何も知らなかった3年半前とは違った視点で、 陰陽太極鍼の不思議を感じずにはいられません。(2015年)

VOICE 79(長期研修)/鍼灸師(女性)

 東方鍼灸院を退職後、カリブ海を巡るディズニーファンタジー号に鍼師として乗船してからあっという間に4ヶ月が過ぎました。現在の住まいでもあり、職場でもあるディズニーファンタジー号は、2012年3月に就航した新型船(全長340m、全幅38m、総トン数128,000 トン)で、乗客定員約4000名、乗組員約1500名、日本人乗組員は私を含め最大時3名でした。私の職場である6つ星スパは、船長が指揮をする船橋よりも上である12階船首にあり、フィットネスセンター、床屋、美容室、歯のホワイトニング、ネイル、フェイシャル、マッサージなどのサービスを提供しています。
 
 その中の一室が鍼治療室です。船内は安全のため限られた場所以外は火を使用不可、お灸はできませんので、鍼治療が主となります。スパの中でも最高 の場 所である治療室から見える景色はすばらしく、患者さんに「船内で最高の場所で仕事をしているんだね。」と言われます。世界中からの患者さんはアメリカ人が一番多く、鍼を受けるのがほとんど初めてです。「鍼って何にいいの?」と言う方、「前から受けてみたかったけど、機会がなかった。」という方、WHOの鍼適応疾患が記載された鍼の案内を見て予約される方、スパの施設紹介を行うオープンハウスや鍼灸の紹介・腰痛・漢方の セミナーに参加され予約される方がほとんどを占めます。
 
 また、ディズニークルーズはリピーターや大人数の一族や友人グループで来られるが多いです。中には 「前回のクルーズで鍼をしてよかったから」と予約をされる方や、治療を受けられた方の紹介で予約をしてくださる方もいらっしゃいます。数は少ないですが、 はるばる日本から来られて「鍼を始めて受けます」と言う方もいらっしゃいます。
 
 乗船したての頃、マネジャに一通り鍼治療する試験がありました。幸い治療室には耳鍼用として王不留行の在庫が大量にあったので、東方鍼灸院で学んだ「刺さない鍼・陰陽太極鍼」をマネジャに行いました。売り上げ達成のため常にストレスいっぱいのマネジャには、心経や肝経のツボがよく効きました。王不留行をいくつか貼った直後に、最初は圧痛が強かったふくらはぎがやわやわになった時、彼女は大笑いし始めました。痛みも何も感じないのに効果が出ることに驚いたようです。
 
 その後、マネジャのアドバイスにより「通常、鍼師は治療に鍼を使うんだけど、私は王不留行を使います。どちらも同じ効果ですがどちらがいいですか?」と尋ねるようにしました。するとほとんどの患者さんは「私は鍼のことはなにも知らない。あなたが専門家なんだから、好きにしていいわ。」「効果が出ればなんでもいいよ。」とおっしゃいます。
 
 治療は、鍼は何千年も前から中国で治療されているもの、バランスを整える自然療法であること、また、日本人が行 う鍼のよさがを理解して貰えるように説明しながら進めます。その場で施術者、患者さんの双方で効果が確認できる治療法は、「すごい!魔法みたいだね」と、 患者さんに大変喜ばれます。「ミッキーみたいでしょ」と冗談で返すと、「私にとってはミッキー以上!」と言われることもあります。西洋人には鍼は神秘的な魔法のような療法と思っている方もいると聞きますので、誤解を防ぐために、一般的に鍼は複数回受けると効果が高いことを説明もします。
 
 日本で学んだ鍼を世界中の人に施術する。こんな素晴らしいことが体験できるのは、東方鍼灸院で学んだ経験のおかげと大変感謝しております。私が東方鍼灸院を知ったのは、東洋鍼灸専門学校の先輩に「(私の出身である)北海道なら、すごい先生がいらっしゃるよ」と教わり、ホームページを見たことがきっかけです。そのときに長期研修生を募集していることを知りました。
 
 吉川先生に初めてお会いしたのは、卒業後の夏、一日の短期研修生として研修をさせていただいたときです。鍼灸学生のときに吉川先生のDVDを見て、陰陽 太極鍼を試してみましたが、学生だった私は治療効果をうまく出すことができず、「吉川先生だからできるのではないか。」と思っておりました。一日研修で は、吉川先生が実際に治療しているところを見学させていただき、更に吉川先生はどんな質問にも気さくにお答えくださいます。「陰陽太極鍼はだれでもできるのよ。長期研修生もみるみるうちにできるようになるの。」とのお言葉に、長期研修生として学びたいという気持ちが益々強くなりました。
 
 長期研修生の待機登録をお願いしたものの、長い人では長期研修生に約3年待機したことを伺い自分の順番が来るのは遠い先だと諦めておりました。その後、幸いなことにお声がかかり、東洋鍼灸専門学校を卒業した年、2012年11月から1年4ヶ月間、長期研修生として東方鍼灸院で学ぶことができました。その経験は、とても貴重なものとなっています。
 
 吉川先生の患者さんにツボの場所を尋ねながら取穴をし、陰陽のバランスを整える治療である陰陽太極鍼は、多くの症状に対応ができます。現在の医学では治 療が難しいとされる病名の患者さんでも、陰陽のバランスを整えることで楽になることを何度も目の当たりにしました。この方法は、外国人の治療をするときに、患者さんの訴えを英語を全て理解することは難しいにもかかわらず、効果を出せることにつながっています。
 
 東方鍼灸院 で実際に患者さんを治療するようになった初めの頃は、自分の鍼の効果が出て症状が楽になっているかを患者さんに尋ねるのが恐ろしくてたまりま せんでした。しかし、患者さんの症状がよくなるまで、王不留行、皮内鍼、耳鍼、刺絡、温灸、点灸、ローラー鍼、梅花鍼など、あらゆる技術や理論を使いこなし真摯に施術される吉川先生の姿勢を習い、患者さんに効果を尋ねながら治療をしていくうちに、ツボが一ミリずれるだけで効果が劇的に変わることを学びました。また、全世界から帯広に研修に来られる鍼灸師の先生との出会いもとても刺激になりました。吉川先生や代表、一緒に働く長期研修生の方にも大変お世話になりました。
 
 7ヶ月の契約の半分が過ぎ、11月に入ると感謝祭、クリスマスやお正月で船は忙しい季節です。カリブ海でも冬はやってきます。10月頃から海が荒れる日が多くなり、船酔いを訴える患者さんが増えてきました。乗組員も激しく揺れる船の中では船酔いを訴える人が 多いです。お互い仕事中の時間のないときでも王不留行をサッと耳に貼って「船酔いの薬を飲んでもよくならなかったのに、種を押していたら楽になった」と喜 ばれます。試行錯誤の毎日ですが、一人でも多くの人に日本で学んだ鍼のよさを知って貰えるように努力をし、また次の契約では別の航路にも挑戦したいと思っ ております。(2014年)

VOICE 78(長期研修)/鍼灸師(東京都・女性)

 私が東方鍼灸院を知るきっかけとなったのは、松田博公氏の「鍼灸の挑戦」(岩波新書)という本です。北海道の鍼灸師で、目の治療を得意とされている先生ということで、吉川院長のことを知りました。私は生まれた場所が北海道(東京在住)で、大学のころは毎年訪れていたので、東方鍼灸院のことはなんとなく頭にずっと残っていました。
 
 その数年後、東京の鍼灸学校で学び始めることになるのですが、そこで講師をされていたのが松田博公氏でした。吉川院長と親交があるという松田先生から、吉川先生の刺さない鍼の話を聞き、いつかお会いしてみたいと思うようになりました。
 
 鍼灸学校2年目の頃ランニングにはまった時期があり、その年の6月初めてレースに参加することになりました。場所は生まれ故郷の小樽でした。どうせ北海道に行くなら、帯広にも行ってみよう思いたち、初めて東方鍼灸院の治療を受ける事になったのです。北海道に渡る3日ほど前、練習のしすぎから左膝の内側が痛むようになり、走ることが出来なくなりました。本番では走れないかもしれないと半ばあきらめながら、東方鍼灸院にやってきました。
 
 全身を触れて行きながら、選んだツボが左膝内側ではなく、反対の足のかかとの外側の申脈(しんみゃく)というツボだったのに驚きであったこと、また全身を撫でてもらうことの気持ち良さを感じました。治療が終わりベッドから起きて歩いてみると、膝の痛みが消えていました。さっきまで痛かったのが、まるで嘘のようです。
 
 当時は、そのうち痛みが戻ってくるのではないかと半信半疑でいましたが、その2日後の大会では完走でき、しかも自己ベストのタイムも更新したのでした。痛い場所に治療をするだけではなく、陰陽で経絡の流れを整えていく、というのが本当にあるんだということを自分の体で感じた体験でした。
 
 その後、鍼灸学校を卒業してからは暫く訪問マッサージの仕事に携わっておりましたが、この度ご縁があり、前々から学びたいと思っていた東方鍼灸院で研修をさせて頂けるようになりました。しっかり技術を学び、より多くの方にこの方法を知ってもらえるよう精進して行きたいと思っております。よろしくお願い致します。(2014年)

VOICE 77(長期研修)/鍼灸師(熊本県・女性)

 私が鍼灸業界へ進むきっかけになったのは、目を患ったこと、そして吉川先生にお会いしたことに他なりません。約10年前、白内障と 診断されて色々なことを試してきました。そんな中で「鍼」という選択肢が出てきた時、「初めて受ける鍼だからこそ間違いない鍼を受け たい。そうすれば、その後にどんな鍼を受けようとも自分に合わない鍼は分かるはずだ」と思い、眩しさで目が辛いにもかかわらず、必死に探しました。そこでヒットしたのが吉川先生でした。後でお聞きすると、治療をお願いした日は、学会などでお忙しい合間の絶妙なタイミングだったとのこと。改めてご縁があっ たことに感謝するばかりです。
 
 先生の一鍼一鍼で身を持って変化を感じ、先生の技の素晴らしさに「凄いですね」と感動すると、先生は「そうなのよ、鍼は凄いのよ」と言われました。私は先生へ感動したのですが、先生は「鍼がなした技」のようにおっしゃいました。鍼灸界の大先生でいらっしゃるのに、こんなに気さくに低姿勢で話して下さって、 刺される鍼も優しくて。元々は私の目を治して頂きたくて訪れたはずが、すっかり先生に魅了されてしまいました。
 
 私は何の取柄もないのですが、一患者として接したのが鍼との出会いだったので、目の辛い方、見えない方の気持ちが少し分かります。この気持ちだけ が私の誇れるところです。学校での勉強も決して得意ではなく、目が疲れやすい分、手や声、耳を使い、多くの時間を費やして覚えてきた不器用なタイプです。 そのため 学生時代は、優先順位をつけて国家試験だけに絞って勉強してきました。これからが本当の勉強だと思っています。一人でも多くの患者さんの笑顔に出会うため、努力し頑張ります。(2014年)

VOICE 76(長期研修)/鍼灸師(神奈川県・女性)

 2013年2月、長期研修生としての出勤初日は本当に驚きの連続でした。帯広にやって来る前、数年前に吉川先生の下で研修をされ、現在は目白鍼灸院院長としてご活躍されている柳本先生に治療をして頂いたため、「陰陽太極鍼」の素晴らしさは体感していました。けれども実際に吉川先生の治療を目の当たりにし、つぎつぎと患者さんの症状が改善していく様子に、非常に大きな衝撃をうけました。
 
 陰陽太極鍼法では、患者さんの敏感な経穴に鍼を貼るだけで身体が瞬時に変化するのですから、選穴や刺鍼手技に悩まずに済みます。また、四診法、特に首周、腹診、腓腹筋の把握痛などの触診はとてもシンプルで患者側にも治療効果がよく分かる方法がとられ、難解な脈診に頼る必要もありません。しかし正直なところ「誰でもすぐに出来るようになるわよ。」という吉川先生の言葉 に半信半疑でもありました。
 
 思い起こせば当初の私は、鍼灸師の資格を取った後、2年弱鍼灸院で働いた経験はありましたが、訪問マッサージ業務の方が多く、鍼灸治療の技術はごく初歩的なものでした。それが毎日患者さんの治療をさせて頂けたことは、自分でも驚きでしたし非常に良い経験となりました。
 
 治療をさせて頂くようになった当初は、反応や症状がなかなか改善しないことも多く、やはり治療効果が高いのは吉川先生だからこそではないかと悩んだ時期 もあります。しかし、先生にツボの位置を修正して頂いたり、患者さんが教えてくださる場所をよく触り、その感覚を覚えていくことで少しずつ結果が出るよう になっていきました。教科書通りの位置にはない「活きた」ツボを探ること、鍼の位置をほんの少し修正し、それだけで状態がまったく変わるという経験を何度 もしました。
 
 東方鍼灸院には様々な疾患をお持ちの方が来院されます。それまでの治療経験では出会うことのなかった難治性疾患、鍼灸治療の適応外ではないかと思うような病名もありました。けれども陰陽のバランスを整えること、五臓の状態を正確にとらえそれらを整えることで、どのような症状にも対応できるという事を学ばせて頂きました。吉川先生の、あらゆる知識を駆使し王不留行や皮内鍼、ローラー鍼、刺絡など様々な手法で迷わず最適な治療をしていく様は本当に圧巻です。
 
 吉川先生はしばしば治療中に患者さんと共に驚き、喜び、「鍼ってすごいわね。」と眼を輝かせておられます。既に長年の治療実績があるにも関わらず、日々、新たな発見をされて刻々と治療法が進化している先生の飽くなき探究心は、本当に目を見張るものがあります。そしてそのお話を身近に伺えるのも大変勉強になりました。
 
 自分が治療をさせて頂く中で、患者さんの症状が変化し納得してお帰り頂けるよう確実に治療効果を出す、ということは多大なプレッシャーでもありました。 鍼を置く、という皮膚への微細な刺激だけで身体が変化し、その変化を患者側も自覚できる治療法だからこそ誤魔化しがきかない。けれども、自分の様に未熟であっても吉川先生は治療を任せてくださり沢山の経験を積ませて頂けたからこそ、少しずつ自信が持てるようになりました。
 
 患者さんご自身の自然治癒力をほんの少しサポートさせて頂くこと、患者さんの辛い状態が改善して雰囲気も明るくなり笑顔でお帰りになる、という体験は鍼灸の力や可能性を実感でき、本当に素晴らしい経験をさせて頂いたと感謝しております。この研修期間は自分にとって大変濃厚で貴重なものでした。
 
 ここで長期研修生として勤務できたことは自分にとって大きな財産となりました。慣れない土地にやってくることは不安もたくさんありましたが、代表や吉川先生のほか、東方鍼灸院 出身の先輩方がいつも気にかけて下さいました。また全国から来られる短期研修生との出会いも大きな刺激になりました。そして、多くの患者さんからの温かいお心遣いに大いに元気を頂きました。本当に多くの方々に支えていただいた1年数ケ月でした。皆様にはこの場をお借りして心よりお礼申し上げます。
 
 東方鍼灸院の患者さんは、安心してご自分の体の変化をしっかりと認識しながら治療を受けていらっしゃいます。地元では、「痛い、怖い」というイメージから鍼灸治療を受けたことのない友人・知人が沢山いますが、吉川先生の「刺さない鍼」の話をすると非常に興味を示してくれています。今まで鍼灸治療を経験し たことのない多くの方に鍼灸治療の素晴らしさを知って頂き、もっと身近なものとして頂けるよう、研修で学んだことを活かし、吉川先生の様に今後もより良い 治療を求めて努力し、学び続けていきたいと思っております。(2014年)

VOICE 75/学生(兵庫県・女性)

 1日半の研修でお世話になりましたが、その時の衝撃は今でも忘れません。患者様が自ら「今日は脾経かしら。」とか、「昨日、刺絡とローラー鍼をやったんだけど…」などと仰います。どの方も治療を楽しんでおられ、東方鍼灸院にあるのは、患者様の笑顔でした。私にはまずそのことが衝撃で、しかも目の前で圧痛や症状がどんどん消えていくのですから、しばらくは吉川先生の治療を呆然と見ていただけだったように記憶しています。
 
 今回の研修では、治療の流れ、手技・方法、先生のお話しくださること全てを聞き漏らすまいと心に決めておりましたので、前回よりも更に深く陰陽太極鍼に触れることが出来たのではないかと思っています。率直な感想としては、【素晴らしい】の一言に尽きます。舌診から脈診、募穴診、腓腹筋診断、首診、切診(開穴を探しそれぞれに対する補瀉の治療)、背部兪穴診と、その流れには何一つ無駄がありません。吉川先生の治療には迷いが一切なく、全てが的確でした。そしてその治療は本当に鍼を刺さずに置くだけなのですから驚きです。
 
 人間の皮膚は脳と同じ外胚葉から発生しているため【露出した脳】【第3の脳】との別名があるそうです。皮膚に強い刺激を与えると、生体はそれを侵 害刺激と認識し副作用を及ぼすことがありますが、弱い心地の良い刺激を与えると、副作用は起こらず、生体はそれを受け入れて身体に大きな影響を及ぼし自然治癒力を高めていくことが最近の研究で明らかになったそうです。
 
 また、「遠隔であればあるほど【シーソー現象】で治療効果は何倍にもなるのよ。」と、吉川先生は教えてくださいました。刺さずに置くだけの鍼がどうしてこんなに効くのか、そのメカニズムが少し理解出来たように思います。ですが、そのことを実感できるようになるまでには、自身で臨床経験を積む、このことに尽きるのだろうなと感じました。
 
 年に数回しか訪れないという大雪の中、足を滑らせながら東方鍼灸院へと向かったことは、もう二度と経験することが出来ないであろう一生の思い出になることと思います。吉川先生が作られた、患者様が癒される、笑顔になれるような場所を自分でも作ることが出来るよう、今後も自身を磨き、日々勉強、精進していきたいと思います。(2014年)

