2018年9月11日火曜日

VOICE 53(長期研修)/鍼灸師(熊本県・男性)

 私が長期研修生としてここ東方鍼灸院で働き始めて早1年半が経とうとしております。この期間は鍼灸師の私にとって、とても濃い貴重なものでした。思い起こせば当初の私は、鍼灸師の資格を取った後、2年弱整骨院で働いた経験はありましたが、鍼灸治療の技術はほとんど持ち合わせておりませんでした。それが現在、毎日患者さんの治療をさせていただいているとは、我ながら驚きです。

 私は4年ほど前に1週間の短期研修で東方鍼灸院に来ているにも関わらず、最初のころはここでの治療方法や患者さんの身体の反応や変化していく様が不思議で、あっけにとられたり、茫然としてしまうこともしばしばでした。何しろ、患者さんの敏感な経絡の一穴に鍼を貼るだけで身体が瞬時に変化するのですから、 普通の鍼灸師にとって最大の難関の1つである選穴や刺鍼手技に悩まなくてもすみます。また、四診法、特に首周、腹診、腓腹筋を用いた触診はシンプルかつ治療効果がよく分かる方法がとられており、マスターするのに何十年もかかるとも言われる難解な脈診のみに頼る必要もありません。

 治療効果のほうは、例えば、足の王穴に鍼を1本貼るだけで五十肩の患者さんの腕が劇的に上がったり、背部の脾兪で腰痛が、胃兪で臀部の痛みがこれまた鍼 1本貼って良くなったりと枚挙に暇がありません。また、鍼灸治療で視力が上がるなどとは想像もつきませんでした。これらの治療効果を目の当たりにして、自分がそれまで労力かけてやっていた治療はなんだったのかと頭を抱えました。

 当初驚きの連続であった不思議な出来事も、今では日常的に起こることとして受け止められるようになりましたが、毎日の臨床においては新しい発見の連続で す。毫鍼を始め、ローラー鍼、王不留行、皮内鍼、刺絡等々、治療のバリエーションも多く、患者さんの体質と症状によって最適な治療方法と治療点の組合せを 模索するプロセスではいくらたくさんの本や資料を読んでも得ることのない貴重な経験を得ることができます。

 臨床上の経験と言えば、予想以上の結果が出て、鍼灸の力や可能性の凄さに感心させられることも多々あります。私の担当する患者さんだけを例にとっても、 視力回復では、76歳の女性の方が生涯最高の視力をマークしたり、2年前に眼底出血を起こして視力低下し、運転免許を更新できなかった66歳男性がめでたく免許更新できたり、等がありました。

 そして最近1番の出来事としては、脳血栓と 高血圧で記憶が時々途切れる82歳の女性が、数回の治療で記憶が途切れなくなった上に、定期的に通われるうちに太れない体質だったのに健康的に5キロも体重が増え、気がつけば老眼鏡なしで新聞が読めるようになり、挙句の果てに は真っ白だった髪の毛が黒々としてきて本人も周りの人もびっくりという例がありました。既に数多くの治療実績があるにも関わらず、この1年半の間にも吉川院長の治療は日々進化を続けており、私も負けないように進化し続けてゆきたいと思っております。(2012年)

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