VOICE 74/学生(千葉県・女性)

 夏休み最後の一週間を先生のところでの研修に当てられて、本当に有意義だったと思 います。学校では全てを吉川先生の方法で試すことは、指導教官の手前なかなか出来ないのですが、補瀉を決める時の診断法としてはよく使用させていただいており、瀉を必要としているケースがものすごく多いのに驚かされます。
 
 授業中一度、同じクラスの男子に吉川先生のやり方だけで施術をしたことがあります。彼はどちらかというと鍼が苦手で敏感な人なのですが、落ち着いて受けてもらえました。様子を見ていた先生が「どう?」と感想を聞いたら「効きすぎて、かえって怖いぐらいです」と答えていました。お陰で吉川先生の治療法は鍼を怖がる敏感な患者さんや初めての患者さんに大きな武器になることが実感出来ました。(2014年)

VOICE 73/鍼灸師(沖縄県・女性)

 「刺さない鍼ですぐに効く」頭では理解していたつもりでも、実際に目にすると衝撃的でした。例えば、来院時、持病の左薬指のばね指症状が悪化していた患者さん。すぐに指が曲がってしまい、指を伸ばすのに苦労していました。そんな時、院長が「この方は脾が悪いから脾経をしっかり診ること」とおっしゃいながら、患部の反対側の右脾経を切診していると、みるみる指が伸びてきて、一番反応の強い太白穴に王不留行を貼るころには、すっかり楽に指を動かせるようになっていました。
 
 鍼灸ってすばらしい!そんな症例をここ東方鍼灸院では日常的に目にすることができました。加えて勉強になったのが食べ物のお話。農薬や添加物にまみれた食べ物の怖さを聞き、日々口にする食べ物を見直すきっかけになりました。
 
 地元に戻り、先日数名の患者さんに、研修中に習った太谿穴を使った治療を行いました。ほとんどの方に、首の違和感が軽減したと実感していただけました。今後は精度を上げていきたいと思います。(2014年)

VOICE 72/鍼灸師(愛知県・女性)

 三年前と変わらないと思った事は、吉川先生が一人一人の患者さんに対して丁寧にツボや経絡の説明をされている事と、患者さんご本人がしっかり勉強をされていてセルフケアの意識が高いという事です。また吉川先生の治療はもちろん、お人柄からか子供~ご年配の方と幅広い年代の患者さんからとても信頼が厚く、安心して治療を受けて笑顔で帰られる姿を何人も拝見させていただきました。
 
 そして今回、以前にも増して吉川先生の治療が進化している事にとても驚きました。王不留行(補)と皮内鍼(瀉)を使った治療はもちろん、背部兪穴で7行線までツボを発見されていて、またその効果は衝撃を受けました。
 
 他にも太谿のツボの位置(今まで私が思っていた位置とは違う)とその範囲によって首(上部~下部)の圧痛がスッキリ取れてしまうという事も。また、吉川先生の右親指が赤く痛みがあり力が入らない時に、左小指の足通谷に皮内鍼を置くだけで(肺経・膀胱経の子午)痛みがとれ力が入るようになり、親指の赤みまでひいたのを目前で見て本当に驚きの連続でした。
 
 私は5月末から原因の分からない環状紅班が出続けており、9月に入った途端に左腕内側一面が一気にかぶれたような酷い状態になり、なんとか研修までに治そうと食事や睡眠にも気をつけて少し腕に痕が残った状態で研修に参りましたが、先生に治療していただいてから1か所のみ紅班が出ただけで、今はきれいな状態に戻っています。患者さんのみならず、私もセルフケアをしっかり行いたいと思います。今回は3日間の短い研修期間でしたが、改めて鍼灸の素晴らしさと面白さを実感させていただきました。毎日が目から鱗が落ちる日々でした。(2014年)

VOICE 71/学生(神奈川県・女性)

 専門学校を卒業後にどんな治療をしていきたいか模索していたところ、中医学の考え方に基づいたやさしい鍼治療で効果をだしていける治療がいいなと思い、いろいろなご縁がつながり吉川先生のところに行きつき、今回研修を受けさせて頂きました。
 
 吉川先生の治療を拝見し、先生の治療は本当にやさしい治療でした。丁寧に体表観察を行い、その日・その時間の開穴を、患者さんと一緒に切経をしながら探して行き、患者さんと一体となり治療を進め、1穴毎に経絡の変調を確認していき、患者さん自身もその変化を一緒に認識できる治療をされていました。
 
 その治療スタイルは、一緒に治療していくという患者さん自身の治す力を引き出し、治すという方向に術者と患者が同じベクトルを向くことができ、より相乗効果が得られるように感じ、素晴らしいなと思いました。先生が治療点・開穴に治療をしていく度に、瞬時に患者さんの体には変化がおきていて、先生が 「コンピュータと同じように(ツボを)クリックすると体は瞬時に変わるのよねー」と話されていたのがとても印象的でした。
 
 専門学校や他の勉強会で学んでいるときに腎の病証に対して瀉法を用いるということは、ほぼないように教えられ、そういうものかと思っていたのです が、先生の長年積み重ねてきた臨床経験から、腎経に瀉法を用いることもあるということ、またそれを先生の治療をみてそれが有効であり、効果がすぐに現れているのを目の当たりにし、まさに目から鱗でした。また自分自身も先生に体験治療をしていただいた際に、左頸椎の違和感を右太渓に瀉法の治療をしていただいたことで、左頚部の緊張が瞬時に緩んだので驚くとともに大変感動しました。
 
 先生は治療をしながら中医学用語を使い患者さんにも説明をされていて、先生ご自身が活きた教科書のように感じました。先生に「しっかりと中医学の 基礎と弁証を学ぶのよ」といわれた言葉を心に刻み、今回の研修で学んだことの練習を積み重ね、先生方のように効果のだせる治療を少しでも多くの人にできるよう日々精進していきたいと思います。学校の実習においても先生から学んだ要素を何かしらの形で取り入れて実践できたらなと考えています。先生の臨床経験、知識を惜しみなくすべて教えて下さる姿勢、またどんな質問にも丁寧に回答頂き、本当にありがたく感謝の気持ちでいっぱいです。(2014年)

VOICE 70/学生(兵庫県・女性)

 刺さない鍼の陰陽太極鍼をこの目で実際に見て体感し、次々と症状が治り帰られる患者さんを目の当たりにして、驚きと衝撃と感動でしばらく言葉が出ませんでした。私が吉川先生に初めてお会いしたのは、2012年6月3日木本祐由紀先生が主宰しておられる日本中医学研究会の鍼灸講習会にYNSAの山元敏勝先生と共にお越し下さった時です。
 
 その時も、鍼を刺さないってすごい!実際に実技を拝見し、足底部の膨隆が鍼を置いた瞬間消失したのをこの目で見て大変興奮感動したのを覚えています。ですが、その時は実際に自身で体験出来ず、凄さが実感出来なくて、その感動も時間が経つと薄れてしまいました。
 
 歳も下ですし、人生経験もまだまだ浅い私が言うのは大変失礼かと思いますが、吉川先生は気取らずとても気さくで本当にチャーミングな方です。本当に凄い、内容の濃いお宝のようなお話も、全く隠すことなく沢山話してくださいます。治療効果が確かなのはもちろんですが、吉川先生の愛情に溢れたその人間性に患者さんも足繁く通われるんだろうな~と思います。
 
 東方鍼灸院にはすごく穏やかな空気が流れています。患者さんは皆笑顔で、自身でも治そう、という思いで通われているのがすごく伝わります。だって経絡もツボの名前も知っておられますし、ローラー鍼や刺絡までもご自身でされているんですから。
本当に凄いことです。皆さんの意識の高さと、なにより本当に鍼を全く刺すことなく次々と症状を消していく陰陽太極鍼にただただ感動しました。
 
 また、2年前には叶わなかった吉川先生の治療を、実際に受けさせて頂くことが出来ました。腓腹筋の 硬結や圧痛が、吉川先生が鍼や王不留行を置いていかれる度に消失していきます。そして、身体も本当に楽になっていくのです。私は左手に痺れがあるのです が、それもなくなりました。これが私には非常に衝撃的でした。またそれは、今までに体験したことのない感覚でした。(2014年)

VOICE 69/学生(千葉県・女性)

 研修から帰って来ていろいろ追試しているのですが、吉川先生の治療法やはり素晴らしいです。その場だけでなく、数回やると、後からもジワジワ細胞レベルで効いてくる感じです。こんな感覚の効き方は初めてですので、なんだか不思議な感じです。アトピーも良くなってきました。
 
 来週から後期の臨床研修が始まります。指導教官の先生の手前も有りますので、臨床でやりたいことが全部出来る訳ではないのですが、本治だけでも吉川先生の方法を取り入れていけるようチャレンジしていきたいと思っております。
 
 今週末には、春から学校外で模擬患者さん役をしてくれている友人の治療が入っているので、そちらは全面的に吉川先生のやり方で施術する予定です。先生のところへ伺う前に何も説明せずにトライさせてもらい右手の施術だけで喫茶店で寝てしまい、疲労回復と腓腹筋が緩むところまでいってしまった方なので全身施術したらどんな変化があるのかとても楽しみです。(2014年)

VOICE 68/鍼灸師(東京都・女性)

 2日間という短い時間でしたが、多くのことを学び、充実した時間を過ごすことができました。一穴一穴を大切に、日々の治療を丁寧に積み重ねていこうと改めて思いました。「死ぬ直前まで治療ができたら最高ね」という吉川先生のお言葉、とても印象に残っています。(2014年)

VOICE 67/鍼灸師(広島県・男性)

 治療を見学させていただき印象的だったことは、治療中に患者さんが治療効果を実感し、必ず来た時よりも良い状態になって帰られるということでした。情報どおり数年前の講習会での治療方法より進化し、背部兪穴のアプローチや開穴の対処方法も、バリエーションが増えていました。
 
 地元に帰り自分が治療させていただく際でさえ、理学療法や運動療法で解決できなかった患者さんの症状を変化させてくれます。研修を通じて、この「陰陽のバランスを取る」ことにより様々な症状が改善していくことが、改めて感じ取れましたし、応用できればまだまだ可能性は広がると思いました。このすばらしい鍼灸医学がより浸透していきますよう、自分も日々努力していきたいと思います。(2014年)

VOICE 66/鍼灸師(神奈川県・男性)

 今まで身体の硬結や陥凹を見つけて鍼を打っていましたが、効果が出たり出なかったりで出てもなぜなのか分からず、患者さんに説明が出来ずこのままでいいのかと思っていた時に吉川先生の刺さない鍼を知りました。
 
 体表観察を行い切経でその日の開穴を見つけ、王不留行を貼った途端に先程まであった硬結や痛みなどが一瞬で消失した時は驚きを隠せませんでした。今まで多鍼や刺激をいれることを意識して施術を行ってきたので、今回の研修で鍼灸に対する考え方が変わりました。

 また、開穴を探す時患者さんに聞きながらなのでコミュニケーションもとれますし、何度も通院されている方は経穴まで覚えられていたのでびっくりしました。吉川先生の治療を見させてもらい東洋医学の素晴らしさを感じることが出来ました。今回勉強させて頂きましたが、知識不足で不明な点が多々ありましたので改めて東洋医学(経穴や五行など)の基礎を学び、また吉川先生の下で研修を受けに行きたいと思います。
 
 3日間と短い期間でしたが、吉川先生の治療されている姿を見て鍼灸に対する意識、考え方が変わりましたので、感謝の気持ちでいっぱいです。研修で学んだことを活かせるよう、これから色々なことを学び患者さんに貢献していきたいです。(2014年)

VOICE 65/鍼灸師(茨城県・女性)

 半日研修と吉川先生の治療を受けさせてもらいましたが、驚きの連続でした。ふくらはぎの触診から始まり、腹診、頸部、足、手、背中と全身をテンポよく、かつスピーディに診ていき、その間にも患者さんの身体はどんどん変化していきました。また、皮内鍼と王不留行を使っての治療で、患者さんに少ない刺激で ありながら、瞬時に結果が出せるということを目の前で拝見することができて、今までの治療を見直すきっかけとなりました。
 
 そして治療中、吉川先生が「ほら、簡単でしょう。」と笑顔で仰っておられる姿は、とても印象的でした。この治療法を確立されるまでに大変な道のりだったかと思いますが、それを出し惜しみなく見せていただけて、未来へつなげていこうという姿は、鍼灸師として見習わなければいけないと強く思いました。

 これだけの技術を確立しているにも関わらず、まだまだ進化し続けて、何でも吸収しようという姿勢は、非常に素晴らしく、私の目指したい姿です。今回、半日という短い時間ではありましたが、素晴らしい技術を目の前で拝見させていただけたこと、治療に対する情熱を感じられたことは、本当に貴重な経験となりました。私も東洋医学の素晴らしさを伝えていけるように日々精進して参る所存です。(2014年)

VOICE 64/鍼灸師(神奈川県・女性)

 吉川先生の治療にて、鍼を刺さなくても、あれだけ身体の変化が見えるのに驚きました。自分自身も治療していただき、身体が楽になったのを体感できてよかったです。少しずつでも自分の治療に取り入れていきたいと思いました。そのためにも、ツボの位置や経絡についてもう一度勉強し直そうと思います。(2014 年)

VOICE 63/鍼灸師(東京都・男性)

 研修は3日間という短い期間でしたが、いろいろ学びや発見が多く、遠方まで来て本当に良かったと思いました。今回の研修に参加した動機はいくつかあるのですが、刺激の強い鍼灸の刺激に抵抗がある患者さんに対して、刺さない鍼で効果があるものなのか、ということを実際に自分の目で見たかったという所が1番の動機でした。
 
 勉強会や講習で技術などをみても、それは様々な理由でその先生だから効果があると言えるのではないか。習得に10年もかかる技術ではそれまでに自分の生活が困窮してしまうのではないか。学生さんには効いても病気を持っている患者さんに効果があるのか。など少し業界の事が分かってきて、もともと天邪鬼の部分がある私としては、いくつもの疑問がありました。
 
 しかし治療院で実際に症状を持っている患者さんに施術をしている場面を見れば、そこには事実しかないと思い、今回の研修への参加を決めたのでした。実際の治療場面を見て、多岐に渡る症状をもっている多くの患者さんが満足して帰っているのを目の当たりにしました(肩とか腰だけでなく、重症の方もいらっしゃっていました)。常連の方だけでなく新規の方も何人か見えられていましたが、それらの方々も程度の差はあれ満足して帰られて、次回の予約をさ れていました。
 
 吉川先生の治療を拝見して、ブロックを一段一段積み上げて行き、最後に家が完成するというような、そんな感じのスタイルだな、と思いました。1ヶ所刺激してお腹が変化。次の1ケ所でふくらはぎ、次で首周り、次で背中、次で手足といった感じで、身体の各所で変化を出していく。耳つぼや刺絡なども行う。変化は1回ごとに患者さんに確認してもらう。患者さんは変化をどんどん実感して、最後に起き上がって主訴が軽減・消失しているのを実感す る。それでもまだ訴えがある患者さんには追加で刺激し、そこそこ納得が得られるまで治療する。
 
 それでも、1回1回の刺激(王不留行の貼り付け)・変化が速いので、実際の治療時間はそんなに長くはない(棒灸で温めている時間は除いて)。実際に拝見していて、テンポよくポンポンと行っていく方が受けている側にとっても良さそうな感じがしました(もちろん個人差はあると思いますが)。
 
 そしてセルフケア。実際に治療の際に変化を実感していて、治療と全く同じことを家で行うようにということなので説得力もあるし、何人もの方が道具を購入して自宅でセルフケアを行っているようでした。

 取穴や触り方は練習が必要だと思いましたが、それでも相手に確認しながら行っていけるので、実際にこれであっているのかどうかを確認するのが難しい諸々の鍼技術と比較すると習得しやすそうな印象を受けました。それにしても吉川先生のスピードは速かったです。
 
 そして皮膚刺激への軽い接触での効果。私は筋や軟部組織への刺激を主として行ってきたので、これからは軽い刺激での施術も取り入れてみようと思います。痛み(または痛いというイメージ)なしで効果が出るのならそれに越したことはありません。
 
 臨床の中で、どうすれば効果が出るのか、効果が持続するのか、負担が軽減できるのか、誰にでもできる技術になるのか、などと言ったことを追求していき、いいと思うものは取り入れて行き、現在のスタイルになっているようでした。まだ進化しているようです。私もその姿勢を見習って、良いものはどんどん取り入れていきたいと思います。
 
 多忙の時期でお疲れのようでしたが、治療の場面では患者さんの負のオーラを凌駕する気合が垣間見えました。淡々と動揺することなくどんどん患者さんに向かっていく姿を見ただけでも、こちらに伺った甲斐がありました。治療以外の部分でも、話しの仕方や間の取り方やタイミング、こういう風に言われたときはこういう風に対応する、治療院のスタイルやその他諸々、これから自身が行っていく上でいろいろ参考になりました。(2014年)

VOICE 62/医師(北陸・男性)

 今回ようやく5年ぶりの再訪をすることができました。治療に王不留行を使っているとの話も聞いていたのですが、前回見学時の方法を少し改良したものなのか程度に軽く考えていました。しかし実際に見せていただくと相変わらず進化し続けていることに驚きました。
 
 基本は丁寧な診察で開いている穴を探し出していくスタイルのままでしたが、探す穴の位置、兪穴のライン等々も少しずつ変わってきているようでした。また王不留行でかなりの部分を治療してしまい、鍼をほとんど使わずに治療しているのには正直驚かされました。
 
 吉川先生ほどの実績があれば、あえてそれまで以上の方法を追い求めずとも十分な治療ができる様な気もしてしまうのですが、現状にとどまらずいいものを常に追い求めていく姿勢は相変わらずで、わずか2日間でしたが非常に刺激を受けることができました。
 
 治療のテクニックももちろんですが、現状にとどまることなく真摯に患者さんを治そうとする姿勢や、思い込みではなく素直に体の声を聞いてそれに合わせて治療を模索する姿勢。これらに特に刺激を受けることができた2日間でした。また相変わらず、すべてをオープンに見せていただくことができる研修で大変勉強になりました。機会を見てまた訪れたいとの思いを強くした2日間でもありました。(2014年)

VOICE 61/鍼灸師(富山県・男性)

 吉川先生に陰陽太極鍼を教えていただいて、早2年が過ぎました。その間、いろいろな患者様に治療させていただき、その髙い効果が大変喜ばれております。そ れが噂を呼んだのか、この度、地元のラジオ局が取材に訪れ、陰陽太極鍼が紹介されました。今後も先生に教えていただいた、この鍼と東洋医学の素晴らしさを追求していきたいと思います。(2014年)

VOICE 60/鍼灸師(北海道・男性)

 患者さんの硬い身体が柔らかくなり、冷たかった身体が暖かくなり、痛かったはずのところがなにも感じなくなる。何度も拝見しているはずなのに目の前で次々と解決してしまう吉川先生の治療にやはり驚いてしまいました。

 「ほら痛くないでしょう」と吉川先生と患者さんが笑っている光景が帰った今でも頭の中で反芻しています。患者さんの身体にきく、患者さんと一緒に身体を治していく。そして陰陽対極鍼の即効性。今回己のいたらなさと課題が浮き彫りになり、今後基本的な考え方から学びたいと強く思いました。
 
 刺さずに治せるこのすばらしいやり方を世界に伝えること。「ずっと夢なの。」と真っ直ぐ私に教えてくださり心が震えました。この仕事についた以 上、この仕事の良さを周りに浸透させることも義務だということを教えていただきました。私も鍼のよさを伝えるため、もっともっと精進していきたいと思いま す。(2014年)

VOICE 59/鍼灸師(愛知県・男性)

 私自身鍼灸師なのですが、改めて、経絡の存在、東洋医学的な理論の大切さを痛感させられました。DVDではなく実際臨床にて、吉川先生の舌診、脈診、募穴診、腓腹筋・首周六合、切経などにより東洋医学的診断をし、次々と難しい症状の患者さんを治療している現場を見ることができて大変良い経験ができました。
 
 今まで、鍼灸の研修、勉強会など出席してきましたが、実際の臨床を見せて頂き、その都度わからないこと、疑問点など先生に聞くことが出来、これ以上ない環境での研修に感激いたしました。色々な主訴の多くの患者さんを鍼灸で治療し、その場で、治療効果を出してしまう吉川先生に本当にすごいと思いました。
 
 研修を終え、まず妻に教えて頂いた陰陽太極鍼を、見よう見まねで治療してみました。今まで、妻には「鍼は痛いからやめて!」と言われていましたが、先生の刺さない鍼、耳ツボなど治療してみましたら、痛みのない、刺さない鍼に大変感動していました。治療効果も治療直後に感じられ大変満足しておりました。(2013年)

VOICE 58/鍼灸師・鍼灸学校講師(東京都・男性)

 三日間という短い間でしたが、一生の宝物をいただいた気分でいます。私自身、東洋医学理論の大切さは理解しているつもりでいましたが、吉川先生の様々な治療理論を縦横無尽に使いこなす姿を見て、自分の東洋医学への愛がいかに小さいものであったかを思い知りました。
 
 吉川先生は、治療することによって起こる様々な現象を真摯に受け止め、それに驚き、患者さんと共に身体の変化 を心から喜んでいました。その素直な姿勢が、日々の新たな治療法の発見に繋がっていくのだなと感じました。
 
 私は、この業界に入ってまだ十年にも満たないですが、いつも感じていることは、ほとんどの鍼灸師が、 身体に起こっている現象を見ず、古典や文献に書かれている治療法、他流派の治療法を疑い、批判し、自分の中に取り入れようとしないということです。その点、吉川先生は様々な理論を受け入れ、実践し、本当に効果のあるものを蓄積し、それを自由自在に使いこなすレベルにまで達することができるからこそ、多くの患者さんの苦しみをやわらげることができるのです ね。

 私が先生の治療を見せて頂いて、一番感じたのは、患者さんの痛みや苦しみを取るために最大限に努力するということです。私は今まで何人かを並べて治療することに抵抗がありました。しかし、先生の治療を見て、一人一人の主訴を大切にし、それを取ることに真剣に取り組み、患者さんから高い満足度を得ているのを見ることができました。
 
 治療効果をその場で確認し、患者さんと一緒に「前に進んでいる」という実感を持ってもらいつつ、さらに必要に応じて温灸でじっくりと温める方法をされていました。それにより、患者さんがとても満足して帰られているのを見て、同時進行で治療することへの考え方が大きく変わりました。
 
 東洋医学の様々な理論を使い、さらに先生が提唱される陰陽太極鍼を使うことで、これだけ満足度の高い治療ができるのだということを知り、自分が今まで経絡治療という狭い視点でしか患者さんを見ていなかったことを知りました。

 この三日間を通じて、東洋医学のすばらしさ、そして身体の変化や世界の動きを大きな視点で説明できる東洋医学の懐の深さを知ることができ、とても感動しました先生方が温かく迎えて下さったことで久しぶりにゆっくりと楽しんで勉強することができました。東京に戻って、また現実の忙しい毎日に戻ってしまいましたが、自分が目指したい目標ができて、日々の生活にもやる気が出てきました。先生は日々進化されています。私も負けないように頑張って勉強し、いつかは先生に採用してもらえる治療法が見つけられたらなと思っています。(2013年)

VOICE 57/学生(東京都・女性)

 2年前、先生が東京で実施されたセミナーに参加して以来ずっと研修にお伺いしたいと考えておりましたので、今回ようやくその夢をかなえることができました。3日間という短い期間ではありましたが、先生の治療を間近で拝見することができ、目から鱗が落ちるような思いがしました。
 
 研修中は「開穴」に王不留行や皮内鍼を置くだけで一瞬にして局所の圧痛が取れるという場面を何度も目の当たりにしました。最初は半信半疑だったのですが、百聞は一見に如かずで、何より患者さんがその変化に気が付いていらっしゃいます。
 
 先生の診察は非常に丁寧で、舌診、脈診、募穴診、腓腹筋・首周六合の触診、十二経脈の切経、背診、耳穴診などにより問題のある経絡を見つけ、配穴を導き出されていました。配穴には先生独自のご経験に基づくものや、子午の陰陽によるものなど、通常ではあまり経験することのない方法も採用されていて大変勉強になりました。
 
 先生はすべての患者さんに対して真摯に向き合い、優しい言葉をかけ、治療に関するご説明も丁寧にされていて、治療家として是非このようになりたいと思いました。患者さんの中には「ここに来て先生に診ていただくだけでよくなるような気がするんです」とおっしゃっていた方もいらして、先生が患者さんの精神面での支えにもなっておられることに感銘を受けました。
 
 私も研修中に一度先生に治療していただく機会があったのですが、切経時、右足の胆経の光明に反応があった際、「もしかして左眼がお悪い?」と訊かれました。私は2年前から左眼だけ緑内障を患っているので、先生のご明察には本当にびっくりしました。
 
 また、右手の小腸経の井穴(少沢)にも瀉の反応があったため刺絡をしていただいたのですが、その後、肩甲骨の小腸経ライン(肩貞、天宗あたり)にあった圧痛が嘘のように取れてしまい、今更ながら経絡の力を思い知らされたという気がしました。
 
 治療院はスタッフの先生方のお心配りの賜物と存じますが、明るく清潔で、随所にお庭で咲いていたお花がセンス良く活けられていて、本当に気持ちの良い、ずっといたくなるような空間でした。研修中、突然の夕立が訪れた後、広い空に大きな虹がかかったのも、東京の汚く狭い空に慣れてしまった自分には奇跡のように美しく見えました。(2013年)

VOICE 56/鍼灸師(北海道・女性)

 今回、印象的だったのは、先生と患者様が一緒になって治療していく様子でした。慣れた方は、ご自身で触れて「ここです」っておっしゃいましたし、腹診や腓腹筋の圧痛の変化を実感されており、皆様帰りはとても表情がよく、見ていて気持ちがよかったです。
 
 また、吉川先生が切診のときに「~経の○○ツボ」というのをおっしゃりながら開穴を探されていて、今までツボとか経絡とかは鍼灸師が使う用語だという変な壁を自分で作っていましたが、そのなことはないんだなと思いました。「自分の体を知る」上で、ツボとか経絡とかは、とても分かりやすい指標なんだなって、それは鍼灸師だからとかっていうのは関係ないんだなって感じました。
 
 そして、王不留行を置くだけで一変する神秘的な事実は本当に見ていて楽しかったです。よく"シンプルが一番"という言葉は聞きますが、ここまでシンプルな鍼灸治療を知ることができて本当によかったです。体にも優しい治療だと感じました。(2013年)

VOICE 55/鍼灸師(福岡県・男性)

 おかげさまで、二日間という短い研修でありながら、先生の治療法の素晴らしさを実感することができました。僭越ながら私なりの感想を以下に書かせていただきます。
 
 先ず、先生の治療法の素晴らしい点ですが、第一は、何といっても多くの患者さんが治療効果を実感し、実際に症状が改善しているところです。もちろん、私もその一人です。局所治療を行わないで十分な成果があがっていることにとても魅力を感じました。
 
 第二は、患者さんが経脈や経穴の存在を実感できる点です。多くの患者さんは局所の施術を行わないと不満を感じるのですが、切経における感覚の変化や頚部・腹部・下腿などの反応の変化を実感することによって、東洋医学の不思議を実感してもらえるところです。そのことが、自宅でのローラー鍼や温灸などの指導を、患者さんが忠実に実践するきっかけとなり、相乗効果が生まれていると思います。
 
 第三には、皮膚の接触刺激のみで治療効果をあげているところです。「鍼は痛いから嫌だ」という潜在患者の掘り起こしに大きく貢献するものと思います。
 
次に、私の感じた課題(私が理解できていないだけかもしれません)を書かせていただきます。一つは、治療に時間がかかるということです。もちろん、慣れてくれば、先生のように、ずいぶん速くできるようになるかと思いますが、チェック項目を減らす方法や、一穴で多くの反応を消去できる場所の見つけ方があれば有難いと思います。

 二つ目は、患者が認知症や知覚障害で、切経に対する適確な反応ができない場合です。他覚的な所見で治療点の検索や刺激効果が確認できれば「鬼に金棒」といったところではないでしょうか。短期間の研修でしたが、教えていただいたことを何度も反芻して自分のものにしていきたいと思っています。(2013年)

VOICE 54/鍼灸師(神奈川県・男性)

 東方鍼灸院での研修は驚きとともに始まりました。初日に吉川先生に治療していただいたところ、両肘に出ていた発疹が翌日には消えていたのです。この発疹は紫外線アレ ルギーが原因と思われ、薬があまり効かず、ここ2~3年夏になると悩まされていたものです。夏が終わるころには自然に治るので、「季節もの」とあきらめていましたが、一度陰陽太極鍼を受けただけで症状が治まってしまったので非常に驚きました。
 
 研修は吉川先生が行う治療を見学させていただくことが基本で、その他に昼休みに実技指導があります。私は最初に吉川先生に治療していただきまし た。実際に先生の治療を受けることで、開穴を探すための切経や首周六合、募穴診などの感覚を体感することが出来ます。なかでも切経は優しいフェザータッチ で、切経そのものが気持ちよく感じるくらいでした。
 
 実技指導では、研修生が吉川先生を治療する機会も設けられています。これが私にとって最も緊張する時間で、最終日まで普段の臨床ではかかない汗を手ににじませながらの実技となってしまいました。募穴診などの切診で患者さんにふれる時の手の力加減などは言葉では表しがたいものです。実際に切診を行い、先生に直接ご指導いただいたことは得難い貴重な経験となりました。
 
 研修に先立ち、吉川先生が書かれた論文や雑誌の記事、DVDなどは可能な限り目を通しておいたのですが、それでも先生の治療を間近で見ていると、思わず驚きの声が出てしまうことが何度もありました。百会にローラー鍼をするだけで言語障害のある患者さんのろれつが1分もかからずに改善してきたり、「開穴」に一つ王不留行や皮内鍼を貼るだけで、腓腹筋、募穴や首周六合の圧痛が一瞬にして消失するのを何度も見ました。
 
 初日は先生の治療を見学することだけで精一杯でしたが、3日目頃には吉川先生の治療法則のようなものがわずかながら見えてきました。自分なりに理 解できたことを先生に伝えると、先生は「全部陰陽よ。誰でも簡単に出来るわよ」とおっしゃっていましたが、私にとってはそう簡単なものではありません。一日の研修が終わり、ホテルで見学しながらとったメモを見ながら、「ああ、そういう事だったんだ」と後になって納得することもしばしばでした。
 
 また、先生は実に多彩な技と知識をお持ちでした。「開穴」ばかりではなく刺絡や耳鍼、棒灸に足底の反射区まで診断や治療に縦横無尽に駆使されていました。先生曰く、「患者さんが良くなるなら、何でも使えばいいのよ」と。先生が治療中の患者さんからの質問に丁寧にこたえ、一人一人の体質や症状に応じ た養生をアドバイスされていたのもとても印象的でした。
 
 わずか4日間の研修でしたが、はるばる帯広までやってきた収穫は大きなものでした。特に切診の手順と方法、ミリ単位で修正しながらの開穴の取り方 を実地で学ぶことが出来たのは私の今後の臨床に大きな変化をもたらすと思います。この短期研修で学んだことをしっかりと復習し、日々の臨床で少しでも患者 さんのためにいかせるよう、研鑽を積んでいきたいと思います。
 
 吉川先生は驚くほど何でも丁寧かつオープンに指導をして下さいました。しかし、短期間の研修で会得できるものはわずかです。「また改めて研修に来たい」と話した私に、先生は「いつでもいらっしゃい。でも、今度あなたが来るときにはどんな治療スタイルになっているか分からないわよ。」とおっしゃいました。私も4日間の研修で学んだことと、頂いたたくさんの資料をもとにまだ出来ないことや分からないことに挑戦し続けていきたいと思います。(2013年)

VOICE 53(長期研修)/鍼灸師(熊本県・男性)

 私が長期研修生としてここ東方鍼灸院で働き始めて早1年半が経とうとしております。この期間は鍼灸師の私にとって、とても濃い貴重なものでした。思い起こせば当初の私は、鍼灸師の資格を取った後、2年弱整骨院で働いた経験はありましたが、鍼灸治療の技術はほとんど持ち合わせておりませんでした。それが現在、毎日患者さんの治療をさせていただいているとは、我ながら驚きです。

 私は4年ほど前に1週間の短期研修で東方鍼灸院に来ているにも関わらず、最初のころはここでの治療方法や患者さんの身体の反応や変化していく様が不思議で、あっけにとられたり、茫然としてしまうこともしばしばでした。何しろ、患者さんの敏感な経絡の一穴に鍼を貼るだけで身体が瞬時に変化するのですから、 普通の鍼灸師にとって最大の難関の1つである選穴や刺鍼手技に悩まなくてもすみます。また、四診法、特に首周、腹診、腓腹筋を用いた触診はシンプルかつ治療効果がよく分かる方法がとられており、マスターするのに何十年もかかるとも言われる難解な脈診のみに頼る必要もありません。

 治療効果のほうは、例えば、足の王穴に鍼を1本貼るだけで五十肩の患者さんの腕が劇的に上がったり、背部の脾兪で腰痛が、胃兪で臀部の痛みがこれまた鍼 1本貼って良くなったりと枚挙に暇がありません。また、鍼灸治療で視力が上がるなどとは想像もつきませんでした。これらの治療効果を目の当たりにして、自分がそれまで労力かけてやっていた治療はなんだったのかと頭を抱えました。

 当初驚きの連続であった不思議な出来事も、今では日常的に起こることとして受け止められるようになりましたが、毎日の臨床においては新しい発見の連続で す。毫鍼を始め、ローラー鍼、王不留行、皮内鍼、刺絡等々、治療のバリエーションも多く、患者さんの体質と症状によって最適な治療方法と治療点の組合せを 模索するプロセスではいくらたくさんの本や資料を読んでも得ることのない貴重な経験を得ることができます。

 臨床上の経験と言えば、予想以上の結果が出て、鍼灸の力や可能性の凄さに感心させられることも多々あります。私の担当する患者さんだけを例にとっても、 視力回復では、76歳の女性の方が生涯最高の視力をマークしたり、2年前に眼底出血を起こして視力低下し、運転免許を更新できなかった66歳男性がめでたく免許更新できたり、等がありました。

 そして最近1番の出来事としては、脳血栓と 高血圧で記憶が時々途切れる82歳の女性が、数回の治療で記憶が途切れなくなった上に、定期的に通われるうちに太れない体質だったのに健康的に5キロも体重が増え、気がつけば老眼鏡なしで新聞が読めるようになり、挙句の果てに は真っ白だった髪の毛が黒々としてきて本人も周りの人もびっくりという例がありました。既に数多くの治療実績があるにも関わらず、この1年半の間にも吉川院長の治療は日々進化を続けており、私も負けないように進化し続けてゆきたいと思っております。(2012年)

VOICE 52(長期研修)/鍼灸師(神奈川県・女性)

 2年前、鍼灸学校3年生の時に受けた1日だけの短期研修、その時の衝撃は今でも忘れません。吉川先生の下で研修をされた、目白鍼灸院の柳本先生に治療していただいていたため、「陰陽太極鍼」の素晴らしさは体感していましたが、見るのは初めてでした。吉川先生が迷わず置いていかれる鍼で、次々と患者さんの体が変化していく様子に驚き、絶対ここに来て勉強しなくては!と強く思ったことをはっきりと覚えています。しかし同時に、ここまで効果が高いのは、吉川先生だからこそではないか?という思いもありました。「そんなことないわよ。本当に誰でも出来るわよ。」そうおっしゃっていただいたこ とで決心が固まり、長期研修生としてまた帯広へやって来ました。

 実際に患者さんの治療をするようになって間もない頃は、反応や症状がなかなか取れないことも多く、自分の未熟さも考えず、やはり先生しか出来ない治療なのでは?と悩んだ時期もあります。しかし、鍼を置いた位置を先生に直していただいたり、敏感な患者さんが教えてくださる場所をよく触り、その感覚を指で覚えていくうちに自然と悩みは消えていきました。教科書通りの位置にはない活きたツボが探せるようになると、鍼を一本置く毎に体のあちこちの反応が取れるようになり、私の治療も結果が出るようになりました。
 
 鍼の位置を1ミリ修正する、それだけで症状が劇的に変わるという経験も何度もしました。「五十肩に王穴」「坐骨神経痛に胃兪」など、吉川先生の治療は臨床にすぐ役立つものばかりです。でもそれは、当たり前ですが、きちんとツボが取れているから効くのだと分かりました。知識だけの頭でっかちではダメで、鍼灸師として、やはり一番の基本は、手や指を作ることだと感じます。体表反応の変化を観察し、一本一本の鍼の効果を確かめながら行う治療では、その鍼が効いたか効かなかったか、が明確に分かります。患者さんにもその場で体の変化が分かるため、誤魔化しは効きません。だからこそ、指の感覚を鍛えられたのだと思っています。

 東方鍼灸院には、実に様々な症状の患者さんがいらっしゃいました。この症状にはこのツボ、そのような決まりきった治療法しか知らなければ、正直戸惑うような病名もありましたが、「陰陽太極鍼」はどんな病名・症状にも応用できました。症状や場所から、どの臓腑・経絡に問題があるかを予測し、あらゆる陰陽を考えながら、陰陽のバランスを調整でき症状が改善する治療法やツボを選ぶのですが、臨機応変にそれらを探し出す力を身につけられたことは、かけがえのない財産です。

 以前、担当していた患者さんの難治性の症状に対して、「本当に取れましたか?」と思わず笑ってしまったほど、思いもかけない治療点を見つけたこ とがありました。先日、吉川先生から、今でもその治療で患者さんが楽になっているとお聞きし、大変嬉しかったです。
 患者さんがどんどん良くなり、笑顔で帰って行かれる喜び。心身ともに回復し、どれだけ人生が豊かになったか、をお話してくださる患者さんもいらっしゃいました。未熟ながらも、吉川先生が信頼してくださり治療を任せてくださったからこそ、その喜びをたくさん経験することができたのだと感謝しております。患者さんが納得してお帰りいただけるよう、治療で確実に結果を出す、それは大変なプレッシャーでもありましたが、これからの一生を鍼灸師としてやっていく自信が持てるようになりました。

 研修中、私にとって好きだった時間の一つは、素晴らしく効いた治療など発見したことや、患者さんの症状改善の報告をし合う時でした。吉川先生のお話をう かがうのも大変勉強になりましたし、私たち研修生の報告を、先生が本当に嬉しそうに聞いてくださいました。先生は、時には治療をしながら、患者さんと一緒 に驚き、一緒に喜び、「鍼ってすごいわね。」と眼を輝かせることもあります。吉川先生の傍にいると、鍼灸を愛する気持ち、情熱が本当に伝わってきました。 東方鍼灸院に来てから、私もますます鍼灸の世界が好きになり、自分の選んだ鍼灸師という仕事に、心からやり甲斐と誇りを感じます。

 この度、実家の事情により研修を終了しましたが、多くの貴重な経験をさせていただき、大変充実した研修でした。日常の臨床だけではなく、吉川先生の DVD撮影、日本東洋医学会学術総会での実技セミナー助手・鍼灸サロンスタッフ、鍼灸の大家と呼ばれる先生との実技交流など、この時期に長期研修生として勤務できたことは本当に幸せでした。

 寒さも厳しい帯広に単身来ることは一大決心でしたが、代表、吉川先生、離れていても東方鍼灸院出身の先輩方がいつも気にかけてくださいました。長期研修生の同僚とは、美味しい物を食べに行ったり、道東をめぐり大自然に触れ、北海道の生活を楽しむことがで きました。全国から来られる短期研修生との出会いも大いに刺激になり、今も大切な仲間です。患者さんとの触れ合い、温かいお心遣いにも元気をいただきまし た。たくさんの方々に支えていただいた1年10ケ月でした。お世話になりました皆様に、心から深く深く感謝申し上げます。帯広に来て本当に良かったです。

 実家の神奈川では、「痛そう、熱そう、怖い」というイメージから鍼灸治療を受けたことのない友人・知人たちが、吉川先生の「刺さない鍼」に多くの興味と期待を持って、私の帰りを待っていてくれました。東方鍼灸院の患者さんは、怖がらずに安心して、ご自分の体の変化を楽しみながら治療を受けていらっしゃいます。研修で学んだことを活かし、もっともっと多くの方に鍼灸治療の素晴らしさを知っていただき、身近な医療として、さらには、調子が悪くなくても健康維持のために続ける鍼灸というものを広めていけたらと考えています。そのためにも、吉川先生のように、これからもより良い治療を求めて日々努力し、頑張ってまいります。(2012年)

VOICE 51/産婦人科医(北海道・女性)

 帰宅してから、いただいた資料を読ませていただき、改めて素晴らしい治療に出会えたことを感謝しています。患者さんの声に優しく耳を傾け、身体の反応を細かく観察し、ほんのいくつかの取穴で症状をあっという間に取り除いてしまう、治療家のあるべき姿を見せていただきました。

 先生が長い年月をかけて苦労されて開発された、奥義とも言える素晴らしい治療法なのに、鍼灸が全てではないとおっしゃる謙遜な姿、私のような初めての者にさえ惜しまず教えて下さる姿勢に感激しました。勉強不足で恥ずかしい限りですが、ゆっくり教えていただいたことを消化吸収できるよう努力したいと思います。(2012年)

VOICE 50/鍼灸師(北海道・男性)

 私の治療院ではまだまだ肩こり、腰痛、捻挫などの運動器疾患の患者さんが多いものの、5~6年にわたって吉川先生が開発し提唱する「陰陽太極鍼」を中心とした治療を行っている。その結果、運動器疾患の原因の多くが内臓の不調や本人も気づかない程度の内臓の変調によって引き起こされていることに患者さん自身が気づくことができ、症状が消えた後も定期的に体調管理のために来院して頂けるようになった。

 体表観察では触診や適度な圧力による、募穴、腓腹筋、首周六合、背部兪穴等の押圧等を行う。気血の流れが正常であれば適度な押圧に不快なストレス反応は生まれない。
圧痛、硬結、冷、温感など異常と認められる反応を確認し、主訴症状とともにこれらの反応の消失を目的に治療を行う。

 切経により開穴(敏感なポイント、気持ちが良い、くすぐったいなど)を探すという手法は、患者さんとの対話を通して東洋医学的な世界観に興味を持っていただけるばかりではなく、患者さんが意識的に自身の体に向き合うきっかけにもなるために、治療直後の体表反応の変化を共有することができ感動的である。

 他の鍼灸治療には見られない大きな特徴が3つあると思います。
  1. 鍼を、検出した開穴に補寫に従って置いた直後に圧痛や硬結が消失する。・・・・治療による体表変化の早さは鍼灸治療への信頼感を向上させることができる。
  2. 反応の変化が患者さんとともに確認できる。・・・・患者さんに東洋医学の考え方を理解してもらうことによって自己治癒力や自分の体への自信の回復ができること、生活習慣などの見直しを積極的に取り組むことができる。
  3. 刺さずに置くだけで症状が楽になる。・・・・患者さんの刺鍼ストレスの解消により治癒効果が向上するとともに鍼嫌いをなくすことができる、潜在的な鍼灸ニーズの拡大を図ることができる。
以上「陰陽太極鍼」による施術のこれらの特徴は、鍼灸師にも患者さんにも非常に有益であると考えます。(2012年)

VOICE 49/鍼灸師(北海道・女性)

  今回の研修で一番驚いたことは、患者さんやそのご家族の鍼灸に対する認識の高さです。「前回は、肝の辺りがよかったよ」などといった言葉が患者さんや、そのご家族から何度も聞こえてきました。

 どこの経絡に不調があり、どんなツボを使って治療しているのか、などといった具体的な治療内容が、吉川先生の口から次から次へと出てきて、それによって患者さんは、自然に自分の体に興味を持ち、理解し、自分でできるケアや、自宅でのセルフ治療に繋げているのだと感じました。

 前回、東方鍼灸院で研修させていただいたとき、鍼灸の面白さや素晴らしさを感じながら帰ってきたことを、改めて思い出しました。勉強会や講演会に参加させていただくたびに感じることは、吉川先生ご自身が、鍼灸を誰よりも心から信じていて、大好きなのだということです。その想いは、言葉だけでなく全身から伝わってくるように思います。

 たった1日の研修でしたが、私自身、実際に臨床の場に立つ者として、治療時に感じた疑問は必ず一つ一つ解決させて、次に繋げていこうと思いました。なにより、勉強不足を痛感し、また基本的なことからしっかり学ばなければならないと感じました。
 
 日々勉強を重ね、次回研修させていただく時までには、今回よりも少しでもレベルアップした私でいられるように、一日一日の治療を大切に過ごして行きたいと思います。(2012年)

VOICE 48/学生(北海道・男性)

 おかげさまで鍼灸の奥深さに触れることができ日々充実しております。先日「王穴の神秘」を体験しましたことをご報告いたします。私が細々と主催しております太極拳教室でのこと。しばらくお休みされていた方が久しぶりにこられました。
 
 どうされたのかと聞くと「五十肩で肩がいたくて」とのこと。実際にシャンプーも片手でしないと痛くて痛くてとのこと。私はそのとき先生から授かった「王穴」を思い出しました。ところが鍼をもちあわしておらず、どうしようかと思ったところ、ちょうどそのとき太極拳で内気功の稽古をしておりましたので気功で試してみようとおもいました。
 
 左肩が痛い、圧痛ある王穴はあきらかに左。丹田に意念をもち労宮に意識を集中して中衝に気を導くようにしながらそっと王穴にふれました。そうしたらみるみる肩が挙がったのです。そのあとは治った治ったと肩をくるくる回して共に太極拳を楽しみました。こんな私にでもこのようなことができるようになったことがとてもうれしくご報告いたします。(2012年)

VOICE 47/医師(滋賀県・男性)

 私は、昨年と今年、大阪で開催された日本中医学学会(会長 木本由紀夫先生)で、吉川先生の陰陽太極鍼の講演を拝聴した際、その理論的な内容に大変興味を覚えました。研修をお願いしましたところ、8月5 日から11日までその機会を与えて下さり、多くのことを学ばせていただきました。研修報告として以下の3項目に分けて述べたいと思います。
  1. 診療に関する感想
  2. 研修目標と学んだ内容
  3. 今後の抱負
  1. まず、吉川先生が、問診・舌診・脈診・腹診・首診・腓腹筋の 触診、そして四肢の切経・置鍼・百会のローラー診・背部診と置鍼・温灸と実に丁寧に、 ひとつも省略されずに入念に進めていかれ、また、その過程で患者さんに、逐一症状の改善を確認し、改善のない場合は、効果が現れるまで治療を続けられる姿に感銘しました。一人の患者さんが治療を受けられている時間は、1時間から1時間半くらいにも及んだでしょうか。その間はほとんど立ったまま、何人かの患者さんを並行して診られます。疲れないのだろうかとお聞きすると、1日終わると確かに疲れますが、診療中は夢中なので忘れていますとのことでした。先生の治療により患者さんの症状が、その場で改善していくのをしばしば目の当たりにしましたが、その喜びこそが、ほとんど休みなく診療を続けられる原動力なのかもしれません。患者さんの訴えに常に共感的に接し、笑顔で穏やかに話されている姿も心に残りました。
     次に、さまざまな患者さんの中で、眼科疾患の方が多く来られていたのも印象的でした。研修初日に初診で来られた弱視の小学生の子が、日に日に視力が改善 していく姿だけでも眼をみはりましたが、網膜色素変性症の方が何人かみえていて、根本的治療法が確立されていないこの難病の方の視力が、先生の治療により、非常に改善しているのは驚異でした。
     最後に、昼休みの休憩時間や食事会の時に伺った、陰陽太極鍼を確立されるまでのさまざまな御苦労にも感じ入りました。 "パイオニアと いうのは苦難の道を歩む運命にあるものだよ。"という、ある方の言葉が思い浮かびました。先生も開拓者として、伝統に逆らって?切り開いて来られたその道は決して平坦ではなかったことを知りました。しかし、その様な逆境にもめげず、多くの難病患者さんを苦痛から解き放つために、心血を注いで 来られたことに深く敬意を表します。北海道のみならず全国からも研修者が後を絶たないゆえんであると感じました。
  2. 今回の研修で目標としたのは、経絡弁証と正確な取穴、そして配穴の法則を学ぶことでした。そのため、初歩的なことでも疑問が湧けば躊躇せず質問しましたが、全てに快く答えて下さり理解が深まりました。経絡の有機的なつながりが頭の中に、容易に思い巡らせるようになりました。また、一緒に参加された 歯科医のS先生とペアで、吉川先生に指導を受けながら実際の手技を行うことが出来たのはとても幸いでした(S先生、1週間有難うございました)。鍼灸の教科書にある配穴の法則について、なぜその組み合わせをとるのかが必ずしも明白でなく、この点を是非、理解したいと考えていました。先生から、経穴の組み合わせは診察情報から自ずと決まるのですとお聞きし、配穴法則を棒暗記する必要はないということがわかりました。"最初から意図的に固定した組み合わせを選ぶというより、振り返ってみて結果的に、○○という関係になっていたということも多いです。"とも述べられました。置鍼は経穴の虚実をみて、病変部の対側で陰陽関係にある経絡上の主に肘・膝関節より遠位の経穴を選ぶのが基本原理であると理解しました。つまり、治療の要点は先生の主張される"陰陽のバランスの乱れを是正する"という言葉に集約されるように思います。また、この点は西洋医学による治療においても目指すべき方向であると感じます。
     わたしの理解は、まだまだ浅いものですが、今回の研修目標は達成できたと思います。
  3. わたしは、鍼灸を本業とするものでないため、日常診療で先生のように一人の患者さんに時間を多く割くことができません。研修で得た知識をmodifyして診療に応用する必要があります。これまで、医療の中に治療手段の一部として取り入れてきた鍼治療を、今回の研修で学んだ陰陽のバランス調 整という観点から、"活性化"させたいと考えています。また、頂いた鍼灸に関するさまざまな貴重な文献・参考資料も精読し、より多くの患者さんの治療に役立てられるよう不断の努力を続けたいと思います。(2012年)

VOICE 46/学生(北海道・男性)

 鍼灸師を目指したその時から刺さない鍼は理想で、そこにこそ東洋医学の真髄があると直感していました。現代科学は目に見える原因と結果しか評価しなく、鍼灸といえどもプラシーボ効果とされる事も多々あります。しかし鍼灸は数千年もの間、事実として効果を発揮しています。
 
 ここに大きな矛盾が生まれ、さらに人間の大きな錯覚は「科学の進んでいない過去の人間は劣っているという感覚」これが過ちを深めています。生物学的に知的レベルには変化は無く、むしろ東洋医学を生み出した先人達には、今の人間には失われてしまった超感覚と医術を知っていたのだと確信します。
 
 今回刺さない鍼の「陰陽太極鍼」を拝見させて頂き、西洋医学の土俵で東洋医学を語ることがどれだけ意味の無い事かを教えられました。目の当たりにした治療は驚きの連続です。一本の鍼が身体に影響する。これを本当の意味で理解する事がどれほど難しい事か。まさに量子力学の世界を目の前で体験したかのような驚きで、それは自分の中に新しい理論が刻まれたようなもので、すぐに頭で理解できる事ではありません。鍼が世界に広まった理由、そして何千年もの歴史に淘汰されない理由を実感できた気がしました。
 
 O-ringテストや入江FTなど優れた診断法はありますが、「陰陽太極鍼」は単純かつ適確で実用性と応用力を兼ね備えた方法だと思います。事実、鍼灸学校1年生の自分でも十分に効果を発揮させる事ができました。これからどのような臨床家になるのかを決めていく重要な時期に「本物」と出会えた事は本当に大切な財産です。(2012年)

VOICE 45/鍼灸師(大分県・男性)

 早速、帰ってから家族に治療してみましたが、"陰陽太極鍼"は治療している自分も驚くほどの効果があります。さらに、即効性もあるので受けている側 も治療の効果をすぐに実感してもらえるので、本当に素晴らしいです。治療していてうれしくなりますし、もっともっと治療したいという気持ちが湧いてきま す。

 2週間程の短期研修でしたが、教えて頂いたことをそのまま行うだけで、治療結果を出すことが出来ました。私は、指先が敏感ではないのでツボをピンポイントに探し当てることには少し苦労することがありますが、それでも患者さんに聞きながら少しづつずらしていけばココというところがわかります。吉川先生の DVDのタイトルにもありますが本当に誰でもできると思います。

"陰陽太極鍼"は、従来の
  1. 鍼は痛い
  2. 患者さんは鍼灸の効果がわかりにくい
  3. 治療技術を習得するのに多くの年数を要する
という鍼灸の弱点を完璧にクリアする、革命的な治療法ではないでしょうか。
何度も言いますが素晴らしいです。

  1. 鍼は痛い
     これは、一般の方が鍼灸を敬遠する大きな要因ではないでしょうか。友人、知人に「鍼やっているよ」と言うと十中八九「鍼って痛いんでしょ。怖い。」と言われてしまいます。
  2. 実際には鍼を刺すと言ってもほんの数ミリでしかないのですが、一般の方にはいくら「ほんの少ししか刺しませんからほとんど痛くないですよ」と言っても過剰にネガティブに捉えられてしまう現実があると思います。しかし、陰陽太極鍼は鍼を全く刺さずに置くだけなので、「鍼は刺しません。置くだけですので、痛くもかゆくもありません。」と言えますので、一般の方の鍼灸へのハードルを大きく下げてくれるのではないでしょうか。
  3. 患者さんは鍼灸の効果がわかりにくい
     これは私が感じているだけかもしれませんが、世の中にある鍼灸治療の多くは、施術者側が判断して治療して良くなったと思ったら終わり、というように治療中は施術者だけが治療して、患者さんが置いていかれているような感じがします。もちろんそれで改善すれば患者さんも満足するのかもしれませんが、何かもう一つ鍼灸の効果の素晴らしさを伝えきれていないように感じます。それに対して"陰陽太極鍼"は、治療する前に患者さんに圧痛などを確認してもらい、鍼をする毎に変化を感じてもらう治療法なので、患者さんも鍼で身体が変わったことを実感しやすいですし、そうして鍼の効果を自分で体験すると患者さんの頭に「鍼って効くんだな。」というプラスの意識が芽生えて、その後の治療にも良い影響を及ぼすと思います。
  4. ある人が「患者さんから認められる、信頼される治療家になるためには"魅せる治療" が必要だ。」と言っていました。"見せる"はただ見てもらうという意味、"魅せる"は相手を魅了し心を動かすという意味だそうで、治療の最初で最も過敏な 開穴に鍼をするとガラッと体の状態が変化して患者さんがびっくりしたり、不思議がったり、喜んだりする、あの一連の光景はまさに"魅せる治療"だと思いました。
  5. 治療技術を習得するのに多くの年数を要する
     上にも書きましたが、私は2週間程研修させていただいただけですが、自分でも驚く程の効果が出ます。脈診30年ではないですが、基本的に治療技術を身に つけるのに5年~10年はかかると考えるのが一般的なこの業界の中で、この短期間でこれだけの結果を出せる治療法は、まずないのではないでしょうか。
東方鍼灸院に研修に行こうかどうか迷っている方に一言アドバイス。DVDも非常にわかりやすく素晴らしい内容ですが、DVDを見て独学で学ぶのと、実際に研修に来て自分の目で見たり、練習を指導して頂くことには歴然の差があると思います。やはり百聞は一見に如かずです。
 
 臨床ではなかなか思うように変化が出ないこともありますので、そのような場合にどう対処すればいいのか、など生の現場でないと感じられないことが たくさんあると思います。この治療法を勉強されたい方は、DVDや勉強会だけでなく是非研修を受けられることを強くお勧めします。必ずかけた労力以上のものが得られると思います。 私はまだまだ駆け出しですが、今回の経験を生かし、一人でも多くの患者さんに少しでも楽になって頂けるよう精進していきたいと思います。(2012年)

VOICE 44/鍼灸師(長野県・男性)

 研修後1か月近く経過しましたが。先生にご指導頂きました陰陽太極鍼を毎日忠実に実行しています。切経も自分なりですが少し上達したと思います。
 
 陰陽太極鍼の効果を実感している一方で、誤治による緊張や発汗、数脈、重だるさ等も経験しました。まだまだ正確な診断と取穴、補瀉等、研鑽を積まないとなりません。
 
 陰陽太極鍼は患者さんとの距離を縮め、信頼関係を築くには卓越した治療法です。9月からの自費診療に向け、少しずつ手応えを感じています。これからも先生の鍼灸に対する情熱や真摯な姿勢を思い出しながら頑張っていきます。(2012年)

VOICE 43/鍼灸師(富山県・男性

 私は、7年前「鍼灸の挑戦」を読み、東方鍼灸院を知りました。私自身視覚障害(網 膜色素変性症)があり、いつか治療を受けに行きたいと思い、その2 年後に行くことが出来ました。当時は仕事の都合上3回しか受けることができませんでしたが、見事に視力が上がり、視野も広がりました。自分で実感したその効果に驚き、その頃からいつか研修に行きたいと思うようになり、今回3週間研修させていただくことになりました。

 私は極度に緊張しやすいタイプなので、研修1日目で、睡眠不足と治療見学の緊張により腰痛と足がフラフラとなり、吉川先生の鍼を受けさせていただくことになりました。仰臥位で開穴に次々に鍼を置かれていかれました。その最中にとても気持ちが良くなり、先程までかなり痛かった腰がフワーッと和らぐ感覚がありました。手足に鍼を置かれているだけなのに、腰も足も目の重みも楽になりました。これが、経絡が通じた瞬間!環の端が無きがごとく輪になっている!と自分の体で納得しました。
 
 治療が終わり、帰宅する頃には朝よりも元気になり、これから1日が始まってもいいほどにエネルギーがみなぎっていました。研修1日目から、陰陽太極鍼の凄さを身をもって知ることができました。

 緊張しやすいということで、私は患者さんの前では手に汗をかいてしまいます。施術者にとっては大変な悩みです。しかも陰陽太極鍼では経絡を指で軽くなぞるように切経しますから、この緊張性発汗はとても厄介です。

 しかし、吉川先生に治療していただいた翌日は、緊張していても汗をかかない時間がありました。 何回か治療を受けるごとにその時間が増え、私の手にもだんだん自信が湧き、32年間緊張=手の発汗だったものが、しだいに良くなっていきました。視力も、 矯正0.2→0.6になり驚かされる毎日でした。

 患者さん一人一人の反応の違い、同じ人同じ開穴でもその日その時間により出現の違いがあるということ、開穴に刺鍼後反応が消えない時には、吉川先生の巧みな技(子午の関係、陰陽の関係、陰陽太極の関係、同名経の関係、微妙な鍼と経穴の位置の違い等々)によって反応が瞬時に見事に消失していくことに驚かされました。

 そして反応が消失すると同時に体表における他の反応も消失していき、患者さんが訴えていた症状も和らぎました。開穴と経絡と臓腑がつながっていて、経絡の流れが良くなると、症状の所在が外であろうと、中であろうと横であろうと縦であろうと関係なく良くなっていく様子が確認できました。
 
 腹部募穴の圧痛、足底の圧痛、背部兪穴の反応等は、鍼を置く前と後を実際に触察させていただきました。鈍感な私の手でさえも、思わず患者さんの前で「何でこんなに変わるんですか?!」と声を大にして驚いた事が何度もありました。

 三週間を通して、陰陽対極鍼を勉強させていただいたことはもちろんですが、私にとっては、吉川先生が毎日一人一人の患者さんを熱心に治療されている姿、 ただその先生のお姿、熱意が、一番の感動、刺激でした。そして毎日、毎回の施術の中で発見があり本当に勉強になりました。手取り足取り教えていただき、充実した三週間でした。(2012年)

VOICE 42/鍼灸師(静岡県・男性)

 毎日多くの患者さんの治療をなさる先生のお側で見学させていただきながら学んだこと、実技指導でいただいたアドバイス、そして休憩時間や治療時間終 了後も、私のいろいろな質問に対してわかりやすく説明をしてくださったこと等を通して、少しずつ、陰陽太極鍼への理解が深まってきました。

 環になって繋がっている経脈の流れを理解していると、遠隔のツボで良くなる理由もわかります。又、経脈は臓腑を通過しているので、流れがよくなればそれに繋がる臓腑の機能が良くなり、諸症状も良くなるということや、遠隔のツボを使うことの良さについては、テコの原理の話がとてもわかりやすかったです。さらに先生は、「治療して治ったからといって天狗になってはいけませんよ。治ったのは経脈のおかげ。」ともおっしゃっていました。謙虚にそして常に学び続けていくことの大切さも教えていただきました。鍼灸はとても奥が深いです。これからも、いただいた、たくさんの資料等を元に勉強を続けていきたいと思っています。

 こちらに帰ってからは、早速、小学生、中学生の女子二名視力回復の治療をいたしました。二人とも鍼は初めてです。置くだけと伝えても半信半疑の様子でし た。けれども温灸をする頃になると、リラックスして眠っていました。とても気持ちが良かったようです。治療してみてまず思ったことは、初診の患者さんでもその方の症状に応じた開穴がわかるということです。

 A子さん(小学校六年生)は「大腸兪附近に腰痛あり。体が重だるい。」という症状 がありました。腰痛は「大腸兪」附近、重だるさは「脾の主り」です。そ して、これらは太陰陽明の陰陽関係にあります。開穴の一つに脾兪(左右)がありました。ここに鍼を置くことで大腸兪の圧痛がとれました。

  B子さん(中学二年生)は「肩が重い。凝っている。」という症状がありました。凝りは、小腸経ライン上にありました。今回の治療で一番効果のみられた開 穴は、左心兪でした。ここに、鍼を一本置くことで背面の右側の硬結がすべて緩みました。温灸は左心兪でした。治療後は、心経と表裏関係にある小腸経のライン上にあった肩の凝りがとれ、体が軽くなったようです。視力は矯正視力の右が約二ポイントアップしていました。これからも研修を通して皆様から教えていただいたたくさんのことを思い出しながら十分な効果が出せるよう努力を続けていきたいと思います。(2012年)

VOICE 41/鍼灸師(愛知県・男性)

 吉川先生の治療を間近で見学させて頂いた率直な感想は、鍼、王不留行を皮膚に置くだけで生体が変化する事実であり、あたかも精密機器を微調整するかの如く、繊細な治療であった。
 
 経絡は、生体を微調整する為の極めて有用なシステムであると思った。このシステムを運用するには、様々な約束事や運用方法がある。吉川先生は、この様々な運用方法を縦横無尽に駆使し治療にあたっている。
 
 特筆すべきは、その取穴法である。患者さんとの阿吽の呼吸により、その日、その時の開穴をフェザータッチの切経により導き出す過程は、治療を完結する為の患者さんとの共同作業であり、治療開始と共に刻々と変化する体の様子は、圧巻であった。
 
 多汗症の自分にとっては、フェザータッチの切経を会得するのは容易なものではなく、鍼灸理論の勉強不足にいたっては、何ともしがたいものがあった。
 
 吉川先生の鍼灸界全体の将来を見据え、持ち得ている技術、知識のすべてを惜しみなく発信している姿には、感銘を覚えた。吉川先生に教えて頂いた、陰陽太極鍼を今後の臨床に活用すべく研鑕する事を、決意も新たにする研修であった。(2012年)

VOICE 40/鍼灸師(神奈川県・男性)

 吉川先生の論文、DVDを拝見しながら、数年来、いつかお会いしたいと思っていましたので、まずはお会いでき、その治療を拝見できたことに大いに感動しました。初日からめくるめくような有意義な時間を過ごし、圧倒されるばかりでした。
 
 なかでも、患者さまたちの喜びの声のにぎやかなこと!「なんで?」 「どうして?もう痛くない!」「魔法みたい!」と。既往歴をうかがうと、いずれもむつかしい症状をお持ちの方が、目覚ましく変化なさっているごようすでし た。そばにいる私まで嬉しくなってしまいました。
 
 吉川先生の優しいお声掛け、ていねいな触診。弁証しながらの腹診、背診、頚部や腓腹筋の圧痛をてがかりに、患者さまにとって必要な治療を次々選ばれるのを間近に見て、陰陽太極鍼の素晴らしさを体感しました。
 
 また、お忙しい中で治療を受けさせて頂くと、なるほど、はっきりと開穴では、感覚がちがい、経穴に鍼を接触させることにより、それらの圧痛がどのように変化するかを自分の体でしっかり確認できました。そして、その穴が、きちんと、主訴と関係し理屈の合うものであることには、目からうろこが何枚も落ち、「経絡」をまざまざと実感する思いでした。(2012年)

VOICE 39/外科医師(男性)

 特に鍼を刺さないで置くだけの鍼でも効果があることに驚きを覚えました。今までの先入観念で「鍼灸は鍼を刺す」ということしか頭にありませんでした。現在、何人かの患者さんに行い効果を確認しております。私の妻にも何回も行っておりますが非常に効果があります。先生の教えを今後の治療に活かしたいと思っております。
 
 さて私は現在勤務しているA病院を4月末日をもって定年退職いたします。その後はまた別のB病院に勤務しながら地域医療に尽くす所存です。定年後 の医療に対するスタンスは以下の通りです。人間いずれはどこかで最終章を迎えることになりますが、最後の経過は様々だと思います。病気で苦痛を伴いながら 最後を迎える患者さんも未だに多く存在します。その最後のところに少しでも貢献できたらと考えております。
 
 苦痛を除く一つの方法として先生が実践されておられる鍼を刺さない鍼灸、陰陽太極鍼に巡り会えたことは私にとって幸運でした。鍼灸の効果は確かなものであり、実際は鍼灸の鍼は痛くないのですが,苦痛を訴えている患者さんにとっては鍼を刺すという言葉で恐怖感を抱く可能性があります。それを刺さないでかつ効果があるということであればそれに越したことはありません。是非これを活かしていきたいと考えております。(2012年)

VOICE 38/鍼灸師(富山県・男性)

 陰陽太極鍼はとても素晴らしいです。今まで患者様がたに「鍼灸の効果を実感するのは少し時間がかかりますから、気長に通ってくださいね」とお話ししていたのがまるで嘘のようにすぐに効果が現れます。学校での患者さんで言えば、肩関節屈曲40°程度の男性に「王穴」のみで90°まで改善されました。

また、老人性耳鳴りが主訴の男性は、耳前では右聴宮に圧痛がありました。反応の強い右陽谷、左侠渓の補鍼を中心に行ったところ、施術直後に強い疲労感を感じられ、家に帰ってすぐに昼寝をされたそうです。そして目が覚めたら、ぴたりと耳鳴りが止んでいたそうです。

 気管支喘息が主訴の女性も、鍼を受けると2~3日はとても楽になると喜ばれていました。ところが、2週間ほど間をおいて来られたときには、とても症状が悪化していました。いつも、肺経右前腕の流注上を触擦すると痺れるような感覚(施術者が経穴上で感じる痺れたような感触です)があり、それは右尺沢の瀉の鍼 で軽減していたのですが、このときは肺経、大腸経、胃経に痺れた感じがあり、何処をどうしても、くすぐったさが改善されません。

 「何か特別なことをされましたか」と訊くと「ここしばらく喘息が酷くて、昨日まで3日連続で点滴を受けていた」といわれました。これが喘息か点滴の 為か、どちらに起因するのか判りませんが、先生が常々言われていた「薬はできるだけ飲まない方がいい」というのは、もしかしたら、治療効果が挙がりづらいからかなと思いました。

 春も近づいてきて、鼻炎や花粉症の方も多いのですが、それらがピタリと止まります。教えていただいた止痒穴のお かげです。骨折後に、骨が曲がって付いたのか、歩くたびに右第一、二中足骨間の疼痛に悩まされる方の痛みも、左の太衝の補鍼ですぐに取れました。[※左右 の陰陽を調整する巨刺法の応用]同じ要領で、弾発指の治療にも成功しました。

何より素晴らしいのは、この効果が治療直後に出ていると言うことです。弾発指は三人に施術して、一人だけ治療院にいる間に効果を実感させることが出来なかったのですが、その一人も、帰られて30分もしないうちに、「治った」と電話してきてくれました。とてもうれしかったです。(2012年)

VOICE 37/学生(男性)

 実際の治療院見学は初めてでしたので、一日一日があっという間に過ぎていった感じでした。昨年六月の学会での経験がありながらも、実は半信半疑で帯広に向かいました。興味はとてもあるけれど、刺さずに置くだけの鍼治療には疑問でいっぱいでしたが、逆にそれが楽しみでもありました。
 
 初日は、何が何だかよくわからないまま、朝からどんどんとベッドがうまっていき、治療されている吉川先生を見逃がさないよう必死でした。二日目、 三日目も同じように朝からどんどん患者さんがいらして病状を訴えていらっしゃいましたが、毎日何人もの患者さんを診てもきちんと話に耳を傾け、一人一人に 向き合っている姿には感動しましたし、私も先生のようになりたいな、と思いました。そして研修でありながらも治療をして頂きましてありがとうございました。
 
 先生の治療体験で反応の変化を体感できましたし、何より、「すごい」や「楽になった」という患者さんの声が必ずあったのが、印象に残っています。 来院される患者さんも、三日間ではありますが、男女や年齢にあまり片寄りがみられないようでしたので、これも幅広い疾患に効く、という事なのだな、と感じ ました。
 
 刺絡も初体験でした。札幌に帰宅後、刺絡をした自分の膝裏がキレイになっていてビックリでした。私も手際よく出来るようになりたいです。昨日は友人に、百会にローラー鍼をしてみましたら、ふくらはぎの反応が無くなって、驚いていました。その友人は早速ローラー鍼を注文しておりました。今後は少しずつでも研修で得た事を実際に行ってみて色々試して、勉強して、を繰り返し、結果を出せるようにしていきたいと思います。(2012年)

VOICE 36/鍼灸師(ブラジル・女性)

Ⅰ.東方鍼灸院に至る道
  • 2011年10月末、ブラジルのパラナ州にある人口200万人前後の中規模都市クリチバ市からネットで吉川先生の東方鍼灸院に2-3カ月間の中期研修を申し込んだが、突然の申し込みにもかかわらず、快く受け入れて頂いた。
  • 吉川先生の「刺さない鍼」については、松田博公氏の「日本針灸へのまなざし」中の「吉川正子さんの接触鍼に群がる中医師」(2007年WFAS 【世界鍼灸学会連合会】二十周年北京大会)という章や松田氏と吉川先生との対談などで知り、これからの日本鍼灸の方向性を先取りしたものとの感触を得たため、2012年6月に予定する鍼灸院開業に先立ち、是非、この目で「刺さない鍼」の実効性を確かめたいと思った。
  • 日本の鍼は元々浅い鍼が多く、針管を使うこともあり、余り痛くはないが、吉川先生の鍼は刺さずに置くだけの鍼である。こうした日本的な浅刺や接触 鍼やひいては刺さない鍼がなぜ効くかの論拠となり得る傳田光洋氏の3冊の本(皮膚は考える、第三の脳、賢い皮膚)は読んでいたし、オーラ(エネルギー体/ エーテル体)やチャクラや気やプラーナの存在を信じている私にとって、「刺さない鍼」の実効性はある意味では自明のことでもあった。鍼は肉体ではなく、エ ネルギー体に作用すると私は信じているから、必ずしも肉体に刺す必要はないと昔から思っていた。
  • アメリカの有名な物理学者でヒーラーでもあるバーバラ・アン・ブレナン博士の書いた「光の手」という本を10年以上前にポルトガル語版 で読んでいた。博士は幼少時より霊視能力があり、オーラが見える。病気の人はオーラが一部損失していたり、色が黒っぽく変質していたりするらしく、この病んだオーラを手から出る光で治療する。日本にもハンドヒーリングの歴史がある。手かざし、霊気その他がそうである。
  • また、横浜の鍼灸師である茂木先生の「気鍼」という手法の驚くべき効果も5年程前に自分の目で確かめた。目の前で、首を項垂れて病んでいた犬が気鍼による治療で一瞬にして首を挙げて元気になったのである。動物は嘘をつかないし、催眠術にも掛からないから、目を見張る効果があったことは確かである。
  • 人類にとって未曾有の年とされる2012年に私たちは生きている。今は普通の人の目には見えない「経絡」が近い将来、一般人に見えるようになるかも知れない、そういう曲がり角の時代に私たちはいる。こういう時代に、鍼灸を生業とし、これまでの人生を180度転換することに一体どれだけの意味があるのか、私は一時深く悩み、私が霊的な師とみなす人に相談した。師は、地球、そしてそこに住む全ての生物乃至は無生物が肉体を越えた5次元に次元上昇しても、鍼灸は人類と共に限りなく進化して行くものだと断言した。私は3月で64歳になるが、その一言で、残りの人生を鍼灸に賭けることを決意した。
  • そして、地球の裏側のブラジルから、厳寒の帯広に去年11月末、吉川先生を訪ねてはるばるやってきた。東方鍼灸院から一番近い場所にあるウィークリーマンションを85日間賃貸し、徒歩20分前後の距離にある同鍼灸院に毎日通い、先生の診察・治療を間近に見てきた。幸か不幸か、真冬の帯広には何も気を逸らすようなことがない。寒すぎて散歩すら出来ないから、逆に鍼灸に集中でき、私にとっては幸いだったかも知れない。毎日、吉川先生に張り付いて、先生のやり方をこの2ヶ月半、身近に観察することが出来た。元来、集中力に欠ける性格であるが、この間、私が観察できたことや学んだことの極く一部を以下に纏めてみる。
Ⅱ.吉川正子先生の診断治療の手順
  • 先生の診療の手順は決まっている。望、聞、問、切の四診は勿論だが、主に、舌診、脈診、腹診、腓腹筋の触診、首診をする。ここでは舌診や脈診についての詳細は省く。
1)腹部募穴診
  • 腹診は募穴診で、肺の募穴の中府、心包の募穴の膻中、心の募穴の巨闕、胃の募穴の中脘、肝の募穴の期門、胆の募穴の日月、脾の募穴の章門(先生は下脘で代用)、腎の募穴の京門(肓兪で代用)、大腸の募穴の天枢、三焦の募穴の石門、小腸の募穴の関元、膀胱の募穴の中極を、強くなく弱くない、程良い圧力で押してその反応(圧痛、硬結、膨隆、陥下、寒熱、過敏さ、発汗、変色など)をみる。この押し加減/具合が中々難しく、毎昼、先生の治療をする際に良く訂正されたものである。
2)首周六合の経別診
  • 「首周六合の経別診」と呼ばれる首の周りの6つのツボの触診である。人迎(脾/胃)、扶突(肺/大腸)、天窓(心/小腸)、翳風(心包/三焦)、風池(肝/胆)、天柱(腎/膀胱)がそれである。胃経の人迎に圧痛がある場合、胃もしくはその表裏の脾に異常があるものと推測される。大腸経の扶突、その他のツボについても然りである。
3)腓腹筋の触診
  • また、腓腹筋を横断する3つのラインを把握してみてどこに把握痛があるかを見定める。真ん中に腎(築賓のレベル)、その一寸上が脾、一寸下に肝の反応が出る。取穴後の変化を確認する。
4)手足の十二経脈の切経
  • これが終わるといよいよ、手足の十二経脈の軽擦に移る。触るか触らない程度の軽い「フェザータッチ」で経脈の流れに沿って切経する。先生の言葉によれば、「この日、この時間に開いているツボがある。撫でて気持ちの良いところ、くすぐったいところ、最も過敏なところがその開穴である」
  • 手足の十二経脈の開穴(かいけつ)に印を付ける際、経脈の流れに沿った方が気持ち良いか、その逆の方向が気持ち良いかを必ず聞く。これは補瀉を知るためである。補の場合には(・)、瀉の場合には(・・)の印を付ける。最も敏感な一穴に、補瀉を考慮した方向に鍼を向けて置き、絆創膏で留める。この場合、補瀉が正しくないと期待する効果が表れないことがある。虚すれば補し、実すれば瀉す必要がある。
  • 私の2ヶ月半の研修の経験では、慢性病の人程、この開穴の数が多いようである。勿論、慢性病でも皮膚に触っても余り感じない人も居る。ほとんど何も感じない人でも幾つか敏感なツボがあり、そこに鍼を置くか、王不留行もしくは王不留行子(通乳・通経・止痛の作用のある漢方の種)を置くかすれば、腹や首や腓腹筋の状態が劇的に変化することが多々ある。
  • 患者さん自身、この一穴への置鍼による体の変化ははっきり自覚できるし、非常な驚きでもある。「ん?あれあれ?どうして?マジックじゃないの?」 というのが多くの患者さんの反応である。先程までは、掴まれると痛かった腓腹筋の 把握筋が痛くなくなり、吉川先生の表現によれば、「やわやわに」なり、腹 部の募穴の圧痛がなくなって「いい感じのお腹」になり、押されて痛かった首のツボも痛くなくなるということは不思議でならないことである。患者さんにとっては、この反応は、刺さない鍼で病症に大きな変化があることの幸先の良い先触れと言える。
  • この反応こそ、鍼の効能がまさに「秒殺(びょうさつ)」と呼ばれる程、瞬時であることの証左となる。尤も、吉川先生は「殺」という言葉の語感が良 くないため、より適切な表現を模索しているようである。私は殺さずに生かすという意味で、「秒生(びょうせい)」を勧めたが、これも余りパッとしないかも知れない。さて、最初の一穴の反応を見た後、残りの手足にまだ残る開穴を探すが、ここでかなり開穴が減るのが普通である。残る開穴に置鍼するか、王不留行 を貼るかし、必要ならば、体の前面の適切なツボに、10~15分程、温灸する。その後も開穴が残っている場合にはこの開穴に相当する耳のツボに王不留行を貼って、背部兪穴の診断と治療に移る。
5)背部兪穴診
  • 膀胱経の一行線や二行線(膀胱経の一行線を二行線とし、二行線を三行線とする澤田健先生式のやり方ではない通常の一/二行線)にある背部兪穴を左右平行に押して左右差や硬結を見ると同時に、陥下や膨隆、色の変化などの体表観察をする。兪穴の兪は治癒の癒に通じ、臓腑機能の異常を示す反応点であり、 治療点である。背部兪穴は、圧して快い、陥下、発汗などの虚の反応に対しては、経に沿った補法をする。圧痛、膨隆、乾燥などといった実の反応に対しては経に逆らう瀉法をする。
  • 私の観察では、大部分の患者に右側の膀胱経に硬結などの変化が認められる。この場合、圧痛、硬結などの異変が見られた側と反対側の背部兪穴に鍼を置くか、王不留行を置く。特に、胆兪の二行線の陽綱(ようこう)の効能は凄い。ここに鍼を置くだけで、反対側のほとんど全ての兪穴の、硬結を中心とする異変は一気に消失することが多い。
  • また、大腸兪付近の腰痛の場合、大腸の表裏の肺の同名経である脾の脾兪への置針の効果が大きい。これは太陰陽 明の陰陽関係が調整されるためである。また、腎兪付近の腰痛の場合、少陰太陽の表裏の陰陽関係で、小腸兪が効くし、子午の陰陽関係を使えば、大腸兪が効くこともある。腎は子午 流注では午後6時で、午前6時の大腸と同時刻であるからである。
  • それから、坐骨神経痛には胃兪が非常に効く。(1)胃兪やその外側の胃倉、(2)小野寺殿部圧痛点(注 1)、(3)足裏の土踏まずの上方にある胃のつぼの3か所に圧痛がある場合には特に、圧痛のある胃兪の反対側への鍼が非常に良く効く。先生はこれを三点 セットと呼ぶ。また、最近、吉川先生は胃兪の代わりに耳鍼の胃の部位に王不留行を貼付けても胃兪同様の効果を発揮することを発見されている。
(注1)胃潰瘍、十二指腸潰瘍などの時に腸骨稜下3センチほどの中殿筋に現れる圧痛点を発見者の名前を取って「小野寺臀部圧痛点」と呼ぶ。
  • 鍼灸院での主訴には肩こりが多い。吉川先生の東方鍼灸院では、先ず、どの経脈に肩こりがあるかを調べる。肝や胃や心の不調から来る肩こりもあるが、ここではこれは省く。例えば、胆経、三焦経、小腸経か等を区別して、背部であれば、小腸経から来る肩こりの場合には、小腸兪、胆経であれ ば、胆兪もしくは陽綱、三焦経では三焦兪への鍼で治すことが多い。勿論、耳の小腸、胆、三焦の部位を使っても良いし、手足の小腸経、胆経、三焦経に反応が出ているところがあれば、これを使うことも出来る。
  • 一例として、胆経の肩井付近の凝りと痛みに同じ胆経の丘墟に置鍼しても良いと先生は言う。また、小腸経の肩こりは小腸経の経穴か、背部の小腸兪、もしくは少陰心経で裏から瀉すことも出来る。子午流注による調整法では、小腸経(午後二時)の異変には肝経(午前二時)もしくはその表裏の胆のツボを使うことも可能である。また、耳の小腸もしくは心のツボを使っても良い。
Ⅲ.陰陽太極鍼
  • 吉川先生の鍼は陰陽太極鍼と称される。陰陽太極鍼とは、左右の陰陽(繆刺法、巨刺法)、上下の陰陽(標本根結理論:顔や頭など上半身の病(やまい)を足部のツボで改善し,足部の病は頭や顔にあるツボで改善する「標本」「根結」理論)、左右上下表裏の陰陽(陰陽太極鍼法)や、寒熱・虚実の陰陽、時 間の陰陽(子午の陰陽)、局所と全体の陰陽(微鍼療法-耳鍼、頭鍼、手鍼、足底反射など)、部位の陰陽、臓腑の陰陽、これらすべての陰陽のバランスをとる取穴法で治療を行うことであると先生は説明する。これらの陰陽は複雑に絡み合っており、中医学の深い知識がなければ、理解不能、実行不能となる。理論的な部分についての知識や臨床経験がまだまだ不足している私は、非力を認めざるを得ない。まだまだ、歩むべき道程は長い。
  • 吉川先生は、先生のやり方、特にフェザータッチの切経で開穴を特定し、これに取穴するやり方だと誰でも出来ると言われるが、物事はそう簡単には運ばない。子午流注、標本根結理論、左右上下表裏の陰陽、相生相克関係、部位の陰陽、繆刺法、巨刺法など、陰陽の組み合わせは無数にある。ツボや経脈、絡脈などの相関関係の深い知識が根底になければ、吉川先生のように縦横無尽に取穴することは出来ない。
  • しかし、自分で切経し、これで特定した開穴をローラー鍼などで刺激したり、温灸したり、王不留行を貼ったりすることは勿論、自宅でも出来ることで、先生がやっているように、患者にそれを教えることは是非やるべきことだとは思う。鍼灸師は率先して患者に「自分の健康は自分で守る」ことを啓蒙すべきという点では先生に全面的に賛同する。
刺さない鍼の効能
  • 私が研修中に見た幾つかの診療例を挙げる。発症後3カ月を経過していた、ハント症候群(注2)の患者さんの顔面麻痺が2-3か月の治療でほぼ正常化しているのを観察した。この患者さんには、平常通りの診断治療後に麻痺していない健側の顔面のツボ(主に胃経)に瀉の方向に置鍼する(絆創膏で鍼を貼る)。
(注2)正式な呼び名はラムゼイハント症候 群:ヘルペスウイルスが内耳や顔面神経、前庭神経などに感染することで顔面神経の麻痺・耳鳴り・めまい・難聴などの症状が現れる病気。ラムゼイハイト症候群になると、まず頭痛や耳痛が現れ、次に耳の入り口付近や周りにかゆみを伴う赤い水疱ができる。そして、症状が重くなるとヘルペスウイルスが顔面神経に感染し、片側の目が閉じなくなったり、口を閉じることが出来なくなるなどの顔面麻痺が起きる。発症後、1-2週間後に治療しなければ後遺症が残るとされる難病。
  • また、ある朝、癌の手術の経験のある患者さんが息も絶え絶えにやってきた。ひょっとしてベッドの上で本当に息が絶えるのではないかと一瞬危惧した程、状態は悪かった。顔面は蒼白で、息をするのも苦しそうに横たわっていたが、先生の治療を受けた後、顔色も表情も明るくなり、呼吸も楽になり、軽口の一 つも言いながら帰って行った。
進化する吉川先生の鍼
  • 先生は今から10年後に自分がどんな鍼をやっているかが楽しみと言う。今の「刺さない鍼」自体、完全に刺さなくなったのはほんの4~5年前でしかない。それ以前に、先生が書いたレジュメには鍼の刺し方が書いてあるし、実際に鍼を刺しているビデオもある。最近、先生は鍼よりも王不留行をよく使うから、近い将来、鍼も使わなくなる可能性が大である。このように、先生の鍼は日々刻々進化している。
陰陽点、百会の効能
  • 最近、先生の治療法にまた一つ変化が出てきた。難病の人程、開穴の数が多いが、この開穴全てに鍼を置く必要はない。鍼の数が多ければ多いほど、 「情報伝達系としての経絡」(Ⅳ項参照)がメッセージを正確に受け取れなくなる恐れがある。その為、先生は治療する開穴の数を減らすことを以前から考えて おられたが、最近、百会への置針で、開穴の数が激減すること、更に、百会が全身の陰陽の調整点でもあることもほぼ同時に発見された。今、吉川先生は新しい おもちゃを与えられた子供のように嬉々として、百会の効能を臨床で確認すべくテスト中である。一例として、最近の症例を以下に挙げる。
  • 切経で、右蠡溝、両上巨虚、両湧泉、両申脈、左大都、右支正、左尺沢に反応が見られたが、百会をローラー鍼で前後に数分間刺激した後、反応点を再 度、確認したところ、右支正を除き、他の反応(気持良い感じもしくはくすぐったい感じ)はすべて消えていた。更に、腓腹筋や首や腹部も柔らかくなっていた。この患者の主訴は2週間前から首/肩/腰が凝るというものであったが、百会をローラー鍼で刺激した後、この主訴も消失した。勿論、全てのケースで、百 会がこれ程の効果を出す訳ではないが、これまでのところ、少なくとも3分の1か2分の1の反応は消えるようだ。先生は、ほぼ全ての患者に百会の効能を試しているから、いずれ、これを纏めて発表されるはずである。
Ⅳ.新たな情報伝達系としての経絡(傳田学説)
  • 近年、大脳で高度情報処理を行っている様々な情報伝達物質とその受容体が表皮ケラチノサイト細胞に存在し、大脳の中の細胞と同様の電気化学的情報処理のデバイスとして機能していることが発見された。ここから、皮膚も情報管理システムであり、そこで経穴をつなぐ情報の流れの道筋が経穴と経穴をつなぐ経絡になっているという仮説を傳田光洋先生が立てている。「新たな情報伝達系としての経絡」仮設である。
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  • この傳田仮説は日本鍼灸の「浅い鍼、接触鍼、刺さない鍼」の効能を説明する論拠となり得るが、私は、まだ、物質レベルの研究に捉えられていると思う。ケラチノサイト細胞にある情報伝達物質の伝播速度は秒速ミリメートル単 位(「賢い皮膚」180ページ)となっている。しかし、この速度では吉川先生の言う「秒殺」的な、瞬時の鍼の効能を説明することが出来ない。事実、鍼を置いた途端に変化することをこの目で何度も見てきた。鍼は肉体ではなく、肉体とオーバーラップするエネルギー体(エーテル体やオーラとも呼ばれる)に作用するのではないかと私が推測する根拠はここにある。「経絡」が肉体を解剖しても発見されないのは肉体レベルにはないからだと私は思っている。物質や肉体に捉えられる限り、鍼の効果の「秒殺」的スピードは説明できないのではないかと思う。
Ⅴ. これからの鍼灸-刺さない鍼と「百匹目の猿」現象
  • 今現在、「刺さない鍼」を臨床に使っている鍼灸師は絶対的に少ない。しかし、最近、「てい針」を使った治療法についての本やDVDも出ているし、 ヨーロッパではクリスタルから作る「Stiper」という物をツボに貼りつける療法が徐々に浸透しつつあり、ブラジルでも普及されつつある。
  • 私は前述のごとく、鍼は肉体ではなく、エネルギー体に作用すると思っているから、刺す必要はないと思っている。間近に迫る次元上昇後の地球ではエネルギー体が恐らく誰の目にも見えるようになるであろう。今でも霊視能力のある一部の人は見ることが出来る。従って、刺さない鍼が全地球的に普及するのはもう秒読みの段階に入っていると私は思う。
  • 「百匹目の猿」 と呼ばれる現象がある。これは「ある思い」を持つ人の数が増えていき、一定数以上になると、突然、他の集団にまでその思いが伝播するという現象である。百というのはあくまで比喩であり、多くの思いが集まれば、一気に全体に広がるということを意味する。これはルパート・シェルドレイク と言うイギリスの生物学者の「直接的な接触が無くても、ある人や物に起きたことが他の人や物に伝播する」とする仮説(形態形成場仮説)に似ている。この仮説をベースにすれば、刺さない鍼を使う鍼灸師がある一定数に至れば、これが全国的、全世界的に波及するのは時間の問題となる。私はこの時が近づきつつあると思っている。吉川先生はこの新しい時代の潮流の先駆けとなる人の一人である。
Ⅵ.吉川先生の人となり
  • 先生は熊本出身だから、情熱的な「火の国」の女である。伊藤忠という大手商社に長年勤めた後、30代で鍼灸師の資格を取って、正式に鍼灸院を開院したがOL時代に水俣病に関する運動に関与していた時代から既に鍼灸に手を染めていたようである。中医学関連の文献の翻訳なども数多く行い、中国の有名な中医師たちとの交流も長い。何度も鍼灸関係の国際会議や国内会議で論文を発表している。これだけの経歴の持ち主であるにも関わらず、先生からは驕りの一ひとかけらも感じられない。
  • 毎日、10~30名の患者を治療しても、先生の治療はマンネリ化しない。上に触れたように、先生の治療は進化して止まない。4~5年前から接触鍼 から全く刺さない鍼に移行した先生が、恐らくは近い将来、鍼すらも使わなくなるのではないかと私が見ているのはそのためである。事実、鍼から王不留行に 徐々に移行し、現在、使う鍼の数は減っている。但し、瀉の鍼の場合には経絡の方向とは逆の方向にする必要があるから、補の役割を果たす王不留行は使えない。しかし、例えば、腎経のツボの瀉の場合には、同側の耳の、腎と表裏の関係にある膀胱点に王不留行を貼ることで代用することができる。このようなやり方で徐々に鍼を使わなくなるのではないかと私は見ている。鍼をいつの間にか刺さなくなったように。そして、治療点の数も今後、なるべく少なくする方向に向か うと思う。百会はそれをスピードアップするための有効な手段となるのかも知れない。
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  • 先生は鍼灸の道では私の大先輩だが、年齢的には余り変わらないこともあり、つい、甘えて、本音で話してしまうことが多い。先生の人徳のなせる技である。だから、私は帯広に、子供のような無垢な笑顔の、とっても素敵な友達が出来たと思っている。吉川先生、先生の鍼法をブラジルで普及したいと思っています。(2012年)

VOICE 35/鍼灸師(大阪府・男性)

 昨年鍼灸学校を卒業した後、東京と大阪で開催された吉川先生の講習会に参加したり、鍼灸雑誌の記事やDVDで勉強したりしていましたが、もっと実際の臨床を間近で拝見し、治療の手順などを詳しく学びたいと思い、今回帯広に行くことを決意しました。
 
 やはり吉川先生の治療はすごかったです。効果発現の速さ、侵襲度の低さ、対応できる疾患の幅広さ、患者さんの満足度など、どれにおいても優れた治療法で あることを再認識しました。そしてそれらは陰陽論等の中医学理論を駆使しつつ、今、眼前にいる患者さんの変化のプロセスにしっかりと寄り添うこと、なによりも先生の治療への情熱と患者さんに対する誠実さによって達成されるものであると思いました。
 
 圧痛などの所見の変化を確認しつつ、ミリ単位で鍼を置くポイントを微調整して最大効果点を探れるのは、刺さない鍼の大きなメリットだと思います。実際背部兪穴の圧痛が、鍼を数ミリずらしたら消失するシーンを私は何度も目の当たりにしました。
 
 また補瀉もとても厳密なものであることを思い知らされました。実技指導時に私のミスで補瀉を確認せず申脈穴に鍼を置いたところ、先生の目の具合が 悪くなってしまい、スタッフの方が慌てて正しく鍼を置いたら症状が治まったということがありました。このことは肝に銘じておきます。見学した治療の記録を1例 記します。

◎症例:62歳、女性。2012年1月19日。今回が初診。
主訴は右側の顔面痙攣(発症して3年ほど)、右の耳鳴り、左膝窩外側痛、両踵が全体的に痛む、左示指の痺れ(怪我でDIPが尺側に曲がっている)。糖尿病の既往、食欲がありすぎるとのこと。血圧が高いため薬を服用している。肥満体
舌診;舌尖紅、舌苔無、中央に裂紋、舌下静脈怒張
脈診;メモ忘れ
腹診;左中府、中脘、右季肋部、左章門、京門に圧痛
腓腹筋;左右の上部(脾の部位)に把握痛
首周六合;右天窓の圧痛が強い

治療;十二経を切経して、過敏反応が強い経穴から鍼を置いていった。
  1. 左大鐘に補(下向き)→腓腹筋が柔らかくなり、腹部も緩んだ。患者さん「左足が楽になった。お腹も楽になった」。
  2. 右俠谿に補
  3. 左公孫に補→左章門の圧痛消失
  4. 左豊隆に瀉
  5. 右郄門に補
  6. 右少海に瀉→右天窓の圧痛消失
  7. 左尺沢に瀉
  8. 左曲池に補
  9. 患者さんが目の不快感を訴えたので、圧痛のあった左太陽に対応する遠隔穴である左光明に瀉→左太陽の圧痛消失。同じく圧痛のあった左承泣に対応する左厲兌に補→左承泣の圧痛消失。患者さん「目が楽になった」。
  10. 右日月に温灸。患者さん「気持ちいい」。
  11. 食欲を抑えるため、左耳の飢点、渇点に王不留行を貼付
  12. 右耳の神門に王不留行を貼付→右少海の反応消失(※心経の瀉法に神門を用いる)
  13. 右耳の肺点に王不留行を貼付→左尺沢の反応消失。腎脾胃の各点にも王不留行を貼付
  14. 左示指尺側爪甲根部に刺絡→患者さん「痺れが楽になった」。左足竅陰に刺絡。
次に腹臥位になり背部兪穴の圧痛および過敏反応を確認した。右厥陰兪、左大腸兪に圧痛。
  1. 左膏肓に平補平瀉(右厥陰兪に向けて鍼を置く)→右厥陰兪の圧痛消失
  2. 右意舎に平補平瀉→左大腸兪の圧痛消失
  3. 右三焦兪に皮内鍼保定→左委陽の痛み消失
  4. 腰陽関付近の細絡に刺絡
  5. 右頚部痛を訴えたので、過敏反応のあった右液門に鍼を置くと、痛みは消失した。
自宅での右日月への温灸および週2回程度の通院を勧める。患者さん「2回でも3回でも来ます。来てよかった。もっと早く来ればよかった」。

  鍼を置くだけで次々と圧痛などが消えていきました。患者さんに対して丁寧に説明され、治療途中に出てきた愁訴もきちんと汲み上げ、患者さんも満足された様子でした。今まで色々治療を受けてもよくならず患者さんも不安だったでしょうが、ここで治療を続ければよくなるかもしれないとの希望をもたれたように感じられました。
 
 ある方が「鍼灸師は変化を売る職業だ」と書いていましたが、吉川先生の治療はまさに患者さんが変化を実感でき、それが治療を続ける励みになるのは間違いありません。初診の患者さんの信頼をしっかりと獲得されていることに感銘を受けました。その他印象に残った事例を羅列いたします。
 
・治療の最後に、「どこか他に気になるところはない?」と先生が聞いたところ、患者さんが肩痛を訴えたので切経して中渚辺りに鍼を置いたら、即座に肩痛が緩解した。患者さんの愁訴を残らず最後まで取り除こうとされていた。
 
・幼稚園児くらいの男の子が、しっかりと開穴を「そこ」と意思表示していた。鍼治療の恐怖心も全くない様子だった。

・湧泉に瀉の鍼を置いた。しばらくして再度患者さんに感覚を尋ねると、今度は補になっていた。瀉の場合は時間を切って、補に変わったか確かめることが大事だと知った。
 
・左肩痛の患者さん。右王穴に鍼を置いた。しばらくすると補瀉が変わったので鍼を置き直すと、肩痛が楽になった。やはり王穴は五十肩などに効くのだと改めてわかった。

・患者さんが「ここに来れば絶対よくなるから」、「何もなくてもここに来れば身体の浄化になる」、「ここは至れり尽くせり」と言っているのを聞いた。地域の方々からの厚い信頼が感じられた。
 
・2日目に吉川先生から治療してもらった。鍼を置くと硬く張っていた私の右季肋部が柔らかくなった。背部の治療をしてもらっている時、身体のだるさがスッと晴れるような爽快感を感じた。ひどく黒ずんだ舌下静脈の色も翌日改善していた。

・圧痛等の所見や開穴の過敏反応がなくなるまで、鍼を置き直す、耳鍼をする、刺絡をするなど、手間を惜しまずとことん取り組んでおられた。刺さない鍼は治療者がラクをするためのものではなく、妥協は許されないと痛感した。(2012年)

VOICE 34/鍼灸師(北海道・男性)

 吉川先生の常にブラッシュアップし続ける技術を目の当たりにし、いまだ興奮が冷めやらぬ状態です。もちろん先生の技術は革新的で素晴らしいのですが、何よりも私のようなまだまだ未熟な鍼灸師を快く招き入れてくれて、惜しげもなく技術指導をしてくれた、その器の大きさにただただ感謝しております。
 
 私も数年前の研究会に参加していたので、陰陽太極鍼法や子午流注を使った治療法は知ってはいましたが、今回あらためて実感したことは、まず基礎が大事であるということ。五行、表裏、子午、取穴、流注、など、ついつい毎日の施術では曖昧にしてしまった部分を、きちんと当たり前の知識にしておく、しっかりと頭に叩き込んでおくということを強く実感しました。
 
 そして先生の更に進化した治療技術にも驚きました。側頭部痛は耳肝陽の刺絡、膀胱経二行線の有効性(陽綱や意舎など)を利用した圧痛の取り方、耳穴へ王不留行の種子を貼るだけで全体を調整する、開穴に鍼の代りに(!?)王不留行の種子を貼るだけで効果を挙げる、胃兪と小野寺臀部点と足底部の圧痛の取り方など、臨床ですぐに生かせる技術をたくさん教えていただきました。
 
 印象的だったのは、診療時間最後に来院された患者さんを施術する際に、先生が取る穴全てピタリピタリとあたり、瞬時に症状を回復させていく様は迫力満点でした。私に任せなさい!という先生の迫力と回転の速さに、私も興奮したのを覚えております。
 
 また、お昼休みの時間を使って実際に先生をモデルにしての技術指導も勉強になりました。腹診の力加減、脈診の取り方、全身の触診のヒントなど、手を取って教えてくださり大変有り難かったです。
 
 今までの研究発表や雑誌記事、DVDを拝見しても、ご自分が身につけた技術を、ただ我がものにするのではなく、患者さんや広く鍼灸業界の発展のために、提供しようという心意気に頭が下がりました。
 
 久しぶりにお世話になった東方鍼灸院での研修は、確か8年前私が学生の時、東方鍼灸院 を初めて訊ねたときに似て、とても新鮮でした。また自分の今の技術力の甘さを痛感した、そしていま私が身につけるべきことが何かをはっきりと認識できた 良い機会でした。今回のこの新鮮な気持ちを忘れずに、毎日の施術においても、患者さんと真剣に向かい合いたいと思っております。(2012年)

VOICE 33/鍼灸師(北海道・女性)

 学生の頃からの念願だった二日間の研修を終え、今は充実した気持ちでいっぱいであると同時に、今までの自分のいたらなさを痛感し、目の前に広がる鍼灸の世界の奥深さにしばし立ち尽くしている状態です。以前より先生の鍼のすばらしさは理解しているつもりでしたが、臨床の場で目の前でその変化を体験 させていただいた今回の研修は、それほどまでに私にとって衝撃的でした。

  研修中は驚きの連続でした。まず、吉川先生の鍼が数年前の研究会に参加していたころからさらに進化を遂げているのを目の当たりにしたこと。開穴に鍼をテープでとめるだけで反応をとるということ自体が革新的であるとは思うのですが、それがさらにすすみ王不留行の種子をテープでとめることで同様の効果を挙げていらっしゃいました。もちろん鍼を使用することの方が多いようでしたが、この方法だとより刺激量の低い方法で効果が出せるのだろうと考えました。これも、経絡を動かすということに対する吉川先生の飽くなき探求心の結果なのだと思います。

 また、経絡を動かすスピードを上げるために耳穴を駆使されていたことも印象的でした。例えば他の反応は消失したのに心経の補の反応だけ残っているときは、同側の耳の心穴に王不留行を貼ります。すると、それまでくすぐったく感じていた少海の反応がすぐさま消失する、といった具合です。これは先生の出されたDVDにもその様子が収録されていますが、目の前でそれを確認するとその効果のシャープさに驚くばかりでした。「人体はフラクタル」だという先生の言葉が深く納得できた瞬間でした。

 そして申脈や陽綱といった、私がいままで重視してこなかった経穴の重要さも教わりました。今回はたまたまこの二穴の効用を実感できる症例を複数見学できたのですが、このようなかくれた名穴(!?)はもっともっとあるのだろうと思います。

  また何よりも今回勉強になったのは、直接吉川先生をモデルとして、陰陽太極鍼の実技をさせていただけたことでした。脈の見方から、腹診の取り方、切経の仕方、さぐっていく順序などなど、基本的なところからすべて教えてくださいました。まさしく、「手取り足取り」といった具合です。研修での実技指導は弟子に任せるという先生も多いと聞きますが、このように自らモデルとなり、貴重な休憩時間を割いて下さるということは、なかなか他ではないことのように思いま す。そういった意味でも大変有り難く感じました。

 今回驚いたこと、新たに勉強になったことは、このように挙げていくと数えきれません。 ですが、5年前の研究会で初めて東方鍼灸院に足を踏み入れて以来変わらないのは、ここに来ると必ず、「自分が選んだ鍼灸という道に間違いはないのだ」と確認させていただけるということです。もちろんそれを本当にものにできるかどうかは今後の自分の努力次第なのですが、東方鍼灸院に来ると、このことを何度でも再確認させていただけます。(2012年)

VOICE 32(長期研修)/鍼灸師(大阪府・男性)

■1年7ヶ月の研修を終えて
  
 2009年の4月から吉川先生の下で研修生として勉強させて頂いて、本当に多くの事を教わり、体験することができました。この研修期間は、僕の中でとても大きな財産になると思います。
 
 今まで、地元大阪では鍼灸接骨院にしか勤めた事がなく、鍼灸をもっと勉強したいと思い、以前から吉川先生の治療に興味があり、先生の所で働きたいと思っていました。
実際に働かせて頂いて、やはり鍼灸はすごく奥が深く、改めてこんなにも効果があるんだという事を痛感しました。
 
 先生の治療を見て最初に思った事は、繊細でほとんど刺入する事がないので、痛みを感じる事がなく、患者さんにとって優しい治療だなと思いました。僕の周りの鍼灸を受けた事がない友達に聞くと、鍼灸は痛くて恐いイメージだと言う人が多いので、この治療法なら、こんなイメージを持っている人にも受け入れてもらえやすいのではと思います。
 
 しかし、鍼を皮膚に置くだけで、本当につらい症状が治るのかと思いましたが、実際に、あちこち病院にも行ったが治らなかったり、色々な治療もしたが良くな らなかったと言う患者さんが、「楽になりました」、「痛みがなくなった」と言って、帰る時には笑顔で帰っていくのを実際に見て、本当に効くんだ、すごいと 思いびっくりしたのを覚えています。
 
 陰陽太極鍼法や子午流注を使った治療法はとても効果があり、臨機応変で応用も効き、実際に僕も患者さんを治療させて頂いて、痛みがやわらいだり反応が消えたりと刺さない鍼でも効くんだという事を実感しました。
 
 そして、半年間一緒に働いていた三重県の原さんには刺絡を細かく教えて頂き、刺絡も大変即効性があり、効果のある治療法なのだと勉強になりました。
 吉川先生の下で働かせて頂いて一番勉強になったのは、吉川先生程の方でも毎日勉強されていて、常により良い治療法を求めて試行錯誤されている姿を間近で見ていた事は大変勉強になりました。
 
 また、北海道に行き良かった事は、人との出会いがたくさんあった事でした。知り合いが一人もいない北海道での生活は辛い時もありましたが、代表や吉川先生、亜希さんが気にかけてくれたり、東方鍼灸院の先輩方との出会いもあり、色々な話を聞かせてもらえた事が大変良い思い出となりました。
 
 吉川先生の下での勉強、経験、そして人との出会い、北海道という場所での生活、どれも僕にとって新鮮で心から北海道に行って良かったと思います。これからも日々勉強して腕を磨き、少しでも、患者さんを一人でも多く楽にできる様に精進していく事が、お世話になった代表や吉川先生への恩返しになるのではと思います。この1年7ヶ月は、言葉では言い表せない程、感謝の気持ちでいっぱいです。(2011年)

VOICE 31/鍼灸師(大阪府・女性)

 初めての陰陽太極鍼の治療を体験後、4日間短期研修をさせていただきました。開業後5年半が過ぎましたが、鍼の刺入痛や違和感、お灸の熱さが苦手な方や、ゼロ番鍼や熱くないお灸であっても、先入観で鍼灸院に足を踏み入れることができない方もかなり多いと感じていました。鍼やお灸に対するイメージが変われば、もっとたくさんの方々が来院され、皆さんの不調が速やかに改善されるのに と、惜しい気持ちがありました。

 日本中医学研究会の木本先生が吉川先生を大阪に招かれ、講義と実技をされたときに、陰陽太極鍼を体験さ れた方が、とても良い結果を得られたとお聞きし、東方鍼灸院のHPを拝見し、陰陽太極鍼のDVDを購入しました。見るのと、体感するのとでは大きな違いが あると思い、院を休診して直接研修を受けさせていただきたいと電話で連絡をしました。先生の鍼灸に対する技術と情熱を間近で感じたかったからです。

  次々と研修生を受け入れられ、鍼灸医学が正当な評価を得られ、社会的に医学として認められるように、と代表、吉川先生が大変なご努力をされていらっしゃいます。鍼灸医学を発展させていくために、実践的に学習できる研修の場を与えてくださっていることは、本当にありがたいことだと思います。(感謝)
 
 研修中はま新しい治療法を前に、その効果の即効性には本当に驚きました。一本の鍼を手や足の一か所に置くだけで、腓腹筋の圧痛が即座に消失した時は本当にびっくりしました。「先生だからできると、よく言われるんだけど、そんなことないのよ。誰でもできるわよ。」と、静かに語られます。
 
 見ているだけでは、簡単なようですが、今までの先生の中医学の学びが基礎になっていることは間違いありません。今回の研修は短期間ではありましたが、ここをスタートラインとして、しっかりと日々の臨床、勉強と研鑽を積み重ねていこうと、改めて決意させていただきました。

 研修後、鍼灸学校に通う半信半疑の娘に 試してみましたら、腓腹筋の飛び上がるほどの激しい圧痛、手足のかなりきついこそばゆさ、中脘の圧痛、首周囲の圧痛が、一か所に鍼を置くだけで、ほとんどの反応が消失してしまい、娘は魔法にかかったような出来事にびっくり仰天、私も驚いてしまいました。多くの方にはそれほどまでの素早い反応はありません が、筋肉の緩みをしっかり感じていただけるので、以前よりもリラックスして治療に臨んでいただけている様子です。

 難病の方、急性、慢性病の方など、これから研究を重ねて、鍼灸をもっと身近で効果的な治療法として受け入れていただきたく、努力をして参ります。陰陽太極鍼はさらに進化し続け、多くの方を病より病気治癒、健康回復へと導く療法として拡がっていくことを心より祈念いたしております。(2011年)

VOICE 30/学生(富山県・男性)

 自分にとって鍼というものの考え方を一から見直さざるを得ないほどの衝撃的な21日間でした。実を言うと、ここお世話になる前は先生の提唱される 「陰陽太極鍼」なるものに、それほどの興味を持っていませんでした。 視力の弱い自分にとって一番の目的は、短期研修Dコース「視力回復法」の習得でし た。
 
 もちろん、充実した研修にするために、事前に先生のDVDを拝見したり、その内容をノートに書き留めたりと、それなりの予習をしたつもりです。したつもりだったのですが、実際の先生の施術を拝見したとき、自分は上っ面でしかモノを見ていなかったことを理解しました。
 
 事前の触察で腓腹筋の把握痛を確認する。開穴を探し、そこに一本鍼を置く。その後の触察で、もう一度腓腹筋の把握痛を確認する。それは、DVDの中で、先生がすべての症例に対して行われる一連の動作です。先生は単に「やわやわですね」の一言で終わられていました が、実際に自分で触らせていただいたとき、そのやわやわ度合いにビックリしました。本当に、あの硬かった筋肉が他覚的にも本当に柔らかくなっているので す。
 
 自分は学校で「按摩で筋肉をほぐす為にはどうすればよいか」ということを色々模索してきました。しかし、ここで見た柔らかさは、そんなものが戯れにしか思えないほどの見事なやわやわさです。正直、人様の手技を見て鳥肌が立ったのは初めての経験でした。
 
 募穴に反応がある。それに対応した経穴に鍼を置く。ただそれだけのことで、募穴の圧痛が消えている。学校では胡散臭いとしか教わらない、経絡の存在を信じざるを得ない瞬間でした。東洋医学は実際に患者を癒すための学問で、それに長年身を投じられてきた吉川先生の集大成(もしくは途中経過)が「陰陽太極鍼」なんですね。
 
 現場で見る「陰陽太極鍼」は自分が抱いてきた東洋医学、もしくは経絡治療に対する疑問に答えてくれるものでした。特にその凄みは開穴を探す作業とその開穴の効果を確認する作業の繰り返しにあると思いました。開穴の場所は患者様の体を軽擦して確認する。その開穴の効果は圧痛が消えたかどうかで確認されます。
 
 そして、それが消えたかどうかは、施術者はもちろん、患者様にもわかってしまいます。圧痛が消えたら次は何をするか、圧痛が消えなかったらどこを調べていくか。次の開穴を探す一挙手一投足が吉川先生のお考えを示していて、それは私のような見学者にも、その一端が垣間見えてしまいます。
 
 脈診・腹診から証を立て、六十九難に基づいて選穴される治療法では判りづらい見立てのコツを、誰が見ても判るように先生は施術されているんですね。まあ、誰にでも判るとはいえ、そこは鍼灸師としてまだスタートラインにも立っていない自分のことですから、判らないことも多々ありました。でも、先生は呆れもせず、すべての質問に答えてくれました。
 
 それどころか、今まで書き綴られた論文等も惜しげもなく披露していただけました。「胃兪穴と坐骨神経痛について」「『王穴』による五十肩治療」などなど、大変面白い論文を多数読ませていただきました。
 
 自分が今回の研修で最も参考にすべきだと思ったのは、先生の施術に望む姿勢でした。一穴一穴にその意味を考えながら施術されるその姿をみて、アイザック・ニュートンが 晩年、「あなたは幾多のすばらしい発明をどうして思いつくことが出来たのですか」と問われて「考え続けてさ」と答えたエピソードを思い出しました。患者様とは最小限の会話で淡々とこなされている印象もありますが、恐らく先生の頭の中は患者様の病態を把握されることでいっぱいなんだと思います。
 
 そして、その中で少しずつ少しずつ改良を加えられ、私の知る東方会系の先生方とはまったく異なる、また、お借りしたDVDにあった10年前の吉川先生の施術ともまた異なる、この素晴らしい「陰陽太極鍼」を編み出されたのですね。
 
 私も来年の4月からは、きっとおそらく国家試験に合格して、鍼灸師としての新たな人生を踏み出します。それがどんな人生だとしても、先生に見せていただいた施術者としての志は決して忘れることなく、前を向いて歩んでいきたいと思いました。(2011年)

VOICE 29/学生(愛知県・男性)

 「一本の鍼で身体が変わるのよ。」と、さりげなく当たり前のように云われる言葉がとても印象的でした。半信半疑のまま、先生の傍を離れず、次々と来院される患者さんへの治療を拝見させていただきました。はじめはなにをされておられるのか分かりませんでした。ただ、患者さんの身体が変化していくことの事実だけでした。

 「たった一本、されど一本。」その一本に辿りつくまでの様々な過程こそが先生の学の深さと豊富な臨床経験だと思います。何より、患者さんとの一対一の人間関係こそが治癒効果を劇的に向上させる秘訣ではなかろうかとも感じました。
 
 3日目、念願の先生の施術をうけることができました。私の開穴は、左「京骨」。
一本の鍼がおかれた瞬間、なにか風が吹いたような感覚を感じました。実は3日間の研修中ぺらぺらのスリッパで立ち続けていたためふくらはぎの筋肉痛をおこしていましたが、一瞬でふにゃふにゃになりました。
 
 耳穴は、「膀胱」。飛び上がるほどの激痛点、ここに王不留行。仕上げに、「胃兪」一穴。これで私の膀胱経は開通されました。背部を走行する膀胱経 がゆるむということがこれほどまでに身体が軽くなるものなのかと驚きました。首頚肩背腰下肢にいたるすべての緊張が紐解かれました。
 
 まさに「百聞は一見にしかず」。体験すれば、それが事実であることを知ります。私の身体にも経絡が存在していることを自分自身で証明することができました。先生から多くのことを教わりました。そして、私にでも鍼灸で人を助けることができる自信をもてるようになりました。今はまだ鍼灸学生、今しかできないことを一生懸命精進してゆきたいとおもいます。(2011年)

VOICE 28/鍼灸師(神奈川県・女性)

 3日間という短い期間でしたが、得たものはとても大きく、思い切って研修にうかがって本当に良かったと思っております。まず最初に感銘を受けたのは、先生の暖かいお人柄です。それは、ご自身が長年の臨床経験により得た貴重な知識の数々を、惜しげもなくご教授下さったことからもうかがえます。
 
 閉鎖的と言われる鍼の世界で、特に大家と呼ばれる先生の中には、簡単なことも、もったいぶってお教え下さらない先生もいらっしゃると聞いていますが、そんな中で、先生の後進を育てようとして下さることは大変ありがたく、心より感謝しております。
 
 実際、効果の高さは症例を見れば一目瞭然、鍼灸の適応外とされている難しい病名の方も少なからずいらっしゃいました。何より印象的だったのは、地元帯広の多くの方々に先生が慕われ、頼られているという事実です。

 「私は帯広に住んでて本当に良かった、先生の治療が受けられて…」と嬉しそうに語っていた患者さんの笑顔が、今でも鮮明に心に焼き付いています。
  
 また、日本では13年連続で自殺者が年間3万人を超えたとのこと、うつ病などの精神症状を呈する方も急増し、強刺激を適当としない方も多数いらっしゃると考えられることから、先生の治療法は、多くの方々にとって優しく安全で、しかも効果のある素晴らしい治療法だと思います。
 
 まさに「論より証拠」の現場を目の当たりにし、「それにしても何故、皮膚の上に置くだけでこのような効果が得られるのでしょうか?」という稚拙な質問に対して、「皮膚は中枢神経と同じ外胚葉由来だから情報が行きやすいのですよ」というご回答は、わたくしのような初心者にも大変わかりやすく、なるほど…と得心のいくものでした。(2011年)

VOICE 27/鍼灸師(愛知県・女性)

一週間研修を受けさせていただいてから早くも一月半以上経ちました。その節は大変お世話になりありがとうございました。研修を受けさせていただく前 は、自分がどのような治療を行いたいのか、本当に効果が出せるのかどうかも分からず、3月に専門学校を卒業してからとても不安が多かった事を思い出します。  
 でも吉川先生の治療院で勉強させていただいてから、自分が行いたいと思う治療を見つける事ができ少しずつ自信が持てるようになりました。またこの一月半という期間に、前回少しお話させていただきました岡山に住む母の治療を2回行い、良い効果を見る事が出来ましたのでご報告させていただきます。

◎75歳(女)・・・ 【既往歴】 脳梗塞(昨年10月末)、喘息(30年位前から)
  【主 訴】 耳鳴り(大きい音:ワーワー、低い音:ジージー、詰まり)
難聴、めまい(嘔吐)、咳、食欲不振
◆特に耳鳴り、難聴、めまい(嘔吐)が酷く横になる事が多い。
病院で精密検査を行っても異常はみられない。

<治療1回目>(7日間毎日行う)
初 日 : 舌苔白ジ。舌先紅。舌下V怒張。脈滑。
腹診は右中府、膻中、右天枢、下脘、右肓兪、関元に圧痛。
首周六合は天窓、翳風、風池に圧痛(左右共)。腓腹筋は腎、肝に圧痛(右)。
十二経脈の軽擦は全体的にくすぐったがるが、特に左右の尺沢・曲沢・少海が強い。
時間をおいてもなかなか反応がとれないので耳に王不留行を貼る。
背部兪穴はうつ伏せになれず(右手足の運動麻痺がある為)行わなかった。
初日以降: 治療後は圧痛の変化はみられたものの、ほぼ一週間は同じような反応が見られたのでその都度王不留行を貼り替えて治療を行う。
他、運動麻痺のある右足首(外果と内果辺り)のむくみに細絡が出来ていたのでファインタッチで刺絡した所、どす黒い血が流れるように出できて少しむくみがひいた様に見える。
最終日に一番反応が強かった左右尺沢に印をつけ、次回の治療まで父にローラー鍼を毎日行うように指示した。

<治療2回目>(4日間毎日行う)
経過・症状 前回治療して耳鳴り(大きい音:ワーワー)があまり気にならなくなった。しかし低い音:ジージーと詰まりはある。難聴は特に変わらないが前回の治療後に一時的に聞こえが良くなった時がある。
めまい(嘔吐)はここ1カ月全く無い。咳の回数も減り、食欲も出て体重が1㎏増加。声に張りもあり、横になる事が少なくなった。
今度は主訴以外に、左手で物を掴んで立ち上がる時(右手足の運動麻痺の為)左少海付近と左膝が痛み、右股関節が夜中寢る前(22時位)に毎日痛む。
初 日 : 舌苔白ジ。舌下V怒張。脈滑。
腹診は右中府、右天枢に圧痛。
首周六合は左天窓、右翳風、風池に軽く圧痛。腓腹筋は肝に圧痛(右)。
十二経脈の軽擦は、左右の尺沢・曲沢・少海に反応があるが前回のような強い反応ではない。耳の王不留行も必要なし。
外関と支正にはっきり反応が出るようになる(左右)。瀉の反応があった時に井穴刺絡を行うと逆側がすっきりした気がするとの事。
また俠谿や懸鐘も反応が出るがすぐ反応は消える。
耳周りの圧痛部を鍼で刺入してみたが、耳鳴り・詰まりの効果はあまり感じず。
初日以降: 治療後は圧痛の変化はみられた。外関と支正は毎回反応が出ていたので、反応がとれない時は王不留行を貼る。
左手の少海付近の痛みは右手の同じ所に鍼を置くと瞬時に消えた。
又左膝も右の脾兪に鍼を置くと楽になる。右股関節の痛みは左の胃兪に鍼を置くとその夜は痛みを感じなかった。
最終日に反応の強かった左右の外関と支正に印をつけ、前回の尺沢も含めて父にローラー鍼を毎日行うように指示した。

【現在の経過・症状】
 
 耳鳴り、難聴の症状は1回目の治療後とほとんど変わらない。ただ寢る前に耳鳴りが辛い時がある。めまいは今全く無くなった。左手の痛みは軽くなり、左膝は階段の上り降りの練習時に痛むがそれ以外は楽になっており、右股関節は痛む時と痛まない時がある。

 吉川先生の治療院に研修に行かせていただく前は、自分なりに色々と治療はしてみるものの母の体調は変わる事なく又悪い時もありましたが、研修後に治療を行ってからは明らかに変化を見る事が出来ました。毎日母の世話をしている父も、以前と比べると大分違うと言っております。しかし私の勉強不足もあってまだ まだ課題が多いのですが、より良い効果が出せるように引き続き勉強と治療を行っていきたいと思います。(2011年)

VOICE 26/学生(石川県・女性)

 鍼灸学生になって初めての研修は本当に有意義なものとなりました。これからの長い長い勉強の第一歩を踏み出すことが出来ました。

 最初は正直、傍について見ているだけで理解できるのか不安でしたが、6月に発売された先生のDVDを観て予習、実際に先生の傍に一日ついて見学するときは、メモすることに気を取られるよりも、まずは大まかな流れから捉えていこう、感じていこうと考えて臨みました。

 私の研修はたった一日でしたが、それでも先生の魔法のような治療に簡単に遇えました。女性の患者様で、症状の一部ですが、原因不明で足の指が痛みで5本とも屈曲できなかったものが、前日の先生の治療で今日は5本とも曲がるようになっていたことに、先生も、患者様も、鍼の威力に一緒に驚き、一緒に喜んだことに私は鳥肌が立ちました。
 
 救急車で運ばれながらも原因が分からず、とても孤独だったでしょう。その患者様が治療の間ずっと「先生は私の神様です」とおっしゃっていました。 そして救 われた喜びと、もっと元気になりたいという希望で、その日も治療が終わって帰られる頃には治療前よりも顔色が一段と良くなって生気が感じられるようになっていました。先生は後で、治療直後は、あそこまで曲がらなかったのだけれど、皮内鍼を施し帰宅して頂いたそうで、それも効いたのでしょうねと教えて下さい ました。

 私もいろんな鍼灸治療を受けてきましたが、その場で、きちんと結果を出し、患者がハッキリ自身の体の変化を自覚できて、鍼灸師もハッキリ手ごたえを感じられる、こういう治療に、今まであまり出会ったことがありませんでした。刺さない鍼の効果も、明確な補瀉、治療の進め方も、目から鱗でした。そして、自分の 頭の中が整理されていく心地よさを感じました。

 それから実技の研修で、実際に先生の治療を受けさせて頂きました。私は夏バテで1カ月くらい前から食欲がなく、常に胃のあたりがムカムカしていました。 だいぶ前から下脘に不快感があったのですが、なんと、曲沢に鍼を一本置いただけで一瞬にして消失!おまけに鍼を取る瞬間に気道が開くような不思議な感覚があり、喉の詰まりのようなものが消失!その夜には久しぶりに夕食を美味しく頂くことができたのです。本当に感動しました。まだまだ私は鍼灸の道を歩き出したばかりですが、先生の素晴らしい治療を拝見させていただき、これからの私の鍼灸に対する方向性が少し定まったような気がします。(2011年